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第3章 動き出す陰謀
第33話 召喚
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「………本気で言っているのか?」
「ああ」
「こりゃ、参ったな」
「どうした?」
「断る理由が見当たらないから、困っているんだ」
「?」
「さっき、色んな人から声を掛けられていたことから分かるように今や、シンヤ達はフリーダムの特に冒険者達から注目の的なんだ。黒天の星に入りたい奴なんて、腐るほどいる。そんな中、俺みたいな冒険者ですらないような者が入ってもいいものか………正直、俺の気持ちとしては先の申し出はとても嬉しかったし、遠くから見守るつもりが内輪で過ごすなんて経験、おそらくほとんどの者はできないだろう。だから…………」
「そんなの気にすんな。俺はお前が欲しいと思ったから、誘っているんだ。大事なのはお前の気持ちだ。他の奴らのことなんて、考えなくていい」
「そうか?」
「ああ。お前は……ドルツはどうしたい?」
「…………」
そこでたっぷりと10秒ほど間を置いて、ドルツは言った。
「ぜひ、お受けさせて頂く。これから、よろしく頼む」
「久しぶり。いきなりで悪いんだが、こいつの冒険者・クラン登録と魔物の買取を頼む」
「あ、シンヤさん!お久しぶりです!…………って、ええ!?なんでドルツさんが!?」
「まぁ、色々あってな………ってことで今日で情報屋は廃業。ここから、新たな人生を歩んでいくんで、よろしく」
「は、はぁ………あ、登録と買取でしたね。すみません、今やります」
――――――――――――――――――――
「おい、ズボラ!魂の供給率はどうなっている!」
「へい!現在、23%となっております」
「まだそこなのか!?これは少しテコ入れが必要だな…………よし。人員をまだ手を伸ばしていない場所にも送り込むとしよう………待てよ?必要そうなら、既に手をつけている地にも追加で送り込むのもアリか。ま、それよりも優先すべきことがあるが………おい、ズボラ!各地に潜伏している教徒へ伝書鳩を飛ばせ!」
「へい!して、文面は如何様に?」
「たった一言、こうだ……………動き出せ!と」
――――――――――――――――――――
「ここが俺達のクランハウスだ」
「へ~デカイな」
「そうか?」
「ああ…………っても他のとこはそこまで知らないんだけどな」
「クランメンバーになったからにはここを拠点として活動してもらう。したがって、今住んでいる家は引き払ってくれ」
「ここに住んでも大丈夫なのか?」
「心配すんな。部屋はいくらでもある」
「そうか。では改めて…………みんな、これからよろしく頼む」
「こちらこそ」
「よろしくお願いします、ドルツさん」
「くっ………優秀そうなのがまた………これでは私の立場がますます、なくなりますわ」
「いい酒を酌み交わせそうだぜ!」
「また、後輩が、増えた」
「でも鬼のレベル上げに耐えられるんでしょうか」
「シンヤが認めた人物じゃ。心配することはなかろう」
「無様な姿を見せぬよう、我も精進しなければ」
「………どうやら、歓迎してくれているみたいだ」
「良かったな」
「ああ」
「…………よし、とりあえず今日のところはドルツに屋敷の案内をしてやるか」
「あ、そういえば、あそこを調べるの忘れてたわ」
一通り屋敷内を案内し、このままの流れで例の場所へと向かおうと思ったタイミングでこの間から、やろうと思ってそのまま忘れてしまっていたことを思い出してしまった。
「あそこ?」
「アスカがこの世界で最初に目覚めた場所だ」
「というと………」
「地下室だ」
「ここか………」
そこは想像と違って、そこまで汚くもなければ、また湿気があるという訳でもなかった。どこか神聖な気配の漂う地下の空間。一歩一歩進む度に音が反響し、周りのちょっとした動きに気を取られる程、静まり返っている。別に悪いことをしている訳でもないのにここを訪れた多くの者はおそらく、小声でのやり取りを余儀なくされるだろう。簡単に説明すると場に呑まれて、気を遣ってしまうのだ…………だが、俺達にそんなものは一切関係ない。ズカズカと無遠慮にただ一箇所を目指し、進む…………一室の中央。その床に描かれた魔法陣へと向かって。
「…………なるほど」
魔法陣まで近付いて、神眼で見てみるとその詳細が分かった。どうやら、この魔法陣に魔力を流すと生物をどこかから召喚することができるらしい。ただし、1人1回までみたいだが。ちなみに流す魔力の量と召喚を行った者の質によって、召喚される生物のランクも変わるようだ。
「これによって、アスカは召喚されたのか?」
「分かりません。私が目覚めた時には周りには誰もいませんでしたから」
「…………そうか。それにしても召喚された後、こうして無事に出会えたことはもしかしたら、奇跡的なことなのかもしれない。そう思うとここに来て良かったと改めて感じるわ」
「シンヤさん………」
「だが、このようなことが今後あってはならない。何かの間違いで知らない間に屋敷内に生物が召喚されでもしたら、リラックスする
どころじゃないからな。ということで魔法陣は壊すことにする」
「壊す?一体、どうやって?」
「どうやら、あと1回使用すれば自然と壊れるらしい。だから、俺が使ってみるわ…………お前ら、一応離れておけよ」
その言葉を合図に皆、一斉に離れだす。一方、俺は魔法陣の前に立ち、少しずつ魔力を送り込み始めた。
「………よし、こんなもんか。じゃあ、いくぞ………召喚!」
魔法陣が壊れるギリギリまで魔力を注ぎ込み、召喚を開始した。すると部屋一帯が呼応するように光り出し、やがて目を開けていられないほどにまでなった。しばらく経った頃、光が収まり、目を開けても問題ない状態になるとすかさず、魔法陣があった場所を見た。そこにいたのは
「うぅ~ん、一体、誰がミーにこんなことをしやがるデス?」
「……あれ?ここはどこなの?ボクは何でこんなところにいるの?」
桃色の長髪に頭上を黄色のリングが浮いている白い翼の天使と紫色の短髪に頭から反り返った角と先が鏃のようになっている尻尾がお尻から生えている黒い翼の悪魔がいた。
「ああ」
「こりゃ、参ったな」
「どうした?」
「断る理由が見当たらないから、困っているんだ」
「?」
「さっき、色んな人から声を掛けられていたことから分かるように今や、シンヤ達はフリーダムの特に冒険者達から注目の的なんだ。黒天の星に入りたい奴なんて、腐るほどいる。そんな中、俺みたいな冒険者ですらないような者が入ってもいいものか………正直、俺の気持ちとしては先の申し出はとても嬉しかったし、遠くから見守るつもりが内輪で過ごすなんて経験、おそらくほとんどの者はできないだろう。だから…………」
「そんなの気にすんな。俺はお前が欲しいと思ったから、誘っているんだ。大事なのはお前の気持ちだ。他の奴らのことなんて、考えなくていい」
「そうか?」
「ああ。お前は……ドルツはどうしたい?」
「…………」
そこでたっぷりと10秒ほど間を置いて、ドルツは言った。
「ぜひ、お受けさせて頂く。これから、よろしく頼む」
「久しぶり。いきなりで悪いんだが、こいつの冒険者・クラン登録と魔物の買取を頼む」
「あ、シンヤさん!お久しぶりです!…………って、ええ!?なんでドルツさんが!?」
「まぁ、色々あってな………ってことで今日で情報屋は廃業。ここから、新たな人生を歩んでいくんで、よろしく」
「は、はぁ………あ、登録と買取でしたね。すみません、今やります」
――――――――――――――――――――
「おい、ズボラ!魂の供給率はどうなっている!」
「へい!現在、23%となっております」
「まだそこなのか!?これは少しテコ入れが必要だな…………よし。人員をまだ手を伸ばしていない場所にも送り込むとしよう………待てよ?必要そうなら、既に手をつけている地にも追加で送り込むのもアリか。ま、それよりも優先すべきことがあるが………おい、ズボラ!各地に潜伏している教徒へ伝書鳩を飛ばせ!」
「へい!して、文面は如何様に?」
「たった一言、こうだ……………動き出せ!と」
――――――――――――――――――――
「ここが俺達のクランハウスだ」
「へ~デカイな」
「そうか?」
「ああ…………っても他のとこはそこまで知らないんだけどな」
「クランメンバーになったからにはここを拠点として活動してもらう。したがって、今住んでいる家は引き払ってくれ」
「ここに住んでも大丈夫なのか?」
「心配すんな。部屋はいくらでもある」
「そうか。では改めて…………みんな、これからよろしく頼む」
「こちらこそ」
「よろしくお願いします、ドルツさん」
「くっ………優秀そうなのがまた………これでは私の立場がますます、なくなりますわ」
「いい酒を酌み交わせそうだぜ!」
「また、後輩が、増えた」
「でも鬼のレベル上げに耐えられるんでしょうか」
「シンヤが認めた人物じゃ。心配することはなかろう」
「無様な姿を見せぬよう、我も精進しなければ」
「………どうやら、歓迎してくれているみたいだ」
「良かったな」
「ああ」
「…………よし、とりあえず今日のところはドルツに屋敷の案内をしてやるか」
「あ、そういえば、あそこを調べるの忘れてたわ」
一通り屋敷内を案内し、このままの流れで例の場所へと向かおうと思ったタイミングでこの間から、やろうと思ってそのまま忘れてしまっていたことを思い出してしまった。
「あそこ?」
「アスカがこの世界で最初に目覚めた場所だ」
「というと………」
「地下室だ」
「ここか………」
そこは想像と違って、そこまで汚くもなければ、また湿気があるという訳でもなかった。どこか神聖な気配の漂う地下の空間。一歩一歩進む度に音が反響し、周りのちょっとした動きに気を取られる程、静まり返っている。別に悪いことをしている訳でもないのにここを訪れた多くの者はおそらく、小声でのやり取りを余儀なくされるだろう。簡単に説明すると場に呑まれて、気を遣ってしまうのだ…………だが、俺達にそんなものは一切関係ない。ズカズカと無遠慮にただ一箇所を目指し、進む…………一室の中央。その床に描かれた魔法陣へと向かって。
「…………なるほど」
魔法陣まで近付いて、神眼で見てみるとその詳細が分かった。どうやら、この魔法陣に魔力を流すと生物をどこかから召喚することができるらしい。ただし、1人1回までみたいだが。ちなみに流す魔力の量と召喚を行った者の質によって、召喚される生物のランクも変わるようだ。
「これによって、アスカは召喚されたのか?」
「分かりません。私が目覚めた時には周りには誰もいませんでしたから」
「…………そうか。それにしても召喚された後、こうして無事に出会えたことはもしかしたら、奇跡的なことなのかもしれない。そう思うとここに来て良かったと改めて感じるわ」
「シンヤさん………」
「だが、このようなことが今後あってはならない。何かの間違いで知らない間に屋敷内に生物が召喚されでもしたら、リラックスする
どころじゃないからな。ということで魔法陣は壊すことにする」
「壊す?一体、どうやって?」
「どうやら、あと1回使用すれば自然と壊れるらしい。だから、俺が使ってみるわ…………お前ら、一応離れておけよ」
その言葉を合図に皆、一斉に離れだす。一方、俺は魔法陣の前に立ち、少しずつ魔力を送り込み始めた。
「………よし、こんなもんか。じゃあ、いくぞ………召喚!」
魔法陣が壊れるギリギリまで魔力を注ぎ込み、召喚を開始した。すると部屋一帯が呼応するように光り出し、やがて目を開けていられないほどにまでなった。しばらく経った頃、光が収まり、目を開けても問題ない状態になるとすかさず、魔法陣があった場所を見た。そこにいたのは
「うぅ~ん、一体、誰がミーにこんなことをしやがるデス?」
「……あれ?ここはどこなの?ボクは何でこんなところにいるの?」
桃色の長髪に頭上を黄色のリングが浮いている白い翼の天使と紫色の短髪に頭から反り返った角と先が鏃のようになっている尻尾がお尻から生えている黒い翼の悪魔がいた。
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