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第9章 フォレスト国
第137話 国民の願い/冒険者の現状
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「なぁ、最近あまり良くない噂を耳にするんだが……………」
「あれだろ?後継者争いがどうとかいう……………」
「そう、それだよ。で、王城内がゴタゴタとしてて、王子達が取り巻きなんかも侍らせているらしい」
「あとはそれが国民の方にまで迫ってきて、巻き込まれているのも中にはいるみたいだぞ?まぁ、本当にただの噂で信じていない奴も多いがな」
「お前も信じていないのか?」
「まぁな。だって、俄には信じ難いだろ。後継者争いに俺達国民を巻き込むなんてな……………まぁ、そんなのは大したことのない噂だ。もう1つの方がよっぽどやばい」
「やばい?どんなことだ?」
「まぁ、これも噂なんだが……………第一王子と第二王子、それぞれの目指す国家っていうのがどうやら、とんでもないみたいだ」
「どんな風に?」
「武装国家と法治国家だってよ…………名前からして、恐ろしいだろ?」
「でも、それは良いことなんじゃないのか?どちらも国を守ろうとする在り方だろ?」
「それ自体はな?だが、問題はそこじゃない。その方法だ……………なんとそこに割く人員は国民とこの国に滞在している冒険者で賄うらしい」
「……………は?どういうことだ?俺達は戦うことも出来なければ、法とやらにも詳しくはないぞ。冒険者だって国自体に仕える為にここにいる訳じゃないだろ」
「ああ。だが、国にそこまでの余裕がないんだと。人手も金もなく、他に良い伝手がある訳でもない。だから、俺達を使う。しかもどうやら、それだけじゃなくて税金を上げたり、他の手法で俺達から金まで搾り取っていくとかなんとか……………」
「おいおい、そんなの滅茶苦茶じゃないか。お、俺はそんなの認めたくない!国は王達だけのものじゃないだろ!俺達には自分達の幸せな人生を追い求める権利があるんだ!決して国の傀儡なんかじゃない!」
「そうだな。でも単なる噂だぞ?」
「にしてもだ!火の無い所に煙は立たぬって言うだろ?一応、本当のこととして捉えておいた方がいいんじゃないか?」
「かもしれないな」
「そ、そうだ!今から、国民全員の署名を集めて提出するっていうのはどうだ?これが国民達の声です!ってな感じでさ」
「お前、忘れたのか?一部国民達は既に王子達に巻き込まれているかもしれないって。しかもその数は日に日に増えているかもしれない。一体、誰に王子達の息がかかっているのか分からないんだぞ?お前はそんな中に飛び込めるのか?もし、その行動が王子達の耳にでも入ってしまえば、極刑は免れないかもしれないんだぞ?」
「ま、まさか、そんなことにまでは…………」
「いや、分からんぞ。人間、焦っている時や緊急事態では何をやらかすのか知れたもんじゃない。余裕がない今の状況では何が起こっても不思議ではないな。それこそ、お前がその次の日も無事に生きている保障などないほどにな」
「…………ゴクンっ」
「だから、俺達にできることといったら、手を合わせて願うことだけだ。この国が悪い方向へ変わってしまうよう、ただひたすらな」
――――――――――――――――――――
「おい、これは一体どういうことなんだ!報酬がどれも低くなってんじゃねぇか!」
「申し訳ございません。これらはどれも国からの依頼なんですがそこまでの余裕がないらしく、仲介している我々もそこまで頂いていないので自然とこのような金額に……………」
「おめぇらの事情なんて知ったことじゃねぇんだよ!こちとら、冒険者だぞ!一体、誰のおかげでお前ら冒険者ギルドがやっていけてると思ってる!」
「おいおい、リツヤタ。少しは落ち着け」
「うるせぇ!」
「すみませんね、受付嬢さん。こいつ、最近イライラしているみたいで……………ほら、今話題の"黒天の星"ってクランがあるでしょ?邪神を討伐したり、傘下をつけたり、何かと話題な。こいつ、そいつらに嫉妬してるんですよ」
「おい!余計なことを言うんじゃねぇ!」
「ふふっ」
「おい、受付嬢!お前、今笑ったな?」
「あっ…………も、申し訳ございません!リツヤタ様のご意見は真摯に受け止めさせて頂くとして他の依頼を選んでは如何でしょうか?」
「できるなら、やってんだよ!だが、毎日依頼が減っていってんじゃねぇか!これはどういうことだ!」
「それは……………」
「何だ?言えよ」
「あの…………発狂しませんか?」
「しねぇよ。俺はそこまで短気じゃねぇ」
「どの口が言うんだか(ボソッ)」
「ん?何か言ったか?」
「い、いえ!ほ、本当にいいんですね?聞いて後悔しても知りませんよ?」
「いいから言え」
「了解致しました。では単刀直入に申し上げますね。この国以外からの依頼が減っている理由。それは………………先程も話題に挙がったクラン"黒天の星"が関係しています」
「…………何だって?」
「彼等のこれまでの活躍や実績から、今までこのギルドへと依頼していた周辺の村や街の方々が別の場所…………具体的にはフリーダムやシリスティラビンへとわざわざ向かい、そこの冒険者ギルドへと依頼をしているのです」
「おい、そこって」
「はい。彼等が活動の拠点としているところです」
「く、く、くそがあああぁぁぁっ~ー!あいつらああぁぁっ!うがああぁぁ~~!」
「おい、落ち着け!す、すみません!受付嬢さん、今日のところはお暇します」
「は、はい!ありがとうございます。またお越し下さいませ」
その後、うるさく騒ぎながら、男は相方の男に引っ張られて外へと出て行った。そして、残された受付嬢はたった一言、こう呟いた。
「だから、忠告したのに…………」
「あれだろ?後継者争いがどうとかいう……………」
「そう、それだよ。で、王城内がゴタゴタとしてて、王子達が取り巻きなんかも侍らせているらしい」
「あとはそれが国民の方にまで迫ってきて、巻き込まれているのも中にはいるみたいだぞ?まぁ、本当にただの噂で信じていない奴も多いがな」
「お前も信じていないのか?」
「まぁな。だって、俄には信じ難いだろ。後継者争いに俺達国民を巻き込むなんてな……………まぁ、そんなのは大したことのない噂だ。もう1つの方がよっぽどやばい」
「やばい?どんなことだ?」
「まぁ、これも噂なんだが……………第一王子と第二王子、それぞれの目指す国家っていうのがどうやら、とんでもないみたいだ」
「どんな風に?」
「武装国家と法治国家だってよ…………名前からして、恐ろしいだろ?」
「でも、それは良いことなんじゃないのか?どちらも国を守ろうとする在り方だろ?」
「それ自体はな?だが、問題はそこじゃない。その方法だ……………なんとそこに割く人員は国民とこの国に滞在している冒険者で賄うらしい」
「……………は?どういうことだ?俺達は戦うことも出来なければ、法とやらにも詳しくはないぞ。冒険者だって国自体に仕える為にここにいる訳じゃないだろ」
「ああ。だが、国にそこまでの余裕がないんだと。人手も金もなく、他に良い伝手がある訳でもない。だから、俺達を使う。しかもどうやら、それだけじゃなくて税金を上げたり、他の手法で俺達から金まで搾り取っていくとかなんとか……………」
「おいおい、そんなの滅茶苦茶じゃないか。お、俺はそんなの認めたくない!国は王達だけのものじゃないだろ!俺達には自分達の幸せな人生を追い求める権利があるんだ!決して国の傀儡なんかじゃない!」
「そうだな。でも単なる噂だぞ?」
「にしてもだ!火の無い所に煙は立たぬって言うだろ?一応、本当のこととして捉えておいた方がいいんじゃないか?」
「かもしれないな」
「そ、そうだ!今から、国民全員の署名を集めて提出するっていうのはどうだ?これが国民達の声です!ってな感じでさ」
「お前、忘れたのか?一部国民達は既に王子達に巻き込まれているかもしれないって。しかもその数は日に日に増えているかもしれない。一体、誰に王子達の息がかかっているのか分からないんだぞ?お前はそんな中に飛び込めるのか?もし、その行動が王子達の耳にでも入ってしまえば、極刑は免れないかもしれないんだぞ?」
「ま、まさか、そんなことにまでは…………」
「いや、分からんぞ。人間、焦っている時や緊急事態では何をやらかすのか知れたもんじゃない。余裕がない今の状況では何が起こっても不思議ではないな。それこそ、お前がその次の日も無事に生きている保障などないほどにな」
「…………ゴクンっ」
「だから、俺達にできることといったら、手を合わせて願うことだけだ。この国が悪い方向へ変わってしまうよう、ただひたすらな」
――――――――――――――――――――
「おい、これは一体どういうことなんだ!報酬がどれも低くなってんじゃねぇか!」
「申し訳ございません。これらはどれも国からの依頼なんですがそこまでの余裕がないらしく、仲介している我々もそこまで頂いていないので自然とこのような金額に……………」
「おめぇらの事情なんて知ったことじゃねぇんだよ!こちとら、冒険者だぞ!一体、誰のおかげでお前ら冒険者ギルドがやっていけてると思ってる!」
「おいおい、リツヤタ。少しは落ち着け」
「うるせぇ!」
「すみませんね、受付嬢さん。こいつ、最近イライラしているみたいで……………ほら、今話題の"黒天の星"ってクランがあるでしょ?邪神を討伐したり、傘下をつけたり、何かと話題な。こいつ、そいつらに嫉妬してるんですよ」
「おい!余計なことを言うんじゃねぇ!」
「ふふっ」
「おい、受付嬢!お前、今笑ったな?」
「あっ…………も、申し訳ございません!リツヤタ様のご意見は真摯に受け止めさせて頂くとして他の依頼を選んでは如何でしょうか?」
「できるなら、やってんだよ!だが、毎日依頼が減っていってんじゃねぇか!これはどういうことだ!」
「それは……………」
「何だ?言えよ」
「あの…………発狂しませんか?」
「しねぇよ。俺はそこまで短気じゃねぇ」
「どの口が言うんだか(ボソッ)」
「ん?何か言ったか?」
「い、いえ!ほ、本当にいいんですね?聞いて後悔しても知りませんよ?」
「いいから言え」
「了解致しました。では単刀直入に申し上げますね。この国以外からの依頼が減っている理由。それは………………先程も話題に挙がったクラン"黒天の星"が関係しています」
「…………何だって?」
「彼等のこれまでの活躍や実績から、今までこのギルドへと依頼していた周辺の村や街の方々が別の場所…………具体的にはフリーダムやシリスティラビンへとわざわざ向かい、そこの冒険者ギルドへと依頼をしているのです」
「おい、そこって」
「はい。彼等が活動の拠点としているところです」
「く、く、くそがあああぁぁぁっ~ー!あいつらああぁぁっ!うがああぁぁ~~!」
「おい、落ち着け!す、すみません!受付嬢さん、今日のところはお暇します」
「は、はい!ありがとうございます。またお越し下さいませ」
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「だから、忠告したのに…………」
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