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第11章 軍団戦争
第223話 軍団戦争2
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「あれが敵の傘下……………そして、その
先頭で横一列に広がって立っているのが
"十彗"か」
"碧い鷹爪"の一員である冒険者は目の
前の光景に目を鋭くしながら、呟いた。
と同時に先程の|軍団長《レギオンマス
ター》の言葉が脳裏に蘇る。
「いいか?お前ら傘下は敵の傘下を相手
にしろ。"黒天の星"は幹部以上はもち
ろんのこと、一般兵ですら油断はできね
ぇ。絶対に俺達を助けようなんて馬鹿な
ことは考えるなよ……………それから、数
で上回っているからとはいえ、決して侮
るな」
最初にその発言を聞いた時は自分達の信
じる軍団長が何
を言っているんだと感じた冒険者。そん
な慎重でどうする。いつもみたいに堂々
と胸を張って、俺達にかっこいい背中を
見せつけてくれよと。しかし、今なら、
その意味がよく分かった。
「確か、数では俺達の方が上回っている
んだったよな?」
「ああ。向こうの傘下は10。それに対
して、こっちは20。倍だ」
「そうだよな……………」
「お前の言いたそうなことは分かる。正
直、俺も同じ気持ちだ」
「分かるか?」
「ああ。つまり、こうだろ?なんであい
つらは俺達の半分の数しかいないのにあ
んなに自信満々で立ち、闘志を漲らせて
いるのか」
「まさにその気持ちだ。それとあいつら
から感じるプレッシャーが半端じゃね
ぇ。一体、どんな修羅場を乗り越えてき
ているんだってくらい」
「こりゃ、うかうかしていられねぇな。
本気で潰しにいかねぇと」
「おい………………死人は出すなよ」
「分かってるよ。だが、まぁ俺達にそこ
までの余裕があるかは分からないがな」
「違いない」
――――――――――――――――――
「"黒の系譜"の一員として活動し始め
てから、初めての大仕事だな」
「腕が鳴ります」
「お前ら、凄いやる気だな」
「そういうお前もな」
「それでも落ち着きは必要でしょ」
「やっと自分達の修練の成果を試せる時
がきたな」
「思う存分に暴れていいと言われている
し、こりゃいいな」
「心機一転。生まれ変わった俺達を見せてやる」
「この戦いに勝てば、俺達も次のステー
ジに進んだってことだ」
「先輩方、凄いですね……………まぁ、僕
も負けていませんけど」
もう1つの方の陣営では敵の傘下を見据
えて、"十彗"と呼ばれる傘下のクラン
マスター達が楽しそうに会話を交わして
いた。
「……………敵が動き始めたな。では総
員、計画通りに殲滅を行うこと。それで
はいくぞ!突き進め~!」
しかし、それも数十秒のこと。敵の進軍
開始を見てとるとすぐに武器を構えて臨
戦態勢になり、傘下の中でリーダーを務
めるギースの掛け声と共に動き出した。
――――――――――――――――――
「お、おい!冗談だろ!?」
冒険者は思わず叫んだ。決して油断して
いた訳ではない。いくら倍の数で有利だ
からといって、本番は何が起こるか分か
らない。敵の戦闘力も未知数。とはいっ
ても今までの冒険者活動で養われた目で
おおよそのことは分かる筈……………だ
が、見積りが甘かった。
「ぐはあっ!」
「うぐっ!」
「くそがっ!」
目の前で次々に斬り伏せられていく仲間
達を見て、開いた方が塞がらない。今、
自分の見ている光景が果たして現実のも
のなのか、もしかしたら悪い夢の中にい
るのではないか、そう錯覚してしまうほ
ど異常だった。
「どうだ?うちのメンバーは強いだろ?
"甲乱"ノズルよ」
声が聞こえ、振り返るとそこには戦場に
はおよそ似つかわしくない金髪の美青年
がいた。
「"剣聖"ギース…………貴様、一体ど
んな手を使ったんだ」
「ん?俺達はただただ剣で斬っていって
るだけだぞ。まぁ、クラン名が"剣の誓
い"っていうぐらいだ。うちには剣士が多いからな。それにしてもお前
ら…………何て言ったっけ?……………あ
ぁ、思い出した。"亀の甲羅"か。随
分、脆い装備なんだな。重そうな鎧をつ
けてるから、てっきり硬いのかと思って
たぞ。ただの厚着じゃん。ここ、そんな
に寒いか?」
「んな訳ないだろ!うちは全員、アイア
ンタートルの素材を使用した鎧を着てい
る。うちのが脆いんじゃない。お前らの
剣の斬れ味が良すぎるんだ!それから、
俺達のクラン名は"竜甲軍"だ!一文字
しか合ってないじゃないか!」
「いや、アイアンタートルの鎧を着てい
るなら、"亀の甲羅"って名前の方がい
いだろ。改名しろよ」
「貴様にそんなことを言われる筋合いは
ない!ふざけやがって!」
「それもそうだな。なら、俺が勝ったら
改名してもらうとするか」
「貴様なんぞには絶対に負けん!」
「"王剣山"!」
「"巨盾受け"!!」
大振りの剣による一撃と体を覆い尽くす
程巨大な盾がぶつかった瞬間だった。
先頭で横一列に広がって立っているのが
"十彗"か」
"碧い鷹爪"の一員である冒険者は目の
前の光景に目を鋭くしながら、呟いた。
と同時に先程の|軍団長《レギオンマス
ター》の言葉が脳裏に蘇る。
「いいか?お前ら傘下は敵の傘下を相手
にしろ。"黒天の星"は幹部以上はもち
ろんのこと、一般兵ですら油断はできね
ぇ。絶対に俺達を助けようなんて馬鹿な
ことは考えるなよ……………それから、数
で上回っているからとはいえ、決して侮
るな」
最初にその発言を聞いた時は自分達の信
じる軍団長が何
を言っているんだと感じた冒険者。そん
な慎重でどうする。いつもみたいに堂々
と胸を張って、俺達にかっこいい背中を
見せつけてくれよと。しかし、今なら、
その意味がよく分かった。
「確か、数では俺達の方が上回っている
んだったよな?」
「ああ。向こうの傘下は10。それに対
して、こっちは20。倍だ」
「そうだよな……………」
「お前の言いたそうなことは分かる。正
直、俺も同じ気持ちだ」
「分かるか?」
「ああ。つまり、こうだろ?なんであい
つらは俺達の半分の数しかいないのにあ
んなに自信満々で立ち、闘志を漲らせて
いるのか」
「まさにその気持ちだ。それとあいつら
から感じるプレッシャーが半端じゃね
ぇ。一体、どんな修羅場を乗り越えてき
ているんだってくらい」
「こりゃ、うかうかしていられねぇな。
本気で潰しにいかねぇと」
「おい………………死人は出すなよ」
「分かってるよ。だが、まぁ俺達にそこ
までの余裕があるかは分からないがな」
「違いない」
――――――――――――――――――
「"黒の系譜"の一員として活動し始め
てから、初めての大仕事だな」
「腕が鳴ります」
「お前ら、凄いやる気だな」
「そういうお前もな」
「それでも落ち着きは必要でしょ」
「やっと自分達の修練の成果を試せる時
がきたな」
「思う存分に暴れていいと言われている
し、こりゃいいな」
「心機一転。生まれ変わった俺達を見せてやる」
「この戦いに勝てば、俺達も次のステー
ジに進んだってことだ」
「先輩方、凄いですね……………まぁ、僕
も負けていませんけど」
もう1つの方の陣営では敵の傘下を見据
えて、"十彗"と呼ばれる傘下のクラン
マスター達が楽しそうに会話を交わして
いた。
「……………敵が動き始めたな。では総
員、計画通りに殲滅を行うこと。それで
はいくぞ!突き進め~!」
しかし、それも数十秒のこと。敵の進軍
開始を見てとるとすぐに武器を構えて臨
戦態勢になり、傘下の中でリーダーを務
めるギースの掛け声と共に動き出した。
――――――――――――――――――
「お、おい!冗談だろ!?」
冒険者は思わず叫んだ。決して油断して
いた訳ではない。いくら倍の数で有利だ
からといって、本番は何が起こるか分か
らない。敵の戦闘力も未知数。とはいっ
ても今までの冒険者活動で養われた目で
おおよそのことは分かる筈……………だ
が、見積りが甘かった。
「ぐはあっ!」
「うぐっ!」
「くそがっ!」
目の前で次々に斬り伏せられていく仲間
達を見て、開いた方が塞がらない。今、
自分の見ている光景が果たして現実のも
のなのか、もしかしたら悪い夢の中にい
るのではないか、そう錯覚してしまうほ
ど異常だった。
「どうだ?うちのメンバーは強いだろ?
"甲乱"ノズルよ」
声が聞こえ、振り返るとそこには戦場に
はおよそ似つかわしくない金髪の美青年
がいた。
「"剣聖"ギース…………貴様、一体ど
んな手を使ったんだ」
「ん?俺達はただただ剣で斬っていって
るだけだぞ。まぁ、クラン名が"剣の誓
い"っていうぐらいだ。うちには剣士が多いからな。それにしてもお前
ら…………何て言ったっけ?……………あ
ぁ、思い出した。"亀の甲羅"か。随
分、脆い装備なんだな。重そうな鎧をつ
けてるから、てっきり硬いのかと思って
たぞ。ただの厚着じゃん。ここ、そんな
に寒いか?」
「んな訳ないだろ!うちは全員、アイア
ンタートルの素材を使用した鎧を着てい
る。うちのが脆いんじゃない。お前らの
剣の斬れ味が良すぎるんだ!それから、
俺達のクラン名は"竜甲軍"だ!一文字
しか合ってないじゃないか!」
「いや、アイアンタートルの鎧を着てい
るなら、"亀の甲羅"って名前の方がい
いだろ。改名しろよ」
「貴様にそんなことを言われる筋合いは
ない!ふざけやがって!」
「それもそうだな。なら、俺が勝ったら
改名してもらうとするか」
「貴様なんぞには絶対に負けん!」
「"王剣山"!」
「"巨盾受け"!!」
大振りの剣による一撃と体を覆い尽くす
程巨大な盾がぶつかった瞬間だった。
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