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第12章 vs聖義の剣
第233話 ゲーム
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「ん?何だ、お前達?ここはワシの家の
敷地内じゃぞ。どうして勝手に入
っ………」
「うるさい」
「ごおっ!?」
その日、世界各地に白い修道服を着た集
団が現れた。
「な、何なんだよ!お、俺達が一体何を
したっていうんだ!」
「黙れ」
「ギャーッ!?」
その集団は何の目的があるのか、時に街
へ、時に国へ、はたまた街道へ赴き、
次々とあらゆる者を無差別に襲い始め
た。
「ゆ、許してくれ!俺には妻も子もいる
んだ!」
「ではそいつらも一緒にあの世へと送っ
てやろう」
「や、やめてく………」
選ばれた者に規則性はなく、戦えるかそ
うでないかは関係なかった。狙われた者
は運が悪いとしか言いようがなく、戦う
術を持たない一般人では対処のしようも
ない。また冒険者であっても低ランクで
は太刀打ちできず…………
「この野郎!」
「ぬるいな」
「お、俺の攻撃が効いてねぇ!?」
「潔く逝け」
「ぐわあああっ!う、腕があああ
あ!?」
事態は一刻を争い、この惨状にいち早く
気が付いた国では兵士を急いで動員し、
現場の収拾へと向かわせた。また別の街
では普段、見回りをしている衛兵を全て
召集し、その集団の掃討に当たらせた。
各地でできうる限りでの対処がされるそ
んな中、冒険者ギルドもただ黙って指を
咥えて見ているだけではない。つい今し
がた、緊急ギルマス会議が開かれ、対処
についての話し合いが行われたばかりな
のだ。それは時間にして、5分にも満た
ない迅速なもの。それほど切羽詰まった
ものだった。
「以上で会議は終わりだ。では各自の健
闘を祈る」
「了解!それにしても邪神災害の件があ
ってから、何かあった時の為に備えをし
ておいて良かったですね」
「口を慎め。それが財政上や人の問題で
できてないところもあるんだ」
「すみません!」
「だが、まぁ備えあれば憂いなしという
のは事実だ。余裕のある奴らは他の場所
の救援に向かうぞ!」
「「「はい!!!」」」
それぞれがそれぞれの思いを胸に動き出
す。邪神災害を彷彿とさせる今回の事
件。もう二度とあんなことを繰り返させ
てはならない。戦える者は各地で固く拳
を握り、己の大切な人を街を暮らし
を…………守りたいと思った全てのもの
の為に滾る心の刃を振るった。
――――――――――――――――――
「前もこんなことなかったか?」
「ありましたね」
「皆、既に動き出していますわ」
「ったく、何で世の中はこうも馬鹿ばっ
かりなんだ」
「ゴミ掃除、大変」
「でも目的は何でしょうか?」
「どうせ碌なことじゃなかろう」
「だろうな。もう少し有意義な時間の使
い方をして欲しいもんだ。我も暇ではな
いぞ」
「よく言うぜ。さっきまでカグヤと酒の
飲み比べをしていた癖に」
「結局、ミー達は怪しそうな奴らを片っ
端からぶった斬ればいいんデス?」
「エル、脳筋すぎるの。そして、ボクは
眠いの」
「レオナはいつもそれだね。でも、欠伸
が出るぐらい連中のしていることはくだ
らないよね」
「本当よ。せっかくこれから、シンヤと
デートする筈だったのに。邪魔しないで
欲しいわ……………ボソッ」
シンヤ達はフリーダムのクランハウスを
出て、ギルド前へと向かう。そこには映
像の魔道具があり、これから何かが映し
出されるということで移動しているの
だ。
「おおかた予想はつくがな」
「こんにちは、世界中のゴミ共」
それは最悪な挨拶から始まった。魔道具
には黒髪黒眼の青年が感情の読めない顔
をしながら、不特定多数の者に向かって
話しかけ始めた。
「俺の名前はハジメ。突然、こんな形で
の登場に驚いている者もいると思うが、
まずは俺の話を聞け。今、各地で起きて
いる騒動……………その元凶は俺だ」
この発言に多くの者は驚き、それから食
い入るように魔道具に映る男を見つめ
た。自分達を恐怖に陥れようとしている
のが一体どんな人物であるのか、そこか
ら分かることは少ないかもしれないがそ
うせずにはいられなかったのだ。
「俺達は組織として動き、世界各地でこ
の騒動を起こしている。組織の名は"|
聖義《せいぎ》の剣"。そ
して、俺の横にいるのは幹部である"十
王剣武"だ」
人々は彼らに対して、ただならぬ異様さ
を感じ紡がれる言葉の1つ1つに心臓を
鷲掴みにされるような感覚を覚えた。た
だそんな思いをしてでも目を逸らすこと
は決してできなかった。
「俺達の目的が分からず、不安な者はさ
ぞ多いことだろう。だから、俺がこうし
て魔道具を使って貴様らの不安を取り除
く方法を教えてやろうとしたんだ。感謝
しろ」
自分勝手なその物言いに腹が立つ者は多
かった。しかし、今はただ黙って続きの
言葉を待つことにした。
「俺から1つ提案がある。これから、ゲ
ームをしないか?ここにいる幹部達にそ
れぞれ鍵を持たせて、別の場所へと解き
放つ。そこで貴様らゴミ共は脆弱な力を
合わせて、幹部達を倒し鍵を手に入れる
んだ。そして、その鍵を全て集めたら俺
のところまで来い。そうしたら、俺達の
目的を教え、お前達を今ある恐怖から解
放してやる」
「な、なんだと…………」
「ゲーム!?ふざけやがって!」
「人の命を何だと思っているの!?」
ここにきて、ようやく黙っていた人々は
声を発する。男に届いていないと知りな
がら、それでも荒れ狂う感情をぶつけず
にはいられなかった。
「ちなみに俺の今いる場所は獣人領と魔
族領の間に位置する場所だ。俺はここか
ら一歩も動かない。勇気と無謀を履き違
えた愚かな者共よ、貴様らの挑戦をここ
で待つ……………さぁ、ゲームスタート
だ」
今、最悪なゲームが幕を開けた。
敷地内じゃぞ。どうして勝手に入
っ………」
「うるさい」
「ごおっ!?」
その日、世界各地に白い修道服を着た集
団が現れた。
「な、何なんだよ!お、俺達が一体何を
したっていうんだ!」
「黙れ」
「ギャーッ!?」
その集団は何の目的があるのか、時に街
へ、時に国へ、はたまた街道へ赴き、
次々とあらゆる者を無差別に襲い始め
た。
「ゆ、許してくれ!俺には妻も子もいる
んだ!」
「ではそいつらも一緒にあの世へと送っ
てやろう」
「や、やめてく………」
選ばれた者に規則性はなく、戦えるかそ
うでないかは関係なかった。狙われた者
は運が悪いとしか言いようがなく、戦う
術を持たない一般人では対処のしようも
ない。また冒険者であっても低ランクで
は太刀打ちできず…………
「この野郎!」
「ぬるいな」
「お、俺の攻撃が効いてねぇ!?」
「潔く逝け」
「ぐわあああっ!う、腕があああ
あ!?」
事態は一刻を争い、この惨状にいち早く
気が付いた国では兵士を急いで動員し、
現場の収拾へと向かわせた。また別の街
では普段、見回りをしている衛兵を全て
召集し、その集団の掃討に当たらせた。
各地でできうる限りでの対処がされるそ
んな中、冒険者ギルドもただ黙って指を
咥えて見ているだけではない。つい今し
がた、緊急ギルマス会議が開かれ、対処
についての話し合いが行われたばかりな
のだ。それは時間にして、5分にも満た
ない迅速なもの。それほど切羽詰まった
ものだった。
「以上で会議は終わりだ。では各自の健
闘を祈る」
「了解!それにしても邪神災害の件があ
ってから、何かあった時の為に備えをし
ておいて良かったですね」
「口を慎め。それが財政上や人の問題で
できてないところもあるんだ」
「すみません!」
「だが、まぁ備えあれば憂いなしという
のは事実だ。余裕のある奴らは他の場所
の救援に向かうぞ!」
「「「はい!!!」」」
それぞれがそれぞれの思いを胸に動き出
す。邪神災害を彷彿とさせる今回の事
件。もう二度とあんなことを繰り返させ
てはならない。戦える者は各地で固く拳
を握り、己の大切な人を街を暮らし
を…………守りたいと思った全てのもの
の為に滾る心の刃を振るった。
――――――――――――――――――
「前もこんなことなかったか?」
「ありましたね」
「皆、既に動き出していますわ」
「ったく、何で世の中はこうも馬鹿ばっ
かりなんだ」
「ゴミ掃除、大変」
「でも目的は何でしょうか?」
「どうせ碌なことじゃなかろう」
「だろうな。もう少し有意義な時間の使
い方をして欲しいもんだ。我も暇ではな
いぞ」
「よく言うぜ。さっきまでカグヤと酒の
飲み比べをしていた癖に」
「結局、ミー達は怪しそうな奴らを片っ
端からぶった斬ればいいんデス?」
「エル、脳筋すぎるの。そして、ボクは
眠いの」
「レオナはいつもそれだね。でも、欠伸
が出るぐらい連中のしていることはくだ
らないよね」
「本当よ。せっかくこれから、シンヤと
デートする筈だったのに。邪魔しないで
欲しいわ……………ボソッ」
シンヤ達はフリーダムのクランハウスを
出て、ギルド前へと向かう。そこには映
像の魔道具があり、これから何かが映し
出されるということで移動しているの
だ。
「おおかた予想はつくがな」
「こんにちは、世界中のゴミ共」
それは最悪な挨拶から始まった。魔道具
には黒髪黒眼の青年が感情の読めない顔
をしながら、不特定多数の者に向かって
話しかけ始めた。
「俺の名前はハジメ。突然、こんな形で
の登場に驚いている者もいると思うが、
まずは俺の話を聞け。今、各地で起きて
いる騒動……………その元凶は俺だ」
この発言に多くの者は驚き、それから食
い入るように魔道具に映る男を見つめ
た。自分達を恐怖に陥れようとしている
のが一体どんな人物であるのか、そこか
ら分かることは少ないかもしれないがそ
うせずにはいられなかったのだ。
「俺達は組織として動き、世界各地でこ
の騒動を起こしている。組織の名は"|
聖義《せいぎ》の剣"。そ
して、俺の横にいるのは幹部である"十
王剣武"だ」
人々は彼らに対して、ただならぬ異様さ
を感じ紡がれる言葉の1つ1つに心臓を
鷲掴みにされるような感覚を覚えた。た
だそんな思いをしてでも目を逸らすこと
は決してできなかった。
「俺達の目的が分からず、不安な者はさ
ぞ多いことだろう。だから、俺がこうし
て魔道具を使って貴様らの不安を取り除
く方法を教えてやろうとしたんだ。感謝
しろ」
自分勝手なその物言いに腹が立つ者は多
かった。しかし、今はただ黙って続きの
言葉を待つことにした。
「俺から1つ提案がある。これから、ゲ
ームをしないか?ここにいる幹部達にそ
れぞれ鍵を持たせて、別の場所へと解き
放つ。そこで貴様らゴミ共は脆弱な力を
合わせて、幹部達を倒し鍵を手に入れる
んだ。そして、その鍵を全て集めたら俺
のところまで来い。そうしたら、俺達の
目的を教え、お前達を今ある恐怖から解
放してやる」
「な、なんだと…………」
「ゲーム!?ふざけやがって!」
「人の命を何だと思っているの!?」
ここにきて、ようやく黙っていた人々は
声を発する。男に届いていないと知りな
がら、それでも荒れ狂う感情をぶつけず
にはいられなかった。
「ちなみに俺の今いる場所は獣人領と魔
族領の間に位置する場所だ。俺はここか
ら一歩も動かない。勇気と無謀を履き違
えた愚かな者共よ、貴様らの挑戦をここ
で待つ……………さぁ、ゲームスタート
だ」
今、最悪なゲームが幕を開けた。
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