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14. 生意気ブラザー
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「こんにちは、アナスタシアさん」
ダニエルは大きめのバスケットを携えて、アナスタシアの研究室を訪れた。今日は何事もありませんようにと柄にもなく祈っていた。彼はアランやキャシーに辟易していたのだ。
「バリア、張りましたよ」
「ありがとう」
アナスタシアはさっとコージーの周りにバリアを張った。ダニエルは懲りずにバリア破りに挑戦していたのだ。はじめよりはアナスタシアのバリアについて理解が進み、コージーに手が届きそうだが、あと一歩のところでできない。囚われのコージーを取り出すことは未だ叶わず、ダニエルは四苦八苦していた。それでも、めげずにダニエルは頑張っている。
「今日はおにぎりを持ってきたよ」
「ありがとうございます」
ダニエルはバスケットの中から、三角形でのりが巻かれたおにぎりを取り出した。アナスタシアはありがたくもぐもぐいただいた。おにぎりの具はからあげと昆布、鮭だった。アナスタシアにとって食べやすいサイズ、形に整えられていた。
アナスタシアはバリアに苦戦するダニエルの顔を見ていたら、ふと、先日来た彼の弟ジョージのことを思い出した。
「そういえば、この前弟さんがいらしてましたよ」
「え、ここに?」
ダニエルは驚いてアナスタシアの方を振り返った。
「なんで?」
「さあ?ダニエルさんがよくここに来ているので、心配になったんですかね」
「ふーん」
ダニエルは家に帰ったらジョージを問い詰めようと心に誓った。何か余計なことをしたのではないかと怪しんだ。
「何話したの?」
「えっと、大したことは……。あっ、ジョージくん、ラーマーヤ魔法学校の生徒なんですね」
「ああ、うん。そうだよ」
「私もそこの出身なんです。少し懐かしい気持ちになりました」
「へえ」
アナスタシアはおにぎりをほうばりながら微笑んだ。その笑顔はダニエルの作ったおにぎりのおいしさからか、ジョージとの会話を思い出してのものか、ダニエルは大変気になった。
「お兄様想いのいい弟さんでしたね。とてもかわいらしい」
「へえー……」
あれがいい弟さん?くぁわいらしいだぁ?猫かぶっているだけだろ、とダニエルは心の中で毒づいた。ちなみに、外面の良さはジョージよりもダニエルの方が断然上である。
今回もダニエルはアナスタシアのバリアを破れないまま逢瀬を終え、仕事をある程度こなした後、家に帰った。そして、すぐさまゴロゴロしている弟のジョージを問い詰めた。
「ジョージ、なんで、アナスタシアさんのところに行った?」
「ん?兄さんが会いに行っているらしいからさ。ご迷惑かけてないかなって」
ジョージは兄の剣幕に気にせず、だらだらーだらだらーと横になった。たまの休みであるため、ジョージは完全にリラックスモードだ。
「余計なお世話だ。変なことはしてないだろうな」
「してないよ。おんなじ学校だったらしくてさ、話に花が咲いたなぁ」
「そうか……」
ジョージがものすっごく余計なことはしていなさそうだと感じて、ダニエルは少し安心した。
「そういえば、アナスタシアさんの妹の噂聞いたけれど大丈夫?妹マジ傲慢すぎでヤベーらしいじゃん」
ジョージがアナスタシアの研究室に行く際に、ドーロン伯爵家の噂について小耳に挟んだのだ。総括すると、両親に甘やかされすぎた妹がかなり横暴らしいとのことだ。
「ああ、なんとかする」
ダニエルはアナスタシアが家族に害される姿は見ていられないと思っている。ダニエルは特に人の家族の事情に首を突っ込むことは避けたいという思考の持ち主ではあるが、アナスタシアの件に限っては、俺が何とかしなくてはとさえ考えていた。
「へーえ」
ジョージの想像よりダニエルがアナスタシアの事情に深入りしているようでびっくりした。兄がアナスタシアに片足どころから全身ダイブして突っ込んでいるようで、ジョージは少し引いた。
「……あーあ、いい人だったなぁ。ホント、兄さんには勿体無いよ」
「本当に余計なお世話だ……!」
ははーん、生意気な弟になったぜとダニエルはこめかみをひくつかせた。
ダニエルは大きめのバスケットを携えて、アナスタシアの研究室を訪れた。今日は何事もありませんようにと柄にもなく祈っていた。彼はアランやキャシーに辟易していたのだ。
「バリア、張りましたよ」
「ありがとう」
アナスタシアはさっとコージーの周りにバリアを張った。ダニエルは懲りずにバリア破りに挑戦していたのだ。はじめよりはアナスタシアのバリアについて理解が進み、コージーに手が届きそうだが、あと一歩のところでできない。囚われのコージーを取り出すことは未だ叶わず、ダニエルは四苦八苦していた。それでも、めげずにダニエルは頑張っている。
「今日はおにぎりを持ってきたよ」
「ありがとうございます」
ダニエルはバスケットの中から、三角形でのりが巻かれたおにぎりを取り出した。アナスタシアはありがたくもぐもぐいただいた。おにぎりの具はからあげと昆布、鮭だった。アナスタシアにとって食べやすいサイズ、形に整えられていた。
アナスタシアはバリアに苦戦するダニエルの顔を見ていたら、ふと、先日来た彼の弟ジョージのことを思い出した。
「そういえば、この前弟さんがいらしてましたよ」
「え、ここに?」
ダニエルは驚いてアナスタシアの方を振り返った。
「なんで?」
「さあ?ダニエルさんがよくここに来ているので、心配になったんですかね」
「ふーん」
ダニエルは家に帰ったらジョージを問い詰めようと心に誓った。何か余計なことをしたのではないかと怪しんだ。
「何話したの?」
「えっと、大したことは……。あっ、ジョージくん、ラーマーヤ魔法学校の生徒なんですね」
「ああ、うん。そうだよ」
「私もそこの出身なんです。少し懐かしい気持ちになりました」
「へえ」
アナスタシアはおにぎりをほうばりながら微笑んだ。その笑顔はダニエルの作ったおにぎりのおいしさからか、ジョージとの会話を思い出してのものか、ダニエルは大変気になった。
「お兄様想いのいい弟さんでしたね。とてもかわいらしい」
「へえー……」
あれがいい弟さん?くぁわいらしいだぁ?猫かぶっているだけだろ、とダニエルは心の中で毒づいた。ちなみに、外面の良さはジョージよりもダニエルの方が断然上である。
今回もダニエルはアナスタシアのバリアを破れないまま逢瀬を終え、仕事をある程度こなした後、家に帰った。そして、すぐさまゴロゴロしている弟のジョージを問い詰めた。
「ジョージ、なんで、アナスタシアさんのところに行った?」
「ん?兄さんが会いに行っているらしいからさ。ご迷惑かけてないかなって」
ジョージは兄の剣幕に気にせず、だらだらーだらだらーと横になった。たまの休みであるため、ジョージは完全にリラックスモードだ。
「余計なお世話だ。変なことはしてないだろうな」
「してないよ。おんなじ学校だったらしくてさ、話に花が咲いたなぁ」
「そうか……」
ジョージがものすっごく余計なことはしていなさそうだと感じて、ダニエルは少し安心した。
「そういえば、アナスタシアさんの妹の噂聞いたけれど大丈夫?妹マジ傲慢すぎでヤベーらしいじゃん」
ジョージがアナスタシアの研究室に行く際に、ドーロン伯爵家の噂について小耳に挟んだのだ。総括すると、両親に甘やかされすぎた妹がかなり横暴らしいとのことだ。
「ああ、なんとかする」
ダニエルはアナスタシアが家族に害される姿は見ていられないと思っている。ダニエルは特に人の家族の事情に首を突っ込むことは避けたいという思考の持ち主ではあるが、アナスタシアの件に限っては、俺が何とかしなくてはとさえ考えていた。
「へーえ」
ジョージの想像よりダニエルがアナスタシアの事情に深入りしているようでびっくりした。兄がアナスタシアに片足どころから全身ダイブして突っ込んでいるようで、ジョージは少し引いた。
「……あーあ、いい人だったなぁ。ホント、兄さんには勿体無いよ」
「本当に余計なお世話だ……!」
ははーん、生意気な弟になったぜとダニエルはこめかみをひくつかせた。
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