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噂の同期は、送り狼?
6.
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工藤の、仕事に対してストイックな所とか、実は誰よりも顧客のことを考えている所とか、すごく尊敬してる。
でも、同期だから『そういう意味では無い』と端から決めつけていた。だって、職場で気まずくなるのは嫌だし、もう5人で飲めなくなるのも嫌だ。
「ば、馬鹿言わないでよ……! 私たち同期なんだし、それに……」
しどろもどろになる私に対して、工藤は自身の眼鏡を外して前髪をかき上げた。初めて見る素顔に呆然としてしまう。
もっさりしていた工藤は? いや、これ別人過ぎないですか……?
「えーと、工藤? あれ、一瞬で人変わった??」
「同一人物でしょ、どう見ても」
「いやいやいや……あれ、私飲み過ぎてとうとう幻覚が見えるようになったのかな」
「プハッ」
挙動不審になり始めた私に対して、工藤は笑いを堪えきれないといった様子でお腹を抱えてクツクツと笑っている。
眼鏡を外して前髪を上げただけで、こんなに超絶イケメンが現れることある? なんですかこのギャップは。あ、むしろ格好良過ぎて変装してたとか?
――そんな脳内のひとり言が読めているかのように、工藤はこちらを見てまた「ブッ」と吹き出した。私が落ち着いたのを見計らうように、工藤がこちらを覗き込んだ。
「まぁ、青山は最初から見た目で判断するような人間じゃなかったから、そういう所も良いなって思ってた」
「へ……? どういうこと?」
「嫌だったら、突き飛ばしてくれて良いから」
え、と尋ねるよりも早く、柔らかな唇が降りてきた。重なっていることに気付いた時には、心臓がバクバクと大きな音で暴れ始める。
石けんのような清潔感のある香りに包まれ、先ほど抱き止めてもらった時よりもさらに濃く感じた。それはなんだか心地良く、元カレとのあれこれで荒んだ気持ちも凪いでいく。
(あれ……工藤のキス、気持ちいいかも……)
何度か角度を変えて、優しく触れるようなキスを繰り返す。外でだんだんと体も冷えてきたはずなのに、重なる唇は熱くて。でも離れがたくて、まるで吸い寄せられているようだった。
そんな気持ちを知ってか知らずか、工藤が少し体を離してこちらを覗き込む。なんだろうと首を傾げれば、彼は妖艶な笑みを浮かべた。
「なに、キスだけで蕩けちゃった?」
意地悪く笑う工藤に、だんだんと恥ずかしさが込み上げてくる。我に返って急いで離れようとすれば、パッと手首を掴まれてしまった。
「ほら、行くぞ」
「え、ど、どこに!?」
「俺んち、すぐ近くだから」
「でも、私、昨日別れたばっかりだし! それにっ」
「青山が軽い女だなんて、微塵も思ったことない。今日のことは全部、俺のせいにすれば良い」
工藤に引っ張られるようにして、後をついていく。
こんな風に流されてしまうなんて、いつもの自分らしくない。でも、帰る場所はないし、待っててくれる人がいるわけでもない。ちょっとヤケになっていたのもある。
それに、工藤の知らなかった面を沢山知って、驚きの連続だった。まるで『びっくり箱』だ。そんな彼のびっくり箱には、一体何が隠されているのだろうかと気になって仕方ない。
(彼女はいたことあるみたいだけど、そういう経験もある……のかな?)
――溢れる好奇心とともに、それらしい理由を頭の中で沢山並べて。私は初めて、工藤の住むマンションに足を踏み入れた。
***
でも、同期だから『そういう意味では無い』と端から決めつけていた。だって、職場で気まずくなるのは嫌だし、もう5人で飲めなくなるのも嫌だ。
「ば、馬鹿言わないでよ……! 私たち同期なんだし、それに……」
しどろもどろになる私に対して、工藤は自身の眼鏡を外して前髪をかき上げた。初めて見る素顔に呆然としてしまう。
もっさりしていた工藤は? いや、これ別人過ぎないですか……?
「えーと、工藤? あれ、一瞬で人変わった??」
「同一人物でしょ、どう見ても」
「いやいやいや……あれ、私飲み過ぎてとうとう幻覚が見えるようになったのかな」
「プハッ」
挙動不審になり始めた私に対して、工藤は笑いを堪えきれないといった様子でお腹を抱えてクツクツと笑っている。
眼鏡を外して前髪を上げただけで、こんなに超絶イケメンが現れることある? なんですかこのギャップは。あ、むしろ格好良過ぎて変装してたとか?
――そんな脳内のひとり言が読めているかのように、工藤はこちらを見てまた「ブッ」と吹き出した。私が落ち着いたのを見計らうように、工藤がこちらを覗き込んだ。
「まぁ、青山は最初から見た目で判断するような人間じゃなかったから、そういう所も良いなって思ってた」
「へ……? どういうこと?」
「嫌だったら、突き飛ばしてくれて良いから」
え、と尋ねるよりも早く、柔らかな唇が降りてきた。重なっていることに気付いた時には、心臓がバクバクと大きな音で暴れ始める。
石けんのような清潔感のある香りに包まれ、先ほど抱き止めてもらった時よりもさらに濃く感じた。それはなんだか心地良く、元カレとのあれこれで荒んだ気持ちも凪いでいく。
(あれ……工藤のキス、気持ちいいかも……)
何度か角度を変えて、優しく触れるようなキスを繰り返す。外でだんだんと体も冷えてきたはずなのに、重なる唇は熱くて。でも離れがたくて、まるで吸い寄せられているようだった。
そんな気持ちを知ってか知らずか、工藤が少し体を離してこちらを覗き込む。なんだろうと首を傾げれば、彼は妖艶な笑みを浮かべた。
「なに、キスだけで蕩けちゃった?」
意地悪く笑う工藤に、だんだんと恥ずかしさが込み上げてくる。我に返って急いで離れようとすれば、パッと手首を掴まれてしまった。
「ほら、行くぞ」
「え、ど、どこに!?」
「俺んち、すぐ近くだから」
「でも、私、昨日別れたばっかりだし! それにっ」
「青山が軽い女だなんて、微塵も思ったことない。今日のことは全部、俺のせいにすれば良い」
工藤に引っ張られるようにして、後をついていく。
こんな風に流されてしまうなんて、いつもの自分らしくない。でも、帰る場所はないし、待っててくれる人がいるわけでもない。ちょっとヤケになっていたのもある。
それに、工藤の知らなかった面を沢山知って、驚きの連続だった。まるで『びっくり箱』だ。そんな彼のびっくり箱には、一体何が隠されているのだろうかと気になって仕方ない。
(彼女はいたことあるみたいだけど、そういう経験もある……のかな?)
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