6 / 14
噂の同期は、送り狼?
5.
しおりを挟む
冗談なんて言ってるけど、そうとも聞こえず。
自分の話をしてもつまらないと思われる、そう思っていたのか。
そんな『ネガティブ工藤』に驚きもしたけれど、なんだか今日の彼は、もっと自分のことを教えてくれるような気がした。
それに、『帰る時間を気にしなくて良い』というのも、すっかり私の心を軽くしていた。元カレの浮気が原因で別れたというのに、その元カレは束縛するタイプで。今までは、飲み会も全部早々に切り上げていた。
目に入った近くのコンビニを指差し、工藤に声をかける。
「ねぇ、もう少しだけ、付き合ってくれない? 近くに公園あるみたいだし」
「……俺は全然良いけど。あんまり飲み過ぎて、倒れるなよ?」
「はーい」
結局、二人で缶チューハイや缶ビールを数本買い、近くの公園のベンチに座った。
……深夜のコンビニでお酒を買って、同期と公園で肩を並べて飲むなんて。こんなお酒の飲み方、大学時代を思い出す。そんな酔っ払いの誘いに応じてくれる工藤は、やっぱり良い奴なのだろう。
早速缶のプルタブを開け、工藤と乾杯した。二人だけで、二次会の始まりだ。
「やっぱり、浮気のショックはデカかった?」
突然工藤から元カレの話をふられ、「うーん、そうだね……」と改めて考える。
「昨日の今日だから、まだ笑い話には出来なかったよね。だって同棲ってさ、結婚まで意識するじゃない? でも、きっと元カレはそこまで考えずに、流れ込むようにうちに住み着いただけだったんだなって」
「それで、昨日帰ったら別の女がいたって?」
「そうそう、昨日は元々帰りが遅くなる予定だったんだけど、結構巻きで仕事したら早く終わったから。だったら家でご飯作るか、と思って急いで帰ったら、知らない女の人とキスしてた」
「うわー最悪だなそれ」
バッサリと言い放つ工藤。裏表のない物言いが、いっそ清々しい。事実を並べればやっぱり元カレがク⚪︎男に思えてきて、私もだんだんとヒートアップしてきた。
「本当信じられないよね!? まぁ、裸でまぐわってなくて良かったけど……いや、よく考えたらさ、そもそも私の名義で借りてる部屋なのになんで私が出ていかなきゃならないの? おかしいよね!?」
「まぁ、それは普通に考えておかしいな。出ていくのは男の方だろ」
「だよね? あー……ちゃんと話し合わなきゃダメかぁ。やだなぁ……」
昨日は流石に浮気女の方がすぐ家を出たものだから、私も自分のアパートで寝たけれど……。結局あまりの怒りでうまく寝付けず、明け方にはボストンバッグに荷物を詰め込み、そのまま出てしまった。
ちなみに、元カレの方はぐーぐーイビキをかいて、何事も無かったかのように寝ていた。それを思い出すと、また腹が立ってくる。
「あーーーもうっ、なんであんな男と付き合っちゃったんだろう? 最初はまともだったはずなのに……」
「青山……」
「……私さ、オモチャでしかイけたことないんだよね」
「は?」
隣で缶ビールを持った工藤が、ピタリと固まった。でも、私はそんなことはお構いなしに、話を続ける。
「元カレとはセックスしてても、全然濡れなくて。やっぱり私が悪いのかな? それで、彼の帰りが遅い時にオモチャで試したら……イけたの。びっくりしちゃった。それからはもうオモチャでしかイけなくなっちゃって」
「えっと、青山……?」
「元カレが浮気バレた瞬間、何て言ったと思う? 『波瑠はセックスしてても全然気持ちよく無さそうだし、遠慮してたら俺もどんどん性欲が溜まってくんだよ。だから、浮気の原因は波瑠だからな?』って言ったんだよ? う~っ……」
お酒を飲みながら泣き出すなんて、本当になんでこんな面倒くさい女になってしまったんだろう。
頭では分かっているのに、涙は止められない。
「私、やっぱり不感症なのかな……」
「そんなの、どう考えても元カレが下手くそなだけだろ」
「……そう、なのかな。でも、自信無い」
「じゃあ、試してみる?」
「え?」
突然の提案に驚き工藤の方を見ると、眼鏡越しに視線が交わった。口元は弧を描いてるのに、その目は真剣そのものだ。ドクンと大きく心臓が脈打った。
(え、本当に工藤……?)
自分の話をしてもつまらないと思われる、そう思っていたのか。
そんな『ネガティブ工藤』に驚きもしたけれど、なんだか今日の彼は、もっと自分のことを教えてくれるような気がした。
それに、『帰る時間を気にしなくて良い』というのも、すっかり私の心を軽くしていた。元カレの浮気が原因で別れたというのに、その元カレは束縛するタイプで。今までは、飲み会も全部早々に切り上げていた。
目に入った近くのコンビニを指差し、工藤に声をかける。
「ねぇ、もう少しだけ、付き合ってくれない? 近くに公園あるみたいだし」
「……俺は全然良いけど。あんまり飲み過ぎて、倒れるなよ?」
「はーい」
結局、二人で缶チューハイや缶ビールを数本買い、近くの公園のベンチに座った。
……深夜のコンビニでお酒を買って、同期と公園で肩を並べて飲むなんて。こんなお酒の飲み方、大学時代を思い出す。そんな酔っ払いの誘いに応じてくれる工藤は、やっぱり良い奴なのだろう。
早速缶のプルタブを開け、工藤と乾杯した。二人だけで、二次会の始まりだ。
「やっぱり、浮気のショックはデカかった?」
突然工藤から元カレの話をふられ、「うーん、そうだね……」と改めて考える。
「昨日の今日だから、まだ笑い話には出来なかったよね。だって同棲ってさ、結婚まで意識するじゃない? でも、きっと元カレはそこまで考えずに、流れ込むようにうちに住み着いただけだったんだなって」
「それで、昨日帰ったら別の女がいたって?」
「そうそう、昨日は元々帰りが遅くなる予定だったんだけど、結構巻きで仕事したら早く終わったから。だったら家でご飯作るか、と思って急いで帰ったら、知らない女の人とキスしてた」
「うわー最悪だなそれ」
バッサリと言い放つ工藤。裏表のない物言いが、いっそ清々しい。事実を並べればやっぱり元カレがク⚪︎男に思えてきて、私もだんだんとヒートアップしてきた。
「本当信じられないよね!? まぁ、裸でまぐわってなくて良かったけど……いや、よく考えたらさ、そもそも私の名義で借りてる部屋なのになんで私が出ていかなきゃならないの? おかしいよね!?」
「まぁ、それは普通に考えておかしいな。出ていくのは男の方だろ」
「だよね? あー……ちゃんと話し合わなきゃダメかぁ。やだなぁ……」
昨日は流石に浮気女の方がすぐ家を出たものだから、私も自分のアパートで寝たけれど……。結局あまりの怒りでうまく寝付けず、明け方にはボストンバッグに荷物を詰め込み、そのまま出てしまった。
ちなみに、元カレの方はぐーぐーイビキをかいて、何事も無かったかのように寝ていた。それを思い出すと、また腹が立ってくる。
「あーーーもうっ、なんであんな男と付き合っちゃったんだろう? 最初はまともだったはずなのに……」
「青山……」
「……私さ、オモチャでしかイけたことないんだよね」
「は?」
隣で缶ビールを持った工藤が、ピタリと固まった。でも、私はそんなことはお構いなしに、話を続ける。
「元カレとはセックスしてても、全然濡れなくて。やっぱり私が悪いのかな? それで、彼の帰りが遅い時にオモチャで試したら……イけたの。びっくりしちゃった。それからはもうオモチャでしかイけなくなっちゃって」
「えっと、青山……?」
「元カレが浮気バレた瞬間、何て言ったと思う? 『波瑠はセックスしてても全然気持ちよく無さそうだし、遠慮してたら俺もどんどん性欲が溜まってくんだよ。だから、浮気の原因は波瑠だからな?』って言ったんだよ? う~っ……」
お酒を飲みながら泣き出すなんて、本当になんでこんな面倒くさい女になってしまったんだろう。
頭では分かっているのに、涙は止められない。
「私、やっぱり不感症なのかな……」
「そんなの、どう考えても元カレが下手くそなだけだろ」
「……そう、なのかな。でも、自信無い」
「じゃあ、試してみる?」
「え?」
突然の提案に驚き工藤の方を見ると、眼鏡越しに視線が交わった。口元は弧を描いてるのに、その目は真剣そのものだ。ドクンと大きく心臓が脈打った。
(え、本当に工藤……?)
10
あなたにおすすめの小説
敏腕SEの優しすぎる独占愛
春咲さゆ
恋愛
仕事も恋愛も、兎に角どん底の毎日だった。
あの日、あの雨の夜、貴方に出逢うまでは。
「終わらせてくれたら良かったのに」
人生のどん底にいた、26歳OL。
木崎 茉莉 ~kisaki matsuri~
×
「泣いたらいいよ。傍にいるから」
雨の日に現れた、30歳システムエンジニア。
藤堂 柊真 ~Todo Syuma~
雨の夜の出会いがもたらした
最高の溺愛ストーリー。
6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の身体を揺らす彼を、下から見ていた。
まさかあの彼と、こんな関係になるなんて思いもしない。
今日は同期飲み会だった。
後輩のミスで行けたのは本当に最後。
飲み足りないという私に彼は付き合ってくれた。
彼とは入社当時、部署は違ったが同じ仕事に携わっていた。
きっとあの頃のわたしは、彼が好きだったんだと思う。
けれど仕事で負けたくないなんて私のちっぽけなプライドのせいで、その一線は越えられなかった。
でも、あれから変わった私なら……。
******
2021/05/29 公開
******
表紙 いもこは妹pixivID:11163077
Promise Ring
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
浅井夕海、OL。
下請け会社の社長、多賀谷さんを社長室に案内する際、ふたりっきりのエレベーターで突然、うなじにキスされました。
若くして独立し、業績も上々。
しかも独身でイケメン、そんな多賀谷社長が地味で無表情な私なんか相手にするはずなくて。
なのに次きたとき、やっぱりふたりっきりのエレベーターで……。
19時、駅前~俺様上司の振り回しラブ!?~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
【19時、駅前。片桐】
その日、机の上に貼られていた付箋に戸惑った。
片桐っていうのは隣の課の俺様課長、片桐課長のことでいいんだと思う。
でも私と片桐課長には、同じ営業部にいるってこと以外、なにも接点がない。
なのに、この呼び出しは一体、なんですか……?
笹岡花重
24歳、食品卸会社営業部勤務。
真面目で頑張り屋さん。
嫌と言えない性格。
あとは平凡な女子。
×
片桐樹馬
29歳、食品卸会社勤務。
3課課長兼部長代理
高身長・高学歴・高収入と昔の三高を満たす男。
もちろん、仕事できる。
ただし、俺様。
俺様片桐課長に振り回され、私はどうなっちゃうの……!?
なし崩しの夜
春密まつり
恋愛
朝起きると栞は見知らぬベッドの上にいた。
さらに、隣には嫌いな男、悠介が眠っていた。
彼は昨晩、栞と抱き合ったと告げる。
信じられない、嘘だと責める栞に彼は不敵に微笑み、オフィスにも関わらず身体を求めてくる。
つい流されそうになるが、栞は覚悟を決めて彼を試すことにした。
そんな目で見ないで。
春密まつり
恋愛
職場の廊下で呼び止められ、無口な後輩の司に告白をされた真子。
勢いのまま承諾するが、口数の少ない彼との距離がなかなか縮まらない。
そのくせ、キスをする時は情熱的だった。
司の知らない一面を知ることによって惹かれ始め、身体を重ねるが、司の熱のこもった視線に真子は混乱し、怖くなった。
それから身体を重ねることを拒否し続けるが――。
▼2019年2月発行のオリジナルTL小説のWEB再録です。
▼全8話の短編連載
▼Rシーンが含まれる話には「*」マークをつけています。
いい加減こっち見ろよ!〜見た目だけだとフラれ続ける私は、どうやら幼馴染の執着愛に気づいていなかったようです。〜
こころ ゆい
恋愛
保育士の八重と外科医の一生は、小学生の頃からの幼馴染。
傍から見れば、儚く清楚に見えるらしい八重は、実は外見にそぐわぬ性格をしていた。
そのせいで、見た目につられて告白してくる男性たちは、ことごとく彼女の中身を知って離れていく。
フラれる度に、やけ食いややけ酒に付き合ってもらっている一生は優しいが、懲りずに同じような恋愛を繰り返す八重に呆れている....と思っていたら?
「....八重の可愛さは、そんなもんじゃないんです。....誰も気付かなくていい。俺だけが知ってればいい」
ーーどうやら、かなり愛されていたようです?
※じれじれ・執着・溺愛 ラブストーリー。🌱
※この物語は、全て作者の想像で描かれたフィクションです。実際の場所・建物・人物とは関係ありません。🌱
求婚されても困ります!~One Night Mistake~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「責任は取る。僕と結婚しよう」
隣にイケメンが引っ越してきたと思ったら、新しく赴任してきた課長だった。
歓迎会で女性陣にお酒を飲まされ、彼は撃沈。
お隣さんの私が送っていくことになったんだけど。
鍵を出してくれないもんだから仕方なく家にあげたらば。
……唇を奪われた。
さらにその先も彼は迫ろうとしたものの、あえなく寝落ち。
翌朝、大混乱の課長は誤解していると気づいたものの、昨晩、あれだけ迷惑かけられたのでちょーっとからかってやろうと思ったのが間違いだった。
あろうことか課長は、私に求婚してきたのだ!
香坂麻里恵(26)
内装業SUNH(株)福岡支社第一営業部営業
サバサバした性格で、若干の世話焼き。
女性らしく、が超苦手。
女子社員のグループよりもおじさん社員の方が話があう。
恋愛?しなくていいんじゃない?の、人。
グッズ収集癖ははない、オタク。
×
楠木侑(28)
内装業SUNH(株)福岡支社第一営業部課長
イケメン、エリート。
あからさまにアプローチをかける女性には塩対応。
仕事に厳しくてあまり笑わない。
実は酔うとキス魔?
web小説を読み、アニメ化作品をチェックする、ライトオタク。
人の話をまったく聞かない課長に、いつになったら真実を告げられるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる