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第41話 カレジ王国の現状
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白銀の竜の背に乗って、海を渡ります。
空の上から広大な海を眺めていると、まるで自分まで竜になった気分になる。
この白銀の竜は、第二王子イライアスが竜になった姿です。
本来であれば、高速で飛行する竜の背に乗ったとしても、私なんか吹き飛ばされてしまうはず。
だというの、不思議と落下することもなく、そしてなぜか寒くもありませんでした。
──これも竜の力なのね。
竜は不思議だ。
いくら研究しても、まだまだ知らないことばかり。
──今度、アイザックにお願いして飛行実験しないとね。
「ルシル、僕の乗り心地はどうだい?」
「悪くないわ。でも、アイザックと比べると速さも安定性もまだまだね」
「それは手厳しい。これでも飛竜なんかよりは断然良いはずなんだけどね」
「飛竜って、あの空飛ぶ小さな亜竜?」
「ルシルはまだ見たことないのか。飛竜部隊は数も少なく、王直属だからな」
「本では読んだけど、実物はまだなのよね。竜都では見たことなかったけど」
「……そういえば、僕が帰国してからも飛竜隊をまったく見かけないな。そんなことあるはずないのに…………」
そんな話をしているうちに、大陸へと到着しました。
このスピードなら、もうじき見えてくるはず。
「イライアス様、あれがカレジ王国よ」
天を衝くような、巨大な山。
あれが竜山。
標高は4000メートル近くある、大陸屈指の霊峰です。
山頂付近は雲に隠れていて、視認できることは滅多にない。
そんな竜山に、フィールドワークをするため私は何度も足を踏み入れていた。
アイザックと出会ったのも、あの山だ。
「竜の山は噴火していない……ということは、他の活火山が噴火しているのね」
カレジ王国は山に囲まれている。
竜山以外にも、危ない山はたくさんあるのだ。
「ルシル、右を見ろ」
「……ああ、なんてこと」
右を確認すると、もくもくと煙をあげる山が見えました。
真っ赤な溶岩が、山の斜面を下っている。
そして火山灰が、雨のように荒野に降り積もっていました。
しかも、あの火山の近くには、関所があったはず。
あれでは徒歩で国を出ることは不可能ね。
「遠回りすれば、他の道から国外へ脱出することもできるけど、噴火はあの山だけではないみたいね」
空の上だからこそ、よくわかる。
いくつかの山から、同じように煙が上がっていた。
その光景は、カレジ王国に対して大地が怒っているようにしか見えませんでした。
「こんなに酷い状況だなんて、知らなかったわ……」
「ああ、酷いね。こんな場所を鎮めなければならない守護竜制度は、酷でしかない」
「守護竜制度……たしかに、そうかもしれないわね」
こんな危ない場所を、守護竜が治めていたなんて思わなかった。
いったいどれだけの力を消耗すれば、この大災害を鎮めることができたのだろうか。
──アイザック……ごめんなさい。
何も、知らなかった。
アイザックはこの大災害から、一人でカレジ王国を守り継ぐけていたのだ。
その苦労は、ただの人である自分には想像することすらできない。
そういえばカレジ王国があった場所は、カレジ王国以前には人が住んでいない地帯だったはず。
その理由が、いまよくわかった気がする。
カレジ王国があるこの地域は、人が住む場所ではないのかもしれない。
「……この辺りは古くから、大陸のへそって呼ばれていたの。その理由は竜山があるからだと思っていたけど、本当の理由はこういうことだったのかもしれないわ」
「ここは人が住む場所じゃない。住めるとしたら、竜くらいなものだろう」
竜と人は違う。
だから人は、住む場所を自らの手で選ばなければならない。
「これまで守護竜に頼ってきたつけが来たのね」
だというのに、カレジ王国の人々は守護竜を蔑ろにしていた。
長年の恩にも報いずに、一方的に縁を切ったのだ。
守護竜に見捨てられたのは当然のこと。
そんなとき、私は竜研究によって、守護竜がいないとカレジ王国は滅んでしまうことを突き止めた。
だからこんな未来がこないようにと、私はカレジ王国で声をあげ続けたというのに──その結果は、処刑台送りでした。
「私は、故郷を救うことができなかったのね……」
「いや、まだそうと決まったわけじゃないよ」
「イライアス様……さっきから気になっていたのですが、私たちはどこに向かってるんですか?」
セシリアのいるサンセット子爵領は、こちらじゃない。
この先にあるのは、ひとつ。
竜山だ。
「安心してルシル。行けばわかるさ」
「セシリアのところには、連れて行ってくれるんですよね?」
「もちろんさ、約束は守るとも。僕との条件を達成したらだけど……」
そうして銀竜は、竜の山の中腹に到着しました。
標高でいうと、2000メートル以上はある場所です。
寒くて凍えそう。
しかも酸素が薄くて、呼吸がつらい。
「はぁ……はぁ……こんな山の上に、こんな場所があったなんて……!」
目の前には、巨大な遺跡群が存在しています。
石造りのそれらの建物は、古びてはいるけど、どれも立派なものでした。
歴史的に見ても、建造物的にも、かなりの価値があるのは間違いないでしょう。
「それにここは、あそこに似てる……竜天女の墓があった、あの場所に」
ジェネラス竜国で見た霊山で見た、竜天女の遺跡。
この場所は、そことよく似ている。
「大発見よ……!」
興奮が抑えられない。
こんな素晴らしい場所が、竜山に存在していたなんて!
そこで、私はおかしなものを見つけてしまいます。
「この木ってまさか、竜木?」
竜茶を作る原料となる、竜木。
ジェネラス竜国にしか存在しないはずの竜木が、どういうわけかカレジ王国の竜山に生えていたのです。
空の上から広大な海を眺めていると、まるで自分まで竜になった気分になる。
この白銀の竜は、第二王子イライアスが竜になった姿です。
本来であれば、高速で飛行する竜の背に乗ったとしても、私なんか吹き飛ばされてしまうはず。
だというの、不思議と落下することもなく、そしてなぜか寒くもありませんでした。
──これも竜の力なのね。
竜は不思議だ。
いくら研究しても、まだまだ知らないことばかり。
──今度、アイザックにお願いして飛行実験しないとね。
「ルシル、僕の乗り心地はどうだい?」
「悪くないわ。でも、アイザックと比べると速さも安定性もまだまだね」
「それは手厳しい。これでも飛竜なんかよりは断然良いはずなんだけどね」
「飛竜って、あの空飛ぶ小さな亜竜?」
「ルシルはまだ見たことないのか。飛竜部隊は数も少なく、王直属だからな」
「本では読んだけど、実物はまだなのよね。竜都では見たことなかったけど」
「……そういえば、僕が帰国してからも飛竜隊をまったく見かけないな。そんなことあるはずないのに…………」
そんな話をしているうちに、大陸へと到着しました。
このスピードなら、もうじき見えてくるはず。
「イライアス様、あれがカレジ王国よ」
天を衝くような、巨大な山。
あれが竜山。
標高は4000メートル近くある、大陸屈指の霊峰です。
山頂付近は雲に隠れていて、視認できることは滅多にない。
そんな竜山に、フィールドワークをするため私は何度も足を踏み入れていた。
アイザックと出会ったのも、あの山だ。
「竜の山は噴火していない……ということは、他の活火山が噴火しているのね」
カレジ王国は山に囲まれている。
竜山以外にも、危ない山はたくさんあるのだ。
「ルシル、右を見ろ」
「……ああ、なんてこと」
右を確認すると、もくもくと煙をあげる山が見えました。
真っ赤な溶岩が、山の斜面を下っている。
そして火山灰が、雨のように荒野に降り積もっていました。
しかも、あの火山の近くには、関所があったはず。
あれでは徒歩で国を出ることは不可能ね。
「遠回りすれば、他の道から国外へ脱出することもできるけど、噴火はあの山だけではないみたいね」
空の上だからこそ、よくわかる。
いくつかの山から、同じように煙が上がっていた。
その光景は、カレジ王国に対して大地が怒っているようにしか見えませんでした。
「こんなに酷い状況だなんて、知らなかったわ……」
「ああ、酷いね。こんな場所を鎮めなければならない守護竜制度は、酷でしかない」
「守護竜制度……たしかに、そうかもしれないわね」
こんな危ない場所を、守護竜が治めていたなんて思わなかった。
いったいどれだけの力を消耗すれば、この大災害を鎮めることができたのだろうか。
──アイザック……ごめんなさい。
何も、知らなかった。
アイザックはこの大災害から、一人でカレジ王国を守り継ぐけていたのだ。
その苦労は、ただの人である自分には想像することすらできない。
そういえばカレジ王国があった場所は、カレジ王国以前には人が住んでいない地帯だったはず。
その理由が、いまよくわかった気がする。
カレジ王国があるこの地域は、人が住む場所ではないのかもしれない。
「……この辺りは古くから、大陸のへそって呼ばれていたの。その理由は竜山があるからだと思っていたけど、本当の理由はこういうことだったのかもしれないわ」
「ここは人が住む場所じゃない。住めるとしたら、竜くらいなものだろう」
竜と人は違う。
だから人は、住む場所を自らの手で選ばなければならない。
「これまで守護竜に頼ってきたつけが来たのね」
だというのに、カレジ王国の人々は守護竜を蔑ろにしていた。
長年の恩にも報いずに、一方的に縁を切ったのだ。
守護竜に見捨てられたのは当然のこと。
そんなとき、私は竜研究によって、守護竜がいないとカレジ王国は滅んでしまうことを突き止めた。
だからこんな未来がこないようにと、私はカレジ王国で声をあげ続けたというのに──その結果は、処刑台送りでした。
「私は、故郷を救うことができなかったのね……」
「いや、まだそうと決まったわけじゃないよ」
「イライアス様……さっきから気になっていたのですが、私たちはどこに向かってるんですか?」
セシリアのいるサンセット子爵領は、こちらじゃない。
この先にあるのは、ひとつ。
竜山だ。
「安心してルシル。行けばわかるさ」
「セシリアのところには、連れて行ってくれるんですよね?」
「もちろんさ、約束は守るとも。僕との条件を達成したらだけど……」
そうして銀竜は、竜の山の中腹に到着しました。
標高でいうと、2000メートル以上はある場所です。
寒くて凍えそう。
しかも酸素が薄くて、呼吸がつらい。
「はぁ……はぁ……こんな山の上に、こんな場所があったなんて……!」
目の前には、巨大な遺跡群が存在しています。
石造りのそれらの建物は、古びてはいるけど、どれも立派なものでした。
歴史的に見ても、建造物的にも、かなりの価値があるのは間違いないでしょう。
「それにここは、あそこに似てる……竜天女の墓があった、あの場所に」
ジェネラス竜国で見た霊山で見た、竜天女の遺跡。
この場所は、そことよく似ている。
「大発見よ……!」
興奮が抑えられない。
こんな素晴らしい場所が、竜山に存在していたなんて!
そこで、私はおかしなものを見つけてしまいます。
「この木ってまさか、竜木?」
竜茶を作る原料となる、竜木。
ジェネラス竜国にしか存在しないはずの竜木が、どういうわけかカレジ王国の竜山に生えていたのです。
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