婚約者の番

レオン1

ペルーナ王国は、複数の人種が入り混じる国だ。その国を創立したのはドラゴンと言われている。
ドラゴンは混血により血は薄れて、純血はあまり見ないけれど。今もこの地に確かに住んでいる。

私の婚約者になるものは、人間だ。

"没落寸前の名ばかりの子爵家"に、伯爵家から婚姻を打診をしたのはダメもとだった。
彼女の家はその昔。その気になれば、この世界の全て物を買うことができるくらいの資産を持っていた。
その資産は少しづつ減っていき。今ではこの王国を買える程度になったそうだ。
それでも規格外なのに、彼らは総じて"没落寸前の子爵家"と自称している。

はっきり言ってただの嫌味だ。

「そ、粗相のないように、た、頼むよぉ」

婚約を打診したくせに、ビビリきった様子で注意する父親は、獅子の獣人だ。そして、私もだ。
昔は、威厳のあった父親は、物音にビビる猫並みに弱々しい。

「わかってる。しかし、人間だろう？そこまで怯えなくても、話はわかるはずだ。番を見つけた獣人とは違って」

俺は彼女の事を舐めてかかっていたのだ。

きっと。獣人の性をわかってくれると思っていたのだ。

もしも、私に番が見つかった場合。婚約を破棄してもらおうと、挨拶をするときにしようと思っていたのだ。