愛されていたなんて思いもしませんでした

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「疲れたし、そろそろ眠りましょうか」

 私はあくびをしてベッドに横になると、すぐに眠りにつく事ができた。

 深い眠りの中にいるのに、不思議な感覚がする。
 それは、雨の中を上を見上げて歩いているようなそんな感覚だ。

 なぜ、そうなのだろうか。

 ああ、そうか、アクセルと婚約を解消して少なからず寂しさを感じたからだろうか。

 もう、無関係だと思うと胸が少しだけ痛む。

 もしも、ローズやウィングみたいな友人だったら、これからも、関係が続いていくはずだ。
 しかし、彼には愛するコリンダがいて、彼女はそんな関係を絶対に許してはくれないだろう。

 ゆっくりと目を開けると、目の前に「何か」がいた。

「誰?」

 人なのか霊なのかわからないけれど、私は「何か」に問いかけてみた。
 その「何か」は、しばらくの沈黙の後、口を開いた。


「……ウィングと婚約したのか?」

 その声は私のよく知っている人物だった。

「アクセルさま?」

 よく見るとアクセルは泣いている。
 なぜ、泣いているのだろうか。私がスッと手を伸ばすとアクセルはそれを強く掴んだ。

「……!?」

 私が驚いて目を白黒とさせていると、アクセルは低い声でとんでもないことを言い出した。

「君のために身を引いたけど、でも、やっぱり諦めきれない」

 次の瞬間、私の目の前は真っ暗になった。

 結果だけ説明すると、私はアクセルに連れ去られて、半ば強引に婚姻することになった。
 アクセルは私のような能力を持つ人間について調べ上げたようで、「純潔」を失うことによって能力を失う事を知ったらしい。
 一か八かの賭けで、私を抱いた。

 結果的に、19歳で死ななかった。というよりも、死ぬわけがないのだけれど。

 20歳を迎えた私を見てアクセルは、涙どころか鼻水まで流して大喜びしてくれた。

 私も幸せになれたので結果オーライだった。
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