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誰からも気にかけられない存在
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この「愛され聖女の物語」とは、異世界転移したカオリが周囲の人から愛されるだけの物語だ。
カオリは美しい心根の持ち主で、人が良く優しく、誰からも愛されなるべくして聖女になる存在だ。
キレイゴトだけの世界の中で生き、綺麗な言葉だけ吐き、綺麗なものだけを見て、幸せな結末を迎えるヒロインだ。
……説明だけで胸糞が悪くなる。
私はそんな世界の中で「悪役」という役割を与えられた聖女アイオラ。
このままいけば、周囲の悪評のせいで一方的に悪女に仕立て上げられ、カオリの引き立て役になってしまう未来しか見えない。
幸い。まだ、カオリが異世界転移するまでに時間がある。
「まだ、14歳くらいかしら、もう少し先ね」
アイオラは、15歳になって神聖力が出現する。
そして、17歳になった日に、カオリが異世界からやってくるのだ。
とりあえず今できることは、一つだけ。
作中、アイオラと敵対した存在とうまく関係を築いていくことだ。
築き上げた信頼関係は、カオリという圧倒的なヒロインの存在のせいで吹き飛んでしまうかもしれないけれど。
それでも、悪女というイメージは払拭したい。
「とりあえず、神官マリネッタと会わないとね」
神官マリネッタは、作中でカオリのブレーンのような存在だった。
アイオラとの関係は最悪で、失脚に一役買っている存在でもある。
「神殿に行こう」
ただ、今日行くには少し時間が遅すぎる。
明日の朝早くに屋敷を出よう。
そんな事を考えていると、大きな音を立てて部屋のドアが開いた。
ドアを開けたのはシエナだ。
いつもそうだ。クロードが帰ると必ず私の部屋へとやってきて、どれだけ自分が親密か私にアピールしてくるのだ。
前世の記憶が戻る前はそれがかなり辛かったが。
今は何とも思わない。
なぜなら、もう、誰に対しても何の感情もないからだ。
「クロード様は帰ったわ。帰るまでずっと私の隣に座って話を聞いてくれたの」
「そうですか」
適当に返事をすると、シエナは眦を吊り上げた。
私が悲しむ顔が見たかったのだろう。でも、そんなこと絶対にしない。
「婚約者のくせに全然相手にされてないなんて可哀想」
私も相手にされていないが、シエナも相手にされていない。
クロードが愛するのはカオリだけだ。
「クロード様は、私も貴女も何とも思ってないわ。立場上仕方ないからどちらに対しても煮え切らない態度を取ってるだけよ」
「黙ってよ!」
淡々と事実を言うと、シエナは母が叩いたところと、同じ場所を手で叩いてきた。
狙っただろう。頭に唇を噛み締めると、シエナは意地悪そうな顔をして笑った。
「っ……!」
「取り替えっ子のくせして!ねえ、本当のお姉様を返してよ!老婆みたいな醜い髪をしたお前なんか消えてしまえ!」
シエナは、私が取り替えっ子だと信じているようだ。
しかし、正真正銘、私は彼女の姉だ。
暴言を吐かれるたび。アイオラは傷ついたが、私はアイオラではない。
血が繋がっているだけの存在に愛情なんて求めない。
「……」
「何よその目は。はあ、汚らしいところに来たから気分が悪くなったわ」
シエナは、そう言い捨てて部屋から出ていった。
アイオラは、どうして血が繋がっているだけの存在から愛されたいと願ってしまったのだろう。
あまりにも可哀想だ。
次の日の朝早く。私は使用人が夜中にこっそり部屋の前に置いてくれたパンを持ち。最低限渡されるお小遣いを手に取り、身支度を始める。
手伝ってくれる人は誰もいない。
当然だ。侍女なんて私にはいないから。
部屋から抜け出ても誰一人として気付きはしない。
馬車なんて使えるはずもないので、私は小走り気味に屋敷から抜け出て神殿へと向かった。
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お読みくださりありがとうございます
エール、感想もらえるととても嬉しいです
ミーアキャットが、大量に家に侵入してブチ切れながら追い出す夢を見たせいであまり眠れてません
カオリは美しい心根の持ち主で、人が良く優しく、誰からも愛されなるべくして聖女になる存在だ。
キレイゴトだけの世界の中で生き、綺麗な言葉だけ吐き、綺麗なものだけを見て、幸せな結末を迎えるヒロインだ。
……説明だけで胸糞が悪くなる。
私はそんな世界の中で「悪役」という役割を与えられた聖女アイオラ。
このままいけば、周囲の悪評のせいで一方的に悪女に仕立て上げられ、カオリの引き立て役になってしまう未来しか見えない。
幸い。まだ、カオリが異世界転移するまでに時間がある。
「まだ、14歳くらいかしら、もう少し先ね」
アイオラは、15歳になって神聖力が出現する。
そして、17歳になった日に、カオリが異世界からやってくるのだ。
とりあえず今できることは、一つだけ。
作中、アイオラと敵対した存在とうまく関係を築いていくことだ。
築き上げた信頼関係は、カオリという圧倒的なヒロインの存在のせいで吹き飛んでしまうかもしれないけれど。
それでも、悪女というイメージは払拭したい。
「とりあえず、神官マリネッタと会わないとね」
神官マリネッタは、作中でカオリのブレーンのような存在だった。
アイオラとの関係は最悪で、失脚に一役買っている存在でもある。
「神殿に行こう」
ただ、今日行くには少し時間が遅すぎる。
明日の朝早くに屋敷を出よう。
そんな事を考えていると、大きな音を立てて部屋のドアが開いた。
ドアを開けたのはシエナだ。
いつもそうだ。クロードが帰ると必ず私の部屋へとやってきて、どれだけ自分が親密か私にアピールしてくるのだ。
前世の記憶が戻る前はそれがかなり辛かったが。
今は何とも思わない。
なぜなら、もう、誰に対しても何の感情もないからだ。
「クロード様は帰ったわ。帰るまでずっと私の隣に座って話を聞いてくれたの」
「そうですか」
適当に返事をすると、シエナは眦を吊り上げた。
私が悲しむ顔が見たかったのだろう。でも、そんなこと絶対にしない。
「婚約者のくせに全然相手にされてないなんて可哀想」
私も相手にされていないが、シエナも相手にされていない。
クロードが愛するのはカオリだけだ。
「クロード様は、私も貴女も何とも思ってないわ。立場上仕方ないからどちらに対しても煮え切らない態度を取ってるだけよ」
「黙ってよ!」
淡々と事実を言うと、シエナは母が叩いたところと、同じ場所を手で叩いてきた。
狙っただろう。頭に唇を噛み締めると、シエナは意地悪そうな顔をして笑った。
「っ……!」
「取り替えっ子のくせして!ねえ、本当のお姉様を返してよ!老婆みたいな醜い髪をしたお前なんか消えてしまえ!」
シエナは、私が取り替えっ子だと信じているようだ。
しかし、正真正銘、私は彼女の姉だ。
暴言を吐かれるたび。アイオラは傷ついたが、私はアイオラではない。
血が繋がっているだけの存在に愛情なんて求めない。
「……」
「何よその目は。はあ、汚らしいところに来たから気分が悪くなったわ」
シエナは、そう言い捨てて部屋から出ていった。
アイオラは、どうして血が繋がっているだけの存在から愛されたいと願ってしまったのだろう。
あまりにも可哀想だ。
次の日の朝早く。私は使用人が夜中にこっそり部屋の前に置いてくれたパンを持ち。最低限渡されるお小遣いを手に取り、身支度を始める。
手伝ってくれる人は誰もいない。
当然だ。侍女なんて私にはいないから。
部屋から抜け出ても誰一人として気付きはしない。
馬車なんて使えるはずもないので、私は小走り気味に屋敷から抜け出て神殿へと向かった。
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お読みくださりありがとうございます
エール、感想もらえるととても嬉しいです
ミーアキャットが、大量に家に侵入してブチ切れながら追い出す夢を見たせいであまり眠れてません
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