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ジークムント達を見送り。
私はすぐに、客間に戻り荷物をまとめた。
ルートは教えてくれなかったが、最初に行く場所は教えてもらった。
今から行けば間に合うはずだ。
「よし、いくぞ」
勢いよく屋敷から出た瞬間だ。
「クラリス様、どこに行くつもりですか?」
と、声をかけられた。
その声を聞いた瞬間。私はすでに負けを悟った。
初対面でこいつには勝てない。と思った相手だからだ。
「っ、ナオミ!」
ナオミはグワッシと私の首根っこを掴んだ。
逃げる隙すらない。
「ジークムント様に、くれぐれも、くれぐれも見張っていろと頼まれましたから」
「へっ!?何だと!」
クソっ、ジークめ!私が何をするのか予想していたのか!
「お、おい。さくら!」
さくらに助けを求めるが、彼女はあくびをするだけ。
『僕は、パス』
「は?協力してくれるんじゃないのかよ!」
はっきりと断られた。
『ここ、食べ物が美味しいから』
「はぁ!?」
何という裏切り!知らない間に、ナオミがさくらに何か食べさせて懐柔したのかもしれない。
「さあ、行きましょう」
「……はい」
逃げることはできなかった。
部屋に戻された私は途方に暮れる。
恐らくだが、ここで滞在するようにと言われたのは、私が何かしでかさないように監視するためだと気がつく。
ジークめ!よくわかってるじゃねぇか……!
仕方なく私は客室に戻った。
ナオミは、部屋の中にまでは入ってこなかったので、私は気になっていたことをさくらに聞くことにした。
「なあ、さくら、魔女の力で瘴気を活発にさせることはできるのか?」
「無理だね。僕たちができるのは、あくまで個人に対してだからさ」
個人に何かできる。と言っても、でも、権力者だって個人だ。
考え方を変えれば、とんでもないことになる。
「でもさ、その個人ってのが、聖女や聖騎士とかだったら話は変わるんじゃないか?」
「君って鋭いね。その可能性も考えたんだけどさ、魔女はいないんだよね。今」
「魔女がいないとは?」
「この世界に僕以外に存在しない。あるいは、肉体は存在してないかも」
意外すぎる答え。
それって死んでるって事なのではないのか。
それなら、さくらはずっと一人で生きて来たということになるのではないか。
「は?」
そもそも、魔女とはどうやったらなれるのか。
「なあ、魔女ってどうやってなるんだ?私みたいな特異点がなるのか?」
「特異点がなることもあるし、そうじゃない場合もある」
「難しいな」
わかりにくい答えだ。
「だからね。誰でもなれるし、なれない」
「意味がわからない。条件があるのか?」
「そうだね。限界を超えた絶望の先にあるよ」
それは、どんな絶望だというのか。
「奥義の上の究極奥義とか?」
「……君は絶対にならないと言い切れる自信が僕にはあるよ」
さくらが呆れた顔で私を見ている。
そんなに、私はおめでたそうに見えるのだろうか。
絶望しなさそうに見えるのか。
「魔女が絡んでる可能性は?」
「ないとは言い切れないね。でも、僕は魔女の存在に気がつくことができるんだ」
もしそうだとしたら、さくらの言うことは間違っていないのかもしれない。
「じゃあ、パッと出て来て瘴気か聖女に何かして死んだとか!例えば一箇所だけ祓えないように邪魔したとか!」
「……ないとは言い切れないね」
一瞬の事なら、気がつく事ができないということか。
「魔女のこと教えろよ」
「それは、契約内容じゃない。あくまで瘴気の原因を知るだけだろう?」
その通りだ。
「じゃあ、ヒント!ヒントくれ!」
「何で君は魔女の存在を知っているの?誰が教えてくれたの?それって魔女と出会った人がいるってことだよ。つまり、誰か調べていた。ってことだよね」
「何か書物があるってことだな!」
「よくできました。でも、調べるにしても趣旨が変わってない?」
でも、絶対に魔女が関わっているように思うのだ。
だって、他に何か出来る人間が思い浮かばないから。
「だって今は抜け出して瘴気を調べることなんてできないだろう?だったらおとなしくしてるふりをして……」
「君って子供の時いたずらっ子だったよね」
さくらは、苦笑いだ。
「みんなに怒られて育ったよ」
私は、悪いことをして、「それはいけないことだ」と教えてくれた人たちが幸せに生きてくれることを願ってる。
ジークムント達を見送り。
私はすぐに、客間に戻り荷物をまとめた。
ルートは教えてくれなかったが、最初に行く場所は教えてもらった。
今から行けば間に合うはずだ。
「よし、いくぞ」
勢いよく屋敷から出た瞬間だ。
「クラリス様、どこに行くつもりですか?」
と、声をかけられた。
その声を聞いた瞬間。私はすでに負けを悟った。
初対面でこいつには勝てない。と思った相手だからだ。
「っ、ナオミ!」
ナオミはグワッシと私の首根っこを掴んだ。
逃げる隙すらない。
「ジークムント様に、くれぐれも、くれぐれも見張っていろと頼まれましたから」
「へっ!?何だと!」
クソっ、ジークめ!私が何をするのか予想していたのか!
「お、おい。さくら!」
さくらに助けを求めるが、彼女はあくびをするだけ。
『僕は、パス』
「は?協力してくれるんじゃないのかよ!」
はっきりと断られた。
『ここ、食べ物が美味しいから』
「はぁ!?」
何という裏切り!知らない間に、ナオミがさくらに何か食べさせて懐柔したのかもしれない。
「さあ、行きましょう」
「……はい」
逃げることはできなかった。
部屋に戻された私は途方に暮れる。
恐らくだが、ここで滞在するようにと言われたのは、私が何かしでかさないように監視するためだと気がつく。
ジークめ!よくわかってるじゃねぇか……!
仕方なく私は客室に戻った。
ナオミは、部屋の中にまでは入ってこなかったので、私は気になっていたことをさくらに聞くことにした。
「なあ、さくら、魔女の力で瘴気を活発にさせることはできるのか?」
「無理だね。僕たちができるのは、あくまで個人に対してだからさ」
個人に何かできる。と言っても、でも、権力者だって個人だ。
考え方を変えれば、とんでもないことになる。
「でもさ、その個人ってのが、聖女や聖騎士とかだったら話は変わるんじゃないか?」
「君って鋭いね。その可能性も考えたんだけどさ、魔女はいないんだよね。今」
「魔女がいないとは?」
「この世界に僕以外に存在しない。あるいは、肉体は存在してないかも」
意外すぎる答え。
それって死んでるって事なのではないのか。
それなら、さくらはずっと一人で生きて来たということになるのではないか。
「は?」
そもそも、魔女とはどうやったらなれるのか。
「なあ、魔女ってどうやってなるんだ?私みたいな特異点がなるのか?」
「特異点がなることもあるし、そうじゃない場合もある」
「難しいな」
わかりにくい答えだ。
「だからね。誰でもなれるし、なれない」
「意味がわからない。条件があるのか?」
「そうだね。限界を超えた絶望の先にあるよ」
それは、どんな絶望だというのか。
「奥義の上の究極奥義とか?」
「……君は絶対にならないと言い切れる自信が僕にはあるよ」
さくらが呆れた顔で私を見ている。
そんなに、私はおめでたそうに見えるのだろうか。
絶望しなさそうに見えるのか。
「魔女が絡んでる可能性は?」
「ないとは言い切れないね。でも、僕は魔女の存在に気がつくことができるんだ」
もしそうだとしたら、さくらの言うことは間違っていないのかもしれない。
「じゃあ、パッと出て来て瘴気か聖女に何かして死んだとか!例えば一箇所だけ祓えないように邪魔したとか!」
「……ないとは言い切れないね」
一瞬の事なら、気がつく事ができないということか。
「魔女のこと教えろよ」
「それは、契約内容じゃない。あくまで瘴気の原因を知るだけだろう?」
その通りだ。
「じゃあ、ヒント!ヒントくれ!」
「何で君は魔女の存在を知っているの?誰が教えてくれたの?それって魔女と出会った人がいるってことだよ。つまり、誰か調べていた。ってことだよね」
「何か書物があるってことだな!」
「よくできました。でも、調べるにしても趣旨が変わってない?」
でも、絶対に魔女が関わっているように思うのだ。
だって、他に何か出来る人間が思い浮かばないから。
「だって今は抜け出して瘴気を調べることなんてできないだろう?だったらおとなしくしてるふりをして……」
「君って子供の時いたずらっ子だったよね」
さくらは、苦笑いだ。
「みんなに怒られて育ったよ」
私は、悪いことをして、「それはいけないことだ」と教えてくれた人たちが幸せに生きてくれることを願ってる。
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