私のことは愛さなくても結構です

毛蟹

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 決まったらすぐに行動に移すのが私だ。
 
「というわけでジャスパー!王立図書館に入る許可をくれ!」

 私は、王立図書館に入れるようにジャスパーにお願いをした。

「……俺の机に足を乗せていう言葉じゃないぞ」

 少し勢い余ったかもしれない。
 ナオミはというと、珍しく青ざめている。
 この国の王様に少し気安く接しているからだろうか。

「クラリス様!も、もう少し言葉をマイルドに……」
「いや、大丈夫だって」
「お前が良くても俺がダメだろ!」
「そ、そうですわ」

 もう、何というかお淑やかになろう。という圧力が強い。

「禁書も見せろよ」

 私は何も言わずに話を逸らすことにした。
 
「え、お前春画とか見るの?」

 禁書ってそういう意味の禁書だったのか。

「見るわけないだろ!」
「まあ、どうぞ、大したもんなんてないけどな」

 そんなもの見ないとジャスパーに怒ると、さらりとそれを流した。
 冗談だったようだ。

「ありがと!」
「刺繍とかそういうのしなくていいのか?」
「は?」

 刺繍とは何だ?
 残念ながら私は不器用で、針を布に刺す前に自分の指を穴だらけにする特技を持っている。

「まあ、一人歩きするよりも本読んでじっとしてた方がずっとましだよな。付き添いの人が気の毒だ」

 マシとはなんだ。マシとは。ナオミが気の毒だと言いたいのか。
 勝手に決めつけるな。
 
「おまえ、私のこと何だと思ってるの?」
「え、ピンクの砲弾のじゃじゃ馬」

 あまりにも酷い返答にこめかみがぴくりとした。

「女の子にそういうこと平気で言える男は死ぬまで独身だぞ」
「早く行け!」

 実はジャスパーはいまだに結婚しておらず。恋人もいないのを私は知っている。
 顔はいいんだけど。性格に難があるからだ。

 私はナオミとさくらを連れて王立図書館へと向かった。
 読むものは当然。魔女関連の書だ。
 本を探して気がついたのだが、意外と本の数が多い。

「……」

 手当たり次第に本を読み始める。
 特に興味深かったのが、魔女と直接やりとりをしたという本だ。
 これが意外に多い。

「なあ、これって、お前?」

 さくら。の事が記されていた。
 変幻自在の魔女。とあった。
 その著者は、亡くなった祖母の死に目に会うために、時間を巻き戻してもらったと書いていた。
 その対価に祖母との思い出の品を渡したらしい。

「覚えているよ。彼にとって祖母との思い出の品よりも死に目に会う方が大切な事だったようだね」
「……」

 書かれてある事は、魔女は対価をもらって個人の願いを叶えるものとあった。
 自分と大切な人との思い出の持ち物のようだ。

「破れてる」

 続きが気になって読んでいくと、ページが破られている場所があった。

「その前のページに何て書いてあるんだ?ん?異邦人?」
「別世界からやって来た人たちだよ」

 魔女の説明に、個人に特定されるものの願い事を叶えられる魔女がいるのだから、そんな人たちがいてもおかしくないと納得してしまった。

「何でもありだな!」
「まあ、余白だからね。僕たちの存在も」
「なあ、私を助けてくれた人って特異点だけどさ、それってどうやって生まれてくるの?」

 不意に気になって、さくらにそのことを聞いた。

「何もないところに特異点なんて普通は生まれないよ」
「確かに!じゃあ、その人は異邦人なのか?」

 考えて見ればその通りだ。
 なぜ、いままで気がつかなかったのだろう。

「だろうね。なんでやって来たのかは謎だけどね。なんか、本題から遠ざかってない?」
「だったら、お前一人で瘴気見に行けよ」
「君、自分が見なきゃ納得しないだろ?」
「まあな。抜け出すタイミングが欲しいな」

 私は抜け出すタイミングを探っている。
 けれど、ナオミガードのせいでそれができずにいる。
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