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とても可愛い人
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とても可愛い人
クラリスに認められたくて行動に移すが、なかなか認めてはもらえない。
彼女の髪の毛の色のバラをプレゼントすると、「姉のためにありがとう」と勘違いされたし、使用人の処罰の件でも僕とではなく兄とやりとりをしていた。
それでも、兄のアシストのおかげて初めてのデートを取り付けることができた。
夜会のエスコートは、アルネの邪魔と本人がきっぱりと断ったのでできなくなったが。
「兄さん、何をプレゼントしたらいいかな」
「ぬいぐるみとか?可愛くて似合いそう」
兄に相談してもまともな回答はない。
それどころか、クラリスを子供扱いするような事を言い出す。
「子供じゃないんだから」
「子供でじゃないか。まあ、宝石とか貰ってもいらないって言うだろうし、あの手の子は、食べ物とか後ぐされない物の方がいいよ」
「……後ぐされって」
「別れる気満々だよ。あれ」
そう言い切られて、かなり凹んだ。
それでも、何か喜んでもらえそうな物を渡したくて、サブリナの髪の毛の色は赤と聞いたのでその色の薔薇を一輪だけ用意した。
花束でも渡したらきっと嫌がりそうだから。
デート当日。
自分でも信じられないほど緊張していた。
「……これ」
一輪のバラをクラリスに差し出して、自分の失敗を悟る。
もう少しマシな事が言えないのか。と、自分自身に絶望してしまう。
案の定「いらない」と言い出しそうなクラリスに、僕は慌ててクラリスの耳に花をかけた。
ただの花として渡しても嫌がりそうなので、髪飾りとして渡す事にしたのだ。
我ながら卑怯だとは思うのだが、反応は悪くない。
甘い砂糖菓子のようなピンクの髪の毛に、真っ赤なバラは映えた。
少し照れくさそうに、頬を赤らめる姿がまたとても可愛らしい。
「良く似合ってる」
もっといい褒め言葉が出ないのか……!
それ以上何も言えない自分が情けない。
クラリスは、僕のことなど気にした様子もなく、興味深そうに街中を見ている。
「人が多いから、はぐれないで」
言った直後には、クラリスと僕を引き裂くように人がぶつかってきて、距離が離れた。
逸れる!
そう思って手を伸ばすが、クラリスはどんどん離れていく。
そして、見失ってしまった。
「クラリス……!」
僕は走り出していた。
彼女の名前を呼んで、周囲をくまなく見渡しても見つかる気配はない。
すぐ近くにいた。人の良さそうな中年男性に僕は思わず声をかけた。
「あ、あの、女の子、可愛い女の子を見ませんでしたか、とっても可愛い女の子で」
可愛いしか言っていいない。
「にいちゃん落ち着こう。その子のことが好きなのはわかったから、落ち着いて説明しようか」
男性は、呆れて僕の肩に手を乗せた。
落ち着けと言われて少しだけ落ち着くことができた気がする。
「ピンク色の髪の毛をしていて、真っ赤なバラを耳にかけた女の子です。その、凄く可愛いから、攫われてしまったら……」
ああ、そうだ。
クラリスは可愛いから攫われてしまうかもしれない。
「わかった。わかったから、探すのを手伝うよ」
男性は。もうそれ以上言うなと言わんばかりだ。
幸い。男性とその友達に協力してもらえた。
それでも、クラリスが無事か心配だった。
「クラリス!」
何度も彼女の名前を呼んで、走り続ける。
息を切らしたのは久しぶりだ。
しばらくしてクラリスは僕の前に、ひょこりと現れた。
クラリスが見つかった時、探すのに協力してくれた人がまたまた近くにいたので、僕の取り乱しっぷりをクラリスに知られてしまった。
「……ごめんなさい」
てっきり見失うな!と怒るものだと思っていたが、謝られて驚いた。
花のことなんて気にしなくていいのに、落としたことも謝られた。
彼女の態度がかなり優しくなった気がする。
買い物は、スムーズにできて会話も盛り上がった。
話の内容は全てサブリナの事だったけれど、楽しそうに話すクラリス。見ているこっちも幸せな気分にさせてくれた。
帰り際。クラリスを屋敷まで送っていくと、何やら彼女はもじもじとしていた。
「……今日は、ありがとな、楽しかった!」
照れくさそうにお礼を言うクラリス。少しだけ顔が赤い。
恥ずかしくてなかなか口にできなかったのだろう。
途端に胸の中が温かくなっていった。
アルネを好きだった時とは違い。こんなにも幸せな気分になるなんて思いもしなかった。
「僕こそありがとう。とても、楽しかった。また誘っていい?今度は花を用意したいんだ」
「もちろん!」
今すぐに彼女を抱きしめたい衝動を抑える。
そんなことしたら、殴られて一生嫌われるのが目に見えているから。
幸せな気分で自分の屋敷へと帰ると王城から呼び出しの手紙が届いていた。
~~~
仕事が立て込んでいてある程度書き切れるまではこのペースでよろしくお願いします
感想もらえると嬉しいです
腰痛の中の励みになります(´;ω;`)
クラリスに認められたくて行動に移すが、なかなか認めてはもらえない。
彼女の髪の毛の色のバラをプレゼントすると、「姉のためにありがとう」と勘違いされたし、使用人の処罰の件でも僕とではなく兄とやりとりをしていた。
それでも、兄のアシストのおかげて初めてのデートを取り付けることができた。
夜会のエスコートは、アルネの邪魔と本人がきっぱりと断ったのでできなくなったが。
「兄さん、何をプレゼントしたらいいかな」
「ぬいぐるみとか?可愛くて似合いそう」
兄に相談してもまともな回答はない。
それどころか、クラリスを子供扱いするような事を言い出す。
「子供じゃないんだから」
「子供でじゃないか。まあ、宝石とか貰ってもいらないって言うだろうし、あの手の子は、食べ物とか後ぐされない物の方がいいよ」
「……後ぐされって」
「別れる気満々だよ。あれ」
そう言い切られて、かなり凹んだ。
それでも、何か喜んでもらえそうな物を渡したくて、サブリナの髪の毛の色は赤と聞いたのでその色の薔薇を一輪だけ用意した。
花束でも渡したらきっと嫌がりそうだから。
デート当日。
自分でも信じられないほど緊張していた。
「……これ」
一輪のバラをクラリスに差し出して、自分の失敗を悟る。
もう少しマシな事が言えないのか。と、自分自身に絶望してしまう。
案の定「いらない」と言い出しそうなクラリスに、僕は慌ててクラリスの耳に花をかけた。
ただの花として渡しても嫌がりそうなので、髪飾りとして渡す事にしたのだ。
我ながら卑怯だとは思うのだが、反応は悪くない。
甘い砂糖菓子のようなピンクの髪の毛に、真っ赤なバラは映えた。
少し照れくさそうに、頬を赤らめる姿がまたとても可愛らしい。
「良く似合ってる」
もっといい褒め言葉が出ないのか……!
それ以上何も言えない自分が情けない。
クラリスは、僕のことなど気にした様子もなく、興味深そうに街中を見ている。
「人が多いから、はぐれないで」
言った直後には、クラリスと僕を引き裂くように人がぶつかってきて、距離が離れた。
逸れる!
そう思って手を伸ばすが、クラリスはどんどん離れていく。
そして、見失ってしまった。
「クラリス……!」
僕は走り出していた。
彼女の名前を呼んで、周囲をくまなく見渡しても見つかる気配はない。
すぐ近くにいた。人の良さそうな中年男性に僕は思わず声をかけた。
「あ、あの、女の子、可愛い女の子を見ませんでしたか、とっても可愛い女の子で」
可愛いしか言っていいない。
「にいちゃん落ち着こう。その子のことが好きなのはわかったから、落ち着いて説明しようか」
男性は、呆れて僕の肩に手を乗せた。
落ち着けと言われて少しだけ落ち着くことができた気がする。
「ピンク色の髪の毛をしていて、真っ赤なバラを耳にかけた女の子です。その、凄く可愛いから、攫われてしまったら……」
ああ、そうだ。
クラリスは可愛いから攫われてしまうかもしれない。
「わかった。わかったから、探すのを手伝うよ」
男性は。もうそれ以上言うなと言わんばかりだ。
幸い。男性とその友達に協力してもらえた。
それでも、クラリスが無事か心配だった。
「クラリス!」
何度も彼女の名前を呼んで、走り続ける。
息を切らしたのは久しぶりだ。
しばらくしてクラリスは僕の前に、ひょこりと現れた。
クラリスが見つかった時、探すのに協力してくれた人がまたまた近くにいたので、僕の取り乱しっぷりをクラリスに知られてしまった。
「……ごめんなさい」
てっきり見失うな!と怒るものだと思っていたが、謝られて驚いた。
花のことなんて気にしなくていいのに、落としたことも謝られた。
彼女の態度がかなり優しくなった気がする。
買い物は、スムーズにできて会話も盛り上がった。
話の内容は全てサブリナの事だったけれど、楽しそうに話すクラリス。見ているこっちも幸せな気分にさせてくれた。
帰り際。クラリスを屋敷まで送っていくと、何やら彼女はもじもじとしていた。
「……今日は、ありがとな、楽しかった!」
照れくさそうにお礼を言うクラリス。少しだけ顔が赤い。
恥ずかしくてなかなか口にできなかったのだろう。
途端に胸の中が温かくなっていった。
アルネを好きだった時とは違い。こんなにも幸せな気分になるなんて思いもしなかった。
「僕こそありがとう。とても、楽しかった。また誘っていい?今度は花を用意したいんだ」
「もちろん!」
今すぐに彼女を抱きしめたい衝動を抑える。
そんなことしたら、殴られて一生嫌われるのが目に見えているから。
幸せな気分で自分の屋敷へと帰ると王城から呼び出しの手紙が届いていた。
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仕事が立て込んでいてある程度書き切れるまではこのペースでよろしくお願いします
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