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「ナターシャ!!!」
声がかかった。古くからの友人……王家とも関係の深いティアが血相を変えて駆け寄る。
「どうしたの???なにかあった???」
「何かあったって……あなたの婚約者である……」
私はティアの言わんとすることが分かったので、結果として彼女の話を遮ることになった。だって、今はお茶の時間だから。
「ねえ、せっかくのお茶がまずくなってしまうでしょう……」
「まずくなるかもしれないけど……そういう問題じゃなくて!!!」
「まあまあ、落ち着きなさいよ。どうせ、他の女の子でもナンパした……って、そんな感じかしら???」
「そうなのよ!!!」
ティアは半ば興奮していた。
「ねえ、ひょっとして楽しんでない???」
私は皮肉をこめて質問してみた。
「楽しい……いやいや、そんなわけないでしょう!!!だってね、私の大親友であるあなたが、窮地に立たされるかもしれないのよ!!!」
「フーン……」
私は冷静だった。振る舞っているわけではなく、本心だった。
「フーン、じゃないでしょう!!!だってね、彼が他の令嬢と婚約するなんてことになったら……あなたとの婚約はご破算になってしまうかもしれないのよ???」
「まあ、仮にそうなったとしても、私は別になんとも思わないわよ……」
「本当かしら???」
ティアは妙に疑っている。私のことを親友と言うのなら、これだけ長く付き合っているわけだし、私が何をどう考えているのかくらい、すぐに分かりそうなものだけど……。
「おおっ、見つけたぞ、ナターシャ!!!」
さあ、私の婚約者のご登場である。頭がよくて、男前で、そして、良くも悪くも狂ったお方。
「ボリス様……今日も相変わらず勇ましいですわね」
「ああ、そういうお前は相変わらずの不細工だな!!!」
彼は私の顔を見るなり、いつも不細工と言う。しかも公衆の面前で。最初は恥ずかしいと思ったけど、今はもはや何も感じなくなった。周りには女の子がたくさんいる。そして、クスクスと笑っている。
「お待ちくださいませ、ボリス様!!!」
そして、彼の後を追いかけてくる女の子も何人かいる。
「ねえ、さっき私のことを好きって言ってくださいましたけど……」
彼は一目惚れした女の子に、
「お前のことが好きだ」
と言う。でも、30秒するとその発言を忘れ、
「お前誰だっけ???」
と言う始末。今日も同じだった。
「酷いですわ!!!」
涙ぐんで女の子たちは、彼の前を去っていく。彼は一度溜息をつき、
「まあ、確かに俺の下らない婚約者よりはマシか……」
なんて言う始末。私も一度溜息をつく。でも、これは一種の挨拶であり、一々気にしない。
声がかかった。古くからの友人……王家とも関係の深いティアが血相を変えて駆け寄る。
「どうしたの???なにかあった???」
「何かあったって……あなたの婚約者である……」
私はティアの言わんとすることが分かったので、結果として彼女の話を遮ることになった。だって、今はお茶の時間だから。
「ねえ、せっかくのお茶がまずくなってしまうでしょう……」
「まずくなるかもしれないけど……そういう問題じゃなくて!!!」
「まあまあ、落ち着きなさいよ。どうせ、他の女の子でもナンパした……って、そんな感じかしら???」
「そうなのよ!!!」
ティアは半ば興奮していた。
「ねえ、ひょっとして楽しんでない???」
私は皮肉をこめて質問してみた。
「楽しい……いやいや、そんなわけないでしょう!!!だってね、私の大親友であるあなたが、窮地に立たされるかもしれないのよ!!!」
「フーン……」
私は冷静だった。振る舞っているわけではなく、本心だった。
「フーン、じゃないでしょう!!!だってね、彼が他の令嬢と婚約するなんてことになったら……あなたとの婚約はご破算になってしまうかもしれないのよ???」
「まあ、仮にそうなったとしても、私は別になんとも思わないわよ……」
「本当かしら???」
ティアは妙に疑っている。私のことを親友と言うのなら、これだけ長く付き合っているわけだし、私が何をどう考えているのかくらい、すぐに分かりそうなものだけど……。
「おおっ、見つけたぞ、ナターシャ!!!」
さあ、私の婚約者のご登場である。頭がよくて、男前で、そして、良くも悪くも狂ったお方。
「ボリス様……今日も相変わらず勇ましいですわね」
「ああ、そういうお前は相変わらずの不細工だな!!!」
彼は私の顔を見るなり、いつも不細工と言う。しかも公衆の面前で。最初は恥ずかしいと思ったけど、今はもはや何も感じなくなった。周りには女の子がたくさんいる。そして、クスクスと笑っている。
「お待ちくださいませ、ボリス様!!!」
そして、彼の後を追いかけてくる女の子も何人かいる。
「ねえ、さっき私のことを好きって言ってくださいましたけど……」
彼は一目惚れした女の子に、
「お前のことが好きだ」
と言う。でも、30秒するとその発言を忘れ、
「お前誰だっけ???」
と言う始末。今日も同じだった。
「酷いですわ!!!」
涙ぐんで女の子たちは、彼の前を去っていく。彼は一度溜息をつき、
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なんて言う始末。私も一度溜息をつく。でも、これは一種の挨拶であり、一々気にしない。
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