最強の薬師、婚約破棄される〜王子様の命は私の懐の中〜

岡暁舟

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その12

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「リンプルが……私を殺そうとしたのか?どうして……」

ファンコニーは少し考えた。思い返せば、必ずしもアンナの言っていることが間違いではないような気がしたのだ。

「私がこれまで抱えてきた病気……治らないのは、リンプルのせいだったのか?彼女がわざと、私の病気を治さないようにしていたのか?私を殺して得するのか?金か?ボアジエ公爵家は貧しいのか?そんなことはないだろう?ああ、分からないよ……リンプル……私は君を信じていいんだよな?私が婚約すると言って、君は最初戸惑った。だが……しばらくして、君は私の横にいるとき、嬉しそうに笑っていたじゃないか……。あれも全部偽りだったということなのか?なあ、リンプル、頼むから教えてくれよ……」

ファンコニーはリンプルと話がしたいと思った。そして、これ以上ホフマン公爵の厄介になるのも申し訳ないと思った。ファンコニーは立ち上がって、部屋を出ようとした。それと同時に、ホフマン公爵家の侍従が数名入ってきた。

「失礼いたします。ファンコニー様。お食事の準備ができましたので、どうぞお越しくださいませ」

「食事?ああ、気にしなくていいですよ。私、そろそろお暇しますから……」

ファンコニーは侍従の間を割って、部屋を出ようとした。

「ファンコニー様。それはいけませんね。まだ、薬の副作用で身体がふらつくこともあるでしょう。ですから、この一日は当屋敷でお休みになるのがよろしいかと存じます」

侍従たちは強制的にファンコニーを留めようとした。

「さあさあ、お食事の準備は済んでおります。どうぞ、こちらにいらしてください」

ここまで言われて、拒否するのはかえって失礼だと思った。ファンコニーは侍従たちの指示に従って、とりあえず一日、屋敷に閉じこもることになった。

午後になると、捜査を一度終えたアンナが屋敷に帰ってきた。

「ファンコニー様の様子はどう?」

アンナは侍従たちに質問した。

「今はお休みになられています」

「そう……薬は入れておいた?」

「はい、ただいまその効果が出ていると思われます……」

「それはよかった!ならば、今夜、リンプルとの婚約破棄が叶いそうね!」

「お嬢様!声が大きいですよ。ファンコニー様が起きてしまわれます」

「ああ、あぶないあぶない。そうね、みんなありがとう。後は私がやっておくから、少し休憩しなさいな」

アンナは人払いをした。そして、ファンコニーと婚約するための算段を練り始めた。

「ファンコニー様……あなたはしばらくして、私と婚約するようになるんですよ?あの女のことなんか忘れて……私と婚約するのですよ?楽しみに待っておりますね!」

アンナはすっかり眠っているファンコニーの耳元で、何度も何度もそう囁いた。
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