【完結】それでも僕は貴方だけを愛してる 〜大手企業副社長秘書α×不憫訳あり美人子持ちΩの純愛ー

葉月

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「いらっしゃいませ」

 店のドアが開かれると、瑞稀が笑顔で客を迎える。

「瑞稀くん、こんばんは」

「奈子さん、こんばんは」

 常連客の奈子を、瑞稀は笑顔を出迎えた。
 奈子は晴人と同じ病院で、晴人と同じ『バース科』の看護師。

「今日、瑞稀くんに会いに行くって山崎先生に言ったら、羨ましがられてよ。山崎先生、今日は学会だしお店に寄れないから、かなり残念そうにしてたわよ。山崎先生は、本当に瑞稀くんに毎日会いたいみたい。瑞稀くんも山崎先生に会いたい?」

 奈子の言う『山崎先生』とは晴人のこと。
 奈子はにっこり笑うと、

「はい…」

 恥ずかしそうに瑞稀が答える。

 瑞稀と晴人が付き合っていることは知っているが、二人が一緒に住んでいることは、オーナーとかすみなど、本当に親しい人しか言っておらず、瑞稀はごまかすように照れ笑いをする。

 そして注文を聞く前に、冷えたガラスのビールグラスを取り出し、濃色ビールと淡色ビルを1:1で注ぎ一混ぜして、奈子の前に出す。

「瑞稀くんのハーフ&ハーフ、大好きなんだ」

 ごくごくと飲む姿は、本当のビール好きだ。
 奈子はどうやら病院では瑞稀のバーでの様子を晴人にしているようで、自分が知らない瑞稀を奈子が知っていることを、悔しがる晴人の姿を瑞稀に報告するのが好きなようだ。

「いつも冷静で大人な山崎先生に、瑞稀くんの話をすると嬉しそうに微笑んだり、拗ねたりするのって、本当に面白いんだから…って、この話は山崎先生には秘密ね」

 奈子は人差し指を一本たて唇に当てると『シー』っとし、それから楽しそうに笑う。
 自分の知らないちょっとした晴人の表情の変化を、奈子は知っていて瑞稀は羨ましいと思う。

仕事をしている時の晴人さんって、どんな感じなんだろう?

 オメガの薬を処方されに行く時だけ、晴人の病院に行くが、いつも真剣な顔で仕事をしている晴人のことを直視できず、結局、仕事中の晴人の様子をいつも見逃していた。

「山崎先生、瑞稀くんからの『愛妻弁当』がある時は、食べる時が一番幸せそうで、絶対に手を合わせて『いただきます』っていうんだよ。可愛くない?」
 
確かにそんな晴人さんは可愛いし、僕のつくったお弁当を食べてくれるのは嬉しいけど、僕だってもっと可愛い晴人さん、知ってるもん。

 奈子の話に少しヤキモチを妬いてしまい、知らず知らずの間に、瑞稀は頬を膨らましまう。

「うふふ、本当に仲がいいのね」

 奈子が言うと、

「ですよね~。あ~私も、素敵な恋人が欲しい」

 かすみが話に入ってくる。

「わかる!」

 奈子がかすみの手をとり、2人で『うんうん』と頷く。

 もうこうなれば2人の恋バナに、瑞稀が巻き込まれる…と言うのが定番になっていた。
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