24 / 202
2度目の… ①
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店内も賑やかになり出した午後9時ごろ。
「瑞稀、ちょっと…」
カウンター内で、かすみと奈子の話を聞きながら、他の客のカクテルを作っている時に、瑞稀はオーナーに呼ばれた。
「はい」
なんだろう?と思いながら、オーナーの後をついていきスタッフルームに入る。
「瑞稀、今から晴人さんに連絡を入れて、今日はもう帰った方がいい」
「え?どうしてですか?」
オーナーが言った意味が分からず、聞き返す。
「微かにだが、フェロモンが出始めている」
「え!?だってまだ…」
ヒートになるには1週間早い。
それに体調の変化もなくて、いつもと変わらないのに…。
「俺はベータだけど昔から鼻は良くて、フェロモンの香りに敏感なのと、表情のとか雰囲気でわかるんだ。ここはタバコの匂いも、客の香水の匂いもあって、まだ分からないと思うが、多分もう少しフェロモンが出始めたら、気付く奴も出てくる」
「!!」
「だから今日は早めに帰ったほうがいい。晴人さんと連絡取れるか?」
心配そうに瑞稀をみるオーナーに対して、首を横に振る。
「今日は学会で帰りが遅いんです…。だから連絡はしたくないんです」
どうしよう…。
どうしよう…。
どうしよう…。
不安が募るが、
迷惑をかけたくない…。
そんな気持ちもあった。
が裏腹に、脳裏では初めてヒートになった時のことが、思い出される。
あの時は晴人さんがいたてくれたから大丈夫だったけど、今はいない。
もしこんな状態でヒートになったら…。
もし他のアルファに気づかれたら…。
部屋を出る前に熱っぽかったのも、頭痛がしてたのも、ヒートせいだったんだ。
あの時気づいていれば…。
もし、晴人でないアルファに襲われたら、抵抗できない…。
恐怖で震え出す。
「それでも、晴人さんに連絡を…」
オーナーが連絡を入れるように促すが、瑞稀は首を横に振る。
「今日の学会で、晴人さんずっとしていた研究を発表するんです…」
今回の学会で学生の頃から研究していた結果が出て、ようやく発表できることになった。
瑞稀は研究に力を注いでいた晴人の姿を間近でみて来た。
だからどうしても、自分のことで邪魔はしたくなかった。
「わかった。じゃあすぐに運転手が女性ベータのタクシーをよんでやるから、かすみちゃんに付き添ってもらって帰るといい」
「え…?」
でもかすみさんが抜けたら…。
「本当は俺が責任を持って送り届けたいが、こう言う時は女性のほうが、安心だろう」
オーナーはどこまでも瑞稀の体と気持ちを心配している。
「ありがとう…ございます」
徐々に瑞稀の体は火照りだし、ふらふらし始めだした。
「店のことは心配するな。新しいスタッフもいるし何とかなる。今は自分の体のことだけ考えてたらいい」
そう言うと、オーナーは急いで瑞稀をソファーで寝かせると、タクシー会社に電話をする。
「かすみちゃんを呼んでくるから、ちょっと待ってろ」
部屋の鍵を閉めて、かすみを呼びに部屋のドアのぶに手をかけた時、
「オーナー…ご迷惑をかけてしまって…すみません…」
自分の情けなさに、涙が出る。
「いいよ、そんなこと思わなくて。瑞稀は俺にとって、大事な弟みたいなもんだからな」
くしゃくしゃと瑞稀の頭を撫で、部屋を出た。
1人部屋に残された瑞稀は、急に不安とこれからどうなっていくのか?という恐怖が襲いかかってくる。
晴人さん、晴人さん、晴人さん…。
涙で視界が歪む。
その時、部屋のドアがガチャガチャと言う音がして、ドアが開かれる。
誰!?
怖い!!
瑞稀の体に力が入り、目をぎゅっときつく閉じると、
「瑞稀くん!」
入って来たのは、慌てたかすみだった。
「オーナーがタクシー呼んでくれて、あと2、3分で来てくれるって。私もついてる。絶対大丈夫!こう見えて、私、ボクシングしてるから」
瑞稀の気持ちが少しでも和らぐように、かすみは力こぶを見せる。
かすみの笑顔に、瑞稀の不安も少し薄れる。
「かすみさん…、ごめんなさい…」
ハァハァと瑞稀の息が上がり、意識も朦朧としてきた。
「いいのよ。困った時は、お互い様」
かすみはあえて、急にヒートになってしまったことを、取るに足らないことのように言った。
「瑞稀、ちょっと…」
カウンター内で、かすみと奈子の話を聞きながら、他の客のカクテルを作っている時に、瑞稀はオーナーに呼ばれた。
「はい」
なんだろう?と思いながら、オーナーの後をついていきスタッフルームに入る。
「瑞稀、今から晴人さんに連絡を入れて、今日はもう帰った方がいい」
「え?どうしてですか?」
オーナーが言った意味が分からず、聞き返す。
「微かにだが、フェロモンが出始めている」
「え!?だってまだ…」
ヒートになるには1週間早い。
それに体調の変化もなくて、いつもと変わらないのに…。
「俺はベータだけど昔から鼻は良くて、フェロモンの香りに敏感なのと、表情のとか雰囲気でわかるんだ。ここはタバコの匂いも、客の香水の匂いもあって、まだ分からないと思うが、多分もう少しフェロモンが出始めたら、気付く奴も出てくる」
「!!」
「だから今日は早めに帰ったほうがいい。晴人さんと連絡取れるか?」
心配そうに瑞稀をみるオーナーに対して、首を横に振る。
「今日は学会で帰りが遅いんです…。だから連絡はしたくないんです」
どうしよう…。
どうしよう…。
どうしよう…。
不安が募るが、
迷惑をかけたくない…。
そんな気持ちもあった。
が裏腹に、脳裏では初めてヒートになった時のことが、思い出される。
あの時は晴人さんがいたてくれたから大丈夫だったけど、今はいない。
もしこんな状態でヒートになったら…。
もし他のアルファに気づかれたら…。
部屋を出る前に熱っぽかったのも、頭痛がしてたのも、ヒートせいだったんだ。
あの時気づいていれば…。
もし、晴人でないアルファに襲われたら、抵抗できない…。
恐怖で震え出す。
「それでも、晴人さんに連絡を…」
オーナーが連絡を入れるように促すが、瑞稀は首を横に振る。
「今日の学会で、晴人さんずっとしていた研究を発表するんです…」
今回の学会で学生の頃から研究していた結果が出て、ようやく発表できることになった。
瑞稀は研究に力を注いでいた晴人の姿を間近でみて来た。
だからどうしても、自分のことで邪魔はしたくなかった。
「わかった。じゃあすぐに運転手が女性ベータのタクシーをよんでやるから、かすみちゃんに付き添ってもらって帰るといい」
「え…?」
でもかすみさんが抜けたら…。
「本当は俺が責任を持って送り届けたいが、こう言う時は女性のほうが、安心だろう」
オーナーはどこまでも瑞稀の体と気持ちを心配している。
「ありがとう…ございます」
徐々に瑞稀の体は火照りだし、ふらふらし始めだした。
「店のことは心配するな。新しいスタッフもいるし何とかなる。今は自分の体のことだけ考えてたらいい」
そう言うと、オーナーは急いで瑞稀をソファーで寝かせると、タクシー会社に電話をする。
「かすみちゃんを呼んでくるから、ちょっと待ってろ」
部屋の鍵を閉めて、かすみを呼びに部屋のドアのぶに手をかけた時、
「オーナー…ご迷惑をかけてしまって…すみません…」
自分の情けなさに、涙が出る。
「いいよ、そんなこと思わなくて。瑞稀は俺にとって、大事な弟みたいなもんだからな」
くしゃくしゃと瑞稀の頭を撫で、部屋を出た。
1人部屋に残された瑞稀は、急に不安とこれからどうなっていくのか?という恐怖が襲いかかってくる。
晴人さん、晴人さん、晴人さん…。
涙で視界が歪む。
その時、部屋のドアがガチャガチャと言う音がして、ドアが開かれる。
誰!?
怖い!!
瑞稀の体に力が入り、目をぎゅっときつく閉じると、
「瑞稀くん!」
入って来たのは、慌てたかすみだった。
「オーナーがタクシー呼んでくれて、あと2、3分で来てくれるって。私もついてる。絶対大丈夫!こう見えて、私、ボクシングしてるから」
瑞稀の気持ちが少しでも和らぐように、かすみは力こぶを見せる。
かすみの笑顔に、瑞稀の不安も少し薄れる。
「かすみさん…、ごめんなさい…」
ハァハァと瑞稀の息が上がり、意識も朦朧としてきた。
「いいのよ。困った時は、お互い様」
かすみはあえて、急にヒートになってしまったことを、取るに足らないことのように言った。
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