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そんな… ①
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飲み物が届いたあと、サイドメニュー、鍋の用意もすぐに揃った。
さて、鍋を作ろうか…とした時、元気いっぱいの小学低学年の兄弟が、瑞稀と晴人の部屋の襖を勢いよく開けた。
「「あ…」」
兄弟らしき二人の男の子は同時に言い、瑞稀と晴人を見て、部屋を間違えてしまったことを知ると、
「ごめんなさい!!」
そう言い、急いで襖を閉めてかけて行った。
「こどもって元気だよな」
嵐のように出ていった子どもたちが立っていた場所を、晴人が見る。
今がチャンスかもしれない。
瑞稀は『うん』と小さく頷くと、意を決して晴人を見つめる。
そして…、
「晴人さんは…こども…ほしいですか?」
真っ直ぐ晴人の目を見て聞いた。
「え?こども?」
晴人にとっては唐突な質問。
首を傾げた。
「はい。晴人さんはどう思われてるのかな?って思って」
緊張と不安で心臓が激しく脈打つ。
机のしたの手はきつく握られ、震えている。
悟られてはいけない…。
たとえ愛する晴人さんであっても、この不安な気持ちは悟られてはいけない。
いつも通り。
いつも通りでいないと…。
「今、子どもは考えてないな…」
晴人は少し考えて、そう答えた。
『今、子どもは考えてないな…』
瑞稀が恐れていた言葉が晴人から発せられ、瑞稀の胸に言葉が刺さる。
「ずっとってことじゃないんだ。ただ今は考えてないかな…」
そう晴人が話す。
『今は考えてないかな…』
瑞稀のお腹の中には、もう新しい命が
宿っている。
でもだからと言って、今は子どものことを考えていない晴人に、「一緒に育てて欲しい」なんて言えない。
お腹の子に、この話を聞かせたくなくて、瑞稀は子どもの両耳を塞ぐように、両手でお腹を隠した。
「瑞稀…急にどうしたんだ?何か気になることでもあった?」
俯く瑞稀に晴人は声をかける。
「……。いえ、何もないんです」
顔を上げた瑞稀は、瞳からは大粒の涙が溢れるのを我慢して、懸命に笑顔を作る。
「すみません。急に変な話ししちゃって」
えへへと笑ってみたが…、
ちゃんと笑えてるのかな…?
笑顔を作るのが限界になり、また瑞稀は俯いてっしまい、溢れて来ていた涙がぽたりぽたりと落ち、机の下でぎゅっと握られた手の甲が濡れた。
——子どもは考えていない——
晴人の声が頭の中でこだまする。
いらないんだ……。
やっぱり、いらないんだ……。
僕たちの赤ちゃんは…いらないんだ……。
胸が抉られて、苦しい。
息ができない。
でも大丈夫だよ。
僕が君を守っていくからね。
心の中で呟き、お腹を撫でた。
「瑞稀…?」
瑞稀の異変に気づいた晴人が、瑞稀の隣に行こうと立ち上がる。
泣いている姿を、見られてはいけない!
瑞稀は晴人に気づかれないように、サッと涙を拭くと、
「何もないです。それよりお鍋、作りましょ」
何事もなかったかのように、鍋の材料に手を伸ばし、菜箸を持つ。
「晴人さんは座っててください。僕が作ります」
笑顔で晴人に言う。
瑞稀は何事もなかったように振る舞おうとしたが、それは無理だ。
菜箸を持つ手が震える。
「僕、ちょっとお手洗いに行ってきます」
笑顔を作って晴人にそう伝え、瑞稀は立ち上がり急いで部屋を出、襖を閉める。
靴を履き、無言のまま廊下を歩き、曲がり角を曲ると急に頭からサーっと血の気がひいていくのがわかった。
目の前が歪んで見えるのは、涙のせいだ。
一度、ゆっくり瞳を閉じ、深呼吸をして目を開けると、瑞稀の目の前は、全ての色が消えてしまったように、白と黒の世界が広がっていた。
さて、鍋を作ろうか…とした時、元気いっぱいの小学低学年の兄弟が、瑞稀と晴人の部屋の襖を勢いよく開けた。
「「あ…」」
兄弟らしき二人の男の子は同時に言い、瑞稀と晴人を見て、部屋を間違えてしまったことを知ると、
「ごめんなさい!!」
そう言い、急いで襖を閉めてかけて行った。
「こどもって元気だよな」
嵐のように出ていった子どもたちが立っていた場所を、晴人が見る。
今がチャンスかもしれない。
瑞稀は『うん』と小さく頷くと、意を決して晴人を見つめる。
そして…、
「晴人さんは…こども…ほしいですか?」
真っ直ぐ晴人の目を見て聞いた。
「え?こども?」
晴人にとっては唐突な質問。
首を傾げた。
「はい。晴人さんはどう思われてるのかな?って思って」
緊張と不安で心臓が激しく脈打つ。
机のしたの手はきつく握られ、震えている。
悟られてはいけない…。
たとえ愛する晴人さんであっても、この不安な気持ちは悟られてはいけない。
いつも通り。
いつも通りでいないと…。
「今、子どもは考えてないな…」
晴人は少し考えて、そう答えた。
『今、子どもは考えてないな…』
瑞稀が恐れていた言葉が晴人から発せられ、瑞稀の胸に言葉が刺さる。
「ずっとってことじゃないんだ。ただ今は考えてないかな…」
そう晴人が話す。
『今は考えてないかな…』
瑞稀のお腹の中には、もう新しい命が
宿っている。
でもだからと言って、今は子どものことを考えていない晴人に、「一緒に育てて欲しい」なんて言えない。
お腹の子に、この話を聞かせたくなくて、瑞稀は子どもの両耳を塞ぐように、両手でお腹を隠した。
「瑞稀…急にどうしたんだ?何か気になることでもあった?」
俯く瑞稀に晴人は声をかける。
「……。いえ、何もないんです」
顔を上げた瑞稀は、瞳からは大粒の涙が溢れるのを我慢して、懸命に笑顔を作る。
「すみません。急に変な話ししちゃって」
えへへと笑ってみたが…、
ちゃんと笑えてるのかな…?
笑顔を作るのが限界になり、また瑞稀は俯いてっしまい、溢れて来ていた涙がぽたりぽたりと落ち、机の下でぎゅっと握られた手の甲が濡れた。
——子どもは考えていない——
晴人の声が頭の中でこだまする。
いらないんだ……。
やっぱり、いらないんだ……。
僕たちの赤ちゃんは…いらないんだ……。
胸が抉られて、苦しい。
息ができない。
でも大丈夫だよ。
僕が君を守っていくからね。
心の中で呟き、お腹を撫でた。
「瑞稀…?」
瑞稀の異変に気づいた晴人が、瑞稀の隣に行こうと立ち上がる。
泣いている姿を、見られてはいけない!
瑞稀は晴人に気づかれないように、サッと涙を拭くと、
「何もないです。それよりお鍋、作りましょ」
何事もなかったかのように、鍋の材料に手を伸ばし、菜箸を持つ。
「晴人さんは座っててください。僕が作ります」
笑顔で晴人に言う。
瑞稀は何事もなかったように振る舞おうとしたが、それは無理だ。
菜箸を持つ手が震える。
「僕、ちょっとお手洗いに行ってきます」
笑顔を作って晴人にそう伝え、瑞稀は立ち上がり急いで部屋を出、襖を閉める。
靴を履き、無言のまま廊下を歩き、曲がり角を曲ると急に頭からサーっと血の気がひいていくのがわかった。
目の前が歪んで見えるのは、涙のせいだ。
一度、ゆっくり瞳を閉じ、深呼吸をして目を開けると、瑞稀の目の前は、全ての色が消えてしまったように、白と黒の世界が広がっていた。
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