【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月

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初恋の人 ③

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 今日は晴天。
 馬を走らせると風が頬を撫で、土を蹴るひずめ音が心地いい。

「サイモン、気持ちいいね」
「そうだね」
 サイモンの髪が、馬の動きに合わせて上下に靡く。
 本当に綺麗。
 サイモンの隣で走れる幸せを噛み締めた。

 丘の上からは街の様子がよく見えた。
「秋に行われる収穫祭には、レオも一緒に行こう」
「本当に!?」
 収穫祭前後は季節の変わり目で、ミカの体調が崩れやすい。
 だから今まで一度も行ったことがなかったけれど、ずっと収穫祭に行きたかった。

「でも今年はミカと結婚して初めての収穫祭だよ。そんな時に僕も一緒に行ってもいいの?」
「もちろん。ミカだってレオと一緒の方が嬉しいと思うよ」
 サイモンはそう言ってくれるけれど、本当にそうだろうか?
 ミカはサイモンのことが幼い頃から大好きだった。
 僕がどんなにサイモンのことが大好きになっても、決して一緒にいることはできない……。

 今年の収穫祭はやっと大好きなサイモンと結婚でき、ミカはきっと二人きりがいいに違いない。
 でも僕も一緒に行きたい。
 そう思うのは僕のわがままだとわかってる。
 だから僕は……、
「やっぱり行かない」
 そう決めた。

 ミカとサイモンの幸せを願うんだ。
「結婚してサイモンと新しい土地で暮らすことになるミカにとって、ここでの感謝祭は最初で最後の感謝祭で大切なお祭り。だからサイモンとミカ2人だけでいくべきだよ。2人だけの新しい思い出を作ってよ」
 僕は城主になる。
 僕の気持ちだけで動ける時は、終わったんだ。
「そう……だね」
 切そうにサイモンが微笑んだのは気のせいだろうか?

 昼食までに邸宅に帰ったけど、父様達は僕達が乗馬をしに行ったを知っていた。
 サイモンが庇ってくれたから怒られずにすんだけれど、のけ者にされたミカは怒っていて宥めるのに苦労した。

 きっとミカは体が強かったら、僕よりもっとサイモンと仲良しで、2人だけで出かけていただろう。
 そんな時、僕1人置いて行かれていたら、きっと僕もミカと同じようにかなしかったと思う。
 サイモンはミカの大好きな人で婚約者。
 もう僕はサイモンと一緒にでかけてはいけない。
 そう心に決めた。
 それから僕はできるだけサイモンとミカが2人で過ごせるようにしたし、もしサイモンなにかする時も必ずミカと一緒にした。

 僕はカトラレル家城主になる。
 ミカはオリバー家城主夫人になる。
 僕達は来月18歳になる。
 ミカはサイモンと結婚。
 その時、僕の長年の初恋も終わるんだ……。
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