【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月

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帝都でのパーティー ④

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 皇帝陛下、皇后陛下、第一皇太子様、第二皇太子様との謁見が終わり、ほっとしたのも束の間、
「オリバー様~」
「サイモン様~」
 語尾にハートマークがつきそうな甘い声で、貴族令嬢がサイモンに近寄り、
「わっ!」
 僕を押し退けサイモンを取り囲む。

 もう少しで倒されそうになった時、サイモンがすっと僕を支えてくれ、
「ご令嬢方、紹介します。パートナーのミカエルです。久々の社交界ですので、色々と教えてやってください」
 ニコリと微笑むサイモンだったが、目の奥はすわっていてかなり怒っている。

「は、初めまして、ミカエル・オリバーです。知らないことばかりですので、色々教えていただけますと嬉しいです」
 マナーの先生に教えてもらった通りのお辞儀をして挨拶をすると、
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
 とは言ってくれたものの視線は冷たく、クスリと蔑んだ笑みを僕はぶつけられた。

 その視線に負けてしまいそうになったが、今僕はサイモンのパートナー。
 怖気付いてはいけない。
 グッとお腹に力を入れて、微笑みながら睨み返す。
「仲良くしてくださっているようで、私も嬉しいです。そんなところ申し訳ないのですが、私達は挨拶回りに行かないといけなくて、ここで失礼します」
 ご婦人方の返事を聞く前に、サイモンは僕と手を繋ぎ、人混みに入っていく。

「サイモン、あのままでいいの?」
 手を引っ張られながら聞くと、
「あんな失礼なやつらと、関わる必要はない」
 僕以上にサイモンが先ほどの失礼な態度に、怒っている。

「あんなの僕は大丈夫だよ」
「そんなわけない。俺の大切なミカエルに、なんて態度だ。もしあんな態度が続くんだったら、社交界なんて出なくていいからな」
 サイモンが僕が思ってた以上に怒ってくれていることが、嬉しかった。
 もし何かあったとしても、サイモンがいてくれたら大丈夫。
 社交界の荒波の中でもやっていけそうな気がした。
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