【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月

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瑠璃色の部屋 ①

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 侍女にルーカス様の寝室の隣りにある僕専用の部屋に、連れて行かれた。

 淡いクリーム色と宝石のラピスラズリ色である瑠璃色るりいろ基調としていて、部屋はとても綺麗で調度品も煌びやか。
 大きな窓からからは園庭が見える。
 天蓋付きのベッドは人が3人ゆったり寝られそうなほど広く、枕カバーには青い花が刺繍されていた。

 青はミカが大好きな色で、イメージカラー。
 きっとここはミカのためにルーカス様が用意していた、部屋じゃないだろうか?

「御用があれば、そのベルを鳴らしてください」
 そう言って侍女は出て行ったが、ここは宮殿。
 廊下にずっと待機していない限り、手持ちのベルを鳴らしたぐらいでは誰にも聞こえないし、気づかれない。
 試しにリンリンとベルを鳴らしてみたが、誰も来ない。

 やっぱり……。
 侍女が言いたかったのは「用事があっても、ベルで呼ぶな」と言うことだろう。
 部屋に飾られていた青い花は、水が変えられていないのか萎れている。

 ある時を境に、この部屋の手入れを誰もしていない証拠。
 無言のままベッドに横になると、我慢していた涙が溢れた。

「うっ、うっ……っう……」

 この涙は何の涙だろう?
 ルーカス様に邪険にされた涙?
 サイモンにさよならを言った涙?
 薬を盛ってまでサイモンと行為をしたのに、妊娠しなかったことの涙?
 自分はミカのフリをして、サイモンと結婚したこと?
 父様と母様に死んだのは僕と言うことにしなさいと言われたこと?
 サイモンにずっと嘘をついていたこと?
 ミカとお別れがきちんとできなかったこと?
 それともサイモンとの楽しかった日々を思い出してのこと?

 どの涙かわからない。
 ただ言えるのは、みんなに嘘をついて、騙して、傷つけたことへの後悔と、懺悔の気持ち。
 ミカが死んでしまってから、僕はきちんと泣けてなかった。

 その涙を出し切るように泣いた。
 僕の世界は今日、この瞬間からこの部屋の中だけになる。死ぬまでずっと。
 そのことを悲しいとは思わない。
 それより僕にきちんと罰をあたえてくださったルーカス様に感謝した。
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