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絶望 ①
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光に吸い寄せられるように進んでいくと、また大きな扉があり、その扉に手をかざすと目の前が真っ白になるほど眩しい光に包まれて、ゆっくりと目を開くと、見慣れたクリーム色と瑠璃色の天蓋が見えた。
ああ、帰ってきてしまった……。
涙が目尻から耳元に流れていく。
何かの気配がして、足元を見るとルーカス様がベッドに組んだ腕を乗せ、その腕の上に頭を乗せて眠っていた。
パッと見ただけでもわかるほど、ルーカス様は寝顔にまで疲れが出ている。
この方は、いつも無理をなさる。
膝枕をした時のことを思い出し、僕は上半身を起き上がらせると、ルーカス様の髪を優しく撫でた。
ルーカス様が少しでもゆっくり眠れますように。
そう思いながら数回撫でると、ルーカス様が目を覚まし急に頭を上げられ僕の顔を見ると、綺麗な顔をくしゃっと歪め、痛いぐらいに強く僕を抱きしめた。
「もう逢えないかと思った……」
耳元でルーカス様が啜り泣く声が聞こえ、肩が震える。
「大丈夫です。大丈夫」
ルーカス様の背中を摩ると、
「ミカエルがいなくなって、レオナルドまで失ったら、俺はどうしたらいい!? 人がいなくなるのに、時間は待ってくれない! 教えてくれない!レオナルドもいなければ、俺は、俺は……」
ルーカス様は僕をよりきつく抱きしめながら、泣きじゃくる。
強く抱きしめられ息が苦しかったけれど、それほどルーカス様は僕のことを必要とし心配してくださったということ。
「僕とミカはずっとルーカス様のそばにいます」
僕もルーカス様を抱きしめた。
「ずっとそばにいるか?」
「ルーカス様が僕達を必要としてくださっている限り」
「俺にはレオナルドが必要だ。もうどこにも行かないでくれ……」
縋るようなルーカス様の言葉。
「一人にはさせません」
僕は言い切った。
僕が目覚めた聞いた医師が、診察に駆けつける。
ルーカス様は人払いをさせ、部屋には医師とルーカス様、そして僕の三人だけ。
ひとしきり診察が終わった時、
「レオナルド様、落ち着いてお聞きください」
医師が僕の目を見て言った。
ー落ち着いて聞いてくださいー
そう言われる時は、悪いことがあったということ。
「はい」
と答え、医師の答えを待つ。
「先日、レオナルド様が倒れられた原因は急激な子宮の収縮による出血です。そしてその急激な子宮の収縮でレオナルド様は……流産されました」
医師は淡々と話す。
「え……?流、産……?」
流産と聞いても、よくわからない。
だって僕は……。
「僕は妊娠していないと思います」
サイモンに薬を盛って行為はしたけれど、次のヒートはきた。だから僕は妊娠していないし、次のヒートが来る前に、サイモンとは離縁した。
ルーカス様とは、そういった行為はおろか、キスだってしていない。
だから僕は妊娠なんてしていない。
「稀にですがヒートの時以外でも、妊娠する可能性があるのです。ですから今回の妊娠はヒート時以外かと思われます」
「……」
頭が真っ白になった。
妊娠していて、流産していた?
僕はサイモンとの赤ちゃんを妊娠していたの?
流産してしまったの?
「大丈夫。大丈夫だレオナルド。俺がついている」
ルーカス様の胸の中に引き寄せられる。
ふと見上げると、ルーカス様の苦しそうで悲しそうな瞳と、僕の視線がぶつかる。
今、何が起きているのかわからなかったけれど、ルーカス様の瞳に涙が浮かんでいて、僕が妊娠して流産したことが本当のことだったのかと、思い知らされた。
「僕、本当に、流産、してしまったんですね……」
妊娠していたなんて、今まで知らなかったことなのに、それを知らされたのが流産した時だなんて……。
もう赤ちゃんがいなくなってしまった腹部を触る。
ここで育っていた新しい命は、僕に気づかれることなく死んでしまった……。
「う“っ……、うぅぅぅ……」
体の奥底から込み上げる喪失感。
体の奥底から闇が生まれ、全て飲み込まれていく。
何も聞こえなくて、何も見えなくて、何も感じない。
ミカ、ここに帰ってきても何もいいことないじゃないか。
僕はミカがいる世界。僕とサイモンの赤ちゃんがいる世界にいたかった。
なのに、どうしてミカはこんな残酷な世界に僕を押し戻したの?
「もう……死にたい……」
心からの願いだった。
もう死にたい。
もう生きていたくない。
多分、僕はルーカス様に抱きしめられて、何か言い続けられていると思う。
だけどルーカス様、ごめんなさい。
僕、何もわからなくて、何も感じないんです。
僕はそっと瞳を閉じた。
ああ、帰ってきてしまった……。
涙が目尻から耳元に流れていく。
何かの気配がして、足元を見るとルーカス様がベッドに組んだ腕を乗せ、その腕の上に頭を乗せて眠っていた。
パッと見ただけでもわかるほど、ルーカス様は寝顔にまで疲れが出ている。
この方は、いつも無理をなさる。
膝枕をした時のことを思い出し、僕は上半身を起き上がらせると、ルーカス様の髪を優しく撫でた。
ルーカス様が少しでもゆっくり眠れますように。
そう思いながら数回撫でると、ルーカス様が目を覚まし急に頭を上げられ僕の顔を見ると、綺麗な顔をくしゃっと歪め、痛いぐらいに強く僕を抱きしめた。
「もう逢えないかと思った……」
耳元でルーカス様が啜り泣く声が聞こえ、肩が震える。
「大丈夫です。大丈夫」
ルーカス様の背中を摩ると、
「ミカエルがいなくなって、レオナルドまで失ったら、俺はどうしたらいい!? 人がいなくなるのに、時間は待ってくれない! 教えてくれない!レオナルドもいなければ、俺は、俺は……」
ルーカス様は僕をよりきつく抱きしめながら、泣きじゃくる。
強く抱きしめられ息が苦しかったけれど、それほどルーカス様は僕のことを必要とし心配してくださったということ。
「僕とミカはずっとルーカス様のそばにいます」
僕もルーカス様を抱きしめた。
「ずっとそばにいるか?」
「ルーカス様が僕達を必要としてくださっている限り」
「俺にはレオナルドが必要だ。もうどこにも行かないでくれ……」
縋るようなルーカス様の言葉。
「一人にはさせません」
僕は言い切った。
僕が目覚めた聞いた医師が、診察に駆けつける。
ルーカス様は人払いをさせ、部屋には医師とルーカス様、そして僕の三人だけ。
ひとしきり診察が終わった時、
「レオナルド様、落ち着いてお聞きください」
医師が僕の目を見て言った。
ー落ち着いて聞いてくださいー
そう言われる時は、悪いことがあったということ。
「はい」
と答え、医師の答えを待つ。
「先日、レオナルド様が倒れられた原因は急激な子宮の収縮による出血です。そしてその急激な子宮の収縮でレオナルド様は……流産されました」
医師は淡々と話す。
「え……?流、産……?」
流産と聞いても、よくわからない。
だって僕は……。
「僕は妊娠していないと思います」
サイモンに薬を盛って行為はしたけれど、次のヒートはきた。だから僕は妊娠していないし、次のヒートが来る前に、サイモンとは離縁した。
ルーカス様とは、そういった行為はおろか、キスだってしていない。
だから僕は妊娠なんてしていない。
「稀にですがヒートの時以外でも、妊娠する可能性があるのです。ですから今回の妊娠はヒート時以外かと思われます」
「……」
頭が真っ白になった。
妊娠していて、流産していた?
僕はサイモンとの赤ちゃんを妊娠していたの?
流産してしまったの?
「大丈夫。大丈夫だレオナルド。俺がついている」
ルーカス様の胸の中に引き寄せられる。
ふと見上げると、ルーカス様の苦しそうで悲しそうな瞳と、僕の視線がぶつかる。
今、何が起きているのかわからなかったけれど、ルーカス様の瞳に涙が浮かんでいて、僕が妊娠して流産したことが本当のことだったのかと、思い知らされた。
「僕、本当に、流産、してしまったんですね……」
妊娠していたなんて、今まで知らなかったことなのに、それを知らされたのが流産した時だなんて……。
もう赤ちゃんがいなくなってしまった腹部を触る。
ここで育っていた新しい命は、僕に気づかれることなく死んでしまった……。
「う“っ……、うぅぅぅ……」
体の奥底から込み上げる喪失感。
体の奥底から闇が生まれ、全て飲み込まれていく。
何も聞こえなくて、何も見えなくて、何も感じない。
ミカ、ここに帰ってきても何もいいことないじゃないか。
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なのに、どうしてミカはこんな残酷な世界に僕を押し戻したの?
「もう……死にたい……」
心からの願いだった。
もう死にたい。
もう生きていたくない。
多分、僕はルーカス様に抱きしめられて、何か言い続けられていると思う。
だけどルーカス様、ごめんなさい。
僕、何もわからなくて、何も感じないんです。
僕はそっと瞳を閉じた。
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