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19話 防犯カメラ1
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「お話し中にごめんなさいね」
香澄と連弾を成功させるぞと息込んでいると、女性が話しかけてきた。
先ほど会場で助けてくれた北条さんだ。
「足の具合はどうかしら?」
「お気遣いありがとうございます。あの……」
「自己紹介がまだだったわね。私は北条天音。四葉不動産の神崎拓真の婚約者であり、このパーティーの総責任者よ」
「え……」
あまりの大物に、香澄は息をつまらせた。
まあ、そうなるよね……。
私も会場で彼女のことを聞いていたけど……改めて声をかけられると、どんな顔をして良いかもわからないわ。
「そう固くならないで。トラブルを解決するのも責任者のつとめだから。ね」
会場では凛とした立ち姿だったが、今は人懐っこい感じで少し戸惑ってしまう。
「あの、水城香澄です。こちらは連弾パートナーの立花美咲です」
香澄の紹介を受け、頭を下げる。
「二人ともよろしくね」
穏やかに微笑まれた。
「それで……こんな状態で伺うのは気が引けるのだけど、このあとのピアノの連弾は演奏できそうかしら?無理なら出番を削って調整するわ」
北条さんは言葉を選ぶように告げた。
怪我をした人に、無理矢理演奏させようとは思っていないようだ。
「連弾はやりたいです。やらせてください」
香澄が真剣な声で答えた。
「わかったわ。だけど、その服ではステージに立てないわね。私の予備のドレスでよければ使ってくれないかしら」
「えっ!そんな申し訳ないです」
「いいのよ。さっきも言ったでしょ。トラブルを解決するのが私の仕事なのよ。ちょっと待っててちょうだい」
そういって北条さんは部屋を出ると、誰かに「私のドレスたちを持ってきて」と指示をしていた。
「はぁ~……」
香澄の重いため息が聞こえた。
「参ったな。今の私、ワインまみれだから、ドレスを借りたら汚しちゃうよ……」
香澄のドレスはスカートにワインのシミがついている。おそらく足にワインが染みているのだろう。
このまま着替えたら、北条さんのドレスを汚すのは目に見える。
「先生」
香澄が近くにいる医師に声をかける。
「あの、シャワーを使ってもいいですか?私、身体にワインがついてしまって」
年配の男性医師は少し考えてから、「それは止めた方がいいですね」と答えた。
「軽い捻挫で、安静にしていれば一週間程度で良くなるはずですが、怪我したばかりの今、血流を促進するシャワーを使用すると、さらに腫れてしまいますよ」
そうよね……。こういうときは冷やすのが普通なのよね。
「今は濡れタオルで拭く程度にしてください。」
「わかりました。先生、タオルを貸していただけますか?」香澄が自分でやろうとするので割って入る。
「私がやります。」
「はい。ではお願いします。」
医師は近くに置いてあったタオルを渡してくれた。
「香澄。トイレでタオルを濡らしてくるから、ちょっと待ってて」
「うん。ありがとう」
急いでトイレに行って帰る途中に、香澄にぶつかったウェイターとその上司っぽい人、神崎社長、そして北条さんが話しているのが見えた。
「防犯カメラの映像を確認したところ」
上司っぽい人の声が聞こえた。
「例のお客様が、彼の後ろにピッタリついて歩いているのが確認できました。ただ、押したのかどうか確認が取れておらず、他の防犯カメラ映像を確認しています」
防犯カメラ!
そりゃそうよね。こんな大きなパーティーなんだから、防犯カメラくらい設置されていてもおかしくなかったわ。
私も彼らの話に加わりたいけど、今は香澄のことが最優先なので、その場をあとにした。
あとで詳しく聞いてみよう。
香澄にあんな怪我を負わせたんだから、絶対に許さないわ!
男性医師に外に出てもらい、急いで香澄の足にかかったワインを拭き取る。幸いにも、足や腕にかかっただけなので拭き取るのは簡単だった。
ときどき「冷たっ!」と香澄が甲高い声を出していたのが可愛くて楽しかったな。
「よし、こんなものかな」
「ありがとう、美咲」
「どういたしまして。寒いよね。今毛布をかけるね」
医者に拭き終わったら使うように言われた毛布を香澄にかけると、ドアのノック音がした。
「水城さん」
北条さんだ。
「入っても大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
香澄が答えると、北条さんの他に、ウェイターとその上司が入ってきた。
ウェイターは顔を真っ青にしていて、見ているこちらが可哀想に思うほどだった。
「申し訳ありませんでした!」
ウェイターは深々と頭を下げた。
続いてその上司も「すみませんでした」と頭を下げた。
「頭を上げてください。あれは事故だったのですから、自分を責めないでください」
香澄は優しく答えた。
ウェイターは香澄の対応に、少し顔色が良くなったように思えた。
「事故ではないわ」
北条さんが言った。
「防犯カメラに、あの瞬間が映った映像が見つかったの。こんなときだけど……見ますか?」
香澄は少し驚いたが、真剣な顔をして「はい」と答えた。
香澄と連弾を成功させるぞと息込んでいると、女性が話しかけてきた。
先ほど会場で助けてくれた北条さんだ。
「足の具合はどうかしら?」
「お気遣いありがとうございます。あの……」
「自己紹介がまだだったわね。私は北条天音。四葉不動産の神崎拓真の婚約者であり、このパーティーの総責任者よ」
「え……」
あまりの大物に、香澄は息をつまらせた。
まあ、そうなるよね……。
私も会場で彼女のことを聞いていたけど……改めて声をかけられると、どんな顔をして良いかもわからないわ。
「そう固くならないで。トラブルを解決するのも責任者のつとめだから。ね」
会場では凛とした立ち姿だったが、今は人懐っこい感じで少し戸惑ってしまう。
「あの、水城香澄です。こちらは連弾パートナーの立花美咲です」
香澄の紹介を受け、頭を下げる。
「二人ともよろしくね」
穏やかに微笑まれた。
「それで……こんな状態で伺うのは気が引けるのだけど、このあとのピアノの連弾は演奏できそうかしら?無理なら出番を削って調整するわ」
北条さんは言葉を選ぶように告げた。
怪我をした人に、無理矢理演奏させようとは思っていないようだ。
「連弾はやりたいです。やらせてください」
香澄が真剣な声で答えた。
「わかったわ。だけど、その服ではステージに立てないわね。私の予備のドレスでよければ使ってくれないかしら」
「えっ!そんな申し訳ないです」
「いいのよ。さっきも言ったでしょ。トラブルを解決するのが私の仕事なのよ。ちょっと待っててちょうだい」
そういって北条さんは部屋を出ると、誰かに「私のドレスたちを持ってきて」と指示をしていた。
「はぁ~……」
香澄の重いため息が聞こえた。
「参ったな。今の私、ワインまみれだから、ドレスを借りたら汚しちゃうよ……」
香澄のドレスはスカートにワインのシミがついている。おそらく足にワインが染みているのだろう。
このまま着替えたら、北条さんのドレスを汚すのは目に見える。
「先生」
香澄が近くにいる医師に声をかける。
「あの、シャワーを使ってもいいですか?私、身体にワインがついてしまって」
年配の男性医師は少し考えてから、「それは止めた方がいいですね」と答えた。
「軽い捻挫で、安静にしていれば一週間程度で良くなるはずですが、怪我したばかりの今、血流を促進するシャワーを使用すると、さらに腫れてしまいますよ」
そうよね……。こういうときは冷やすのが普通なのよね。
「今は濡れタオルで拭く程度にしてください。」
「わかりました。先生、タオルを貸していただけますか?」香澄が自分でやろうとするので割って入る。
「私がやります。」
「はい。ではお願いします。」
医師は近くに置いてあったタオルを渡してくれた。
「香澄。トイレでタオルを濡らしてくるから、ちょっと待ってて」
「うん。ありがとう」
急いでトイレに行って帰る途中に、香澄にぶつかったウェイターとその上司っぽい人、神崎社長、そして北条さんが話しているのが見えた。
「防犯カメラの映像を確認したところ」
上司っぽい人の声が聞こえた。
「例のお客様が、彼の後ろにピッタリついて歩いているのが確認できました。ただ、押したのかどうか確認が取れておらず、他の防犯カメラ映像を確認しています」
防犯カメラ!
そりゃそうよね。こんな大きなパーティーなんだから、防犯カメラくらい設置されていてもおかしくなかったわ。
私も彼らの話に加わりたいけど、今は香澄のことが最優先なので、その場をあとにした。
あとで詳しく聞いてみよう。
香澄にあんな怪我を負わせたんだから、絶対に許さないわ!
男性医師に外に出てもらい、急いで香澄の足にかかったワインを拭き取る。幸いにも、足や腕にかかっただけなので拭き取るのは簡単だった。
ときどき「冷たっ!」と香澄が甲高い声を出していたのが可愛くて楽しかったな。
「よし、こんなものかな」
「ありがとう、美咲」
「どういたしまして。寒いよね。今毛布をかけるね」
医者に拭き終わったら使うように言われた毛布を香澄にかけると、ドアのノック音がした。
「水城さん」
北条さんだ。
「入っても大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
香澄が答えると、北条さんの他に、ウェイターとその上司が入ってきた。
ウェイターは顔を真っ青にしていて、見ているこちらが可哀想に思うほどだった。
「申し訳ありませんでした!」
ウェイターは深々と頭を下げた。
続いてその上司も「すみませんでした」と頭を下げた。
「頭を上げてください。あれは事故だったのですから、自分を責めないでください」
香澄は優しく答えた。
ウェイターは香澄の対応に、少し顔色が良くなったように思えた。
「事故ではないわ」
北条さんが言った。
「防犯カメラに、あの瞬間が映った映像が見つかったの。こんなときだけど……見ますか?」
香澄は少し驚いたが、真剣な顔をして「はい」と答えた。
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