35 / 50
34話 連絡がこない
しおりを挟む
「はぁ~……」
スマホを無造作にカウンターに置き、天井を見上げた。この3日間、同じ動作を何度行ったか……。
3日間の朝9時に蓮にラインを送った。
その日は日曜日だから、すぐに返信が来ると思ったのに、既読にすらならない。
『おはよう。聞きたいことがあるんだけど』
メッセージが虚しく表示されている。
何か気に障った?
いや、気に障るような文面じゃないよね。
「はぁ~……」
思考がぐるぐる回り、いろいろとおぼつかない……。
「また見てる」
香澄がカウンターの隣に座った。
Bar con suonoは本日も営業中だ。
いつもゲスト出演してくれていたピアニストたちに声をかけて、普段香澄が演奏していた時間をカバーするように営業を行っている。
私もその一人だ。
「既読スルーされて何日よ」
「……3日」
「追撃メッセージは?」
「……まだ」
「はぁ、もう。さっさと送んなよ」
「だって、前のメッセージも既読になってないのに、送ってもさ……」
「なら、もう連絡を待つのやめなよ」
「う~ん……」
「はぁ、そういうとこ、昔と変わらないわね」
香澄は手に持っているブルームーンを飲み始めた。
呆れられている。
「それ、ブロックされてるんじゃないかな?」
香澄とは反対側の椅子にこはるちゃんが座った。
「「え?」」
思わず香澄と一緒にこはるちゃん登場に驚いた。
「どうしてここに……」
「美咲お姉ちゃんが今日ピアノを弾くって聞いてたので、会いに来ちゃいました」
可愛くウインクされた……。
あの夜から妙に懐かれてしまったのよね。
「それより、まだ既読にすらならないなら、ブロックされた可能が高いですよ。スタンププレゼントはしました?」
「え?それでわかるの?」
「はい。ブロックされてるなら、スタンプは贈れないですよ」
そう言われて、蓮にスタンプをプレゼントしようとしたら『このユーザーには送れません』と表示が出た。
「やっぱり」
こはるちゃんは少し得意気な顔をした。
「昔、達也を狙ってた女に嫌がらせラインしたとき、まったく既読にならないことがあったんで、ピンって来ましたよ」
「うわ~……」
香澄が引いている。
達也とこはるちゃんは、婚約解消に向けて話し合っていると聞いた。私にはわからないが、家同士の話し合いが必要らしい。
それは今は置いといて。
何でブロック?
不可解なことに困惑する。
蓮とは7年ぶりに再会した。
突然の音信不通は事故で、お互いに悪いところがあったと和解した。
昔のように、蓮からサッカーの試合を見にきて欲しいと誘われて、観覧しに行って、婚約者の白石菜月に「もう蓮に関わるな」と釘を刺された。
仮に白石さんに「元カノに連絡しないで」と言われたとしても、普通「菜月が嫌がったからもう連絡できない」など、一言でもメッセージを送るべきじゃない?
突然の音信不通は、私にとってある意味トラウマで、蓮との間なら、なおさらだ。
私、何でこんなに振り回されなきゃいけないの?
7年前の、あの地獄のような絶望を、蓮はまた私に味わわせている。そう考えると、怒りがこみ上げてきた。
てかさ、社会人としてどうなのよ?
礼儀ってあるでしょ?
なんか……イライラしてきた。
「美咲?」
私の変化に気がついたのか、香澄が話しかけてきた。
「……ムカツク」
「「え?」」
香澄とこはるちゃんが驚いた顔をした。
「ブロックするにしてもさ、一言メッセージを送るのが礼儀じゃない?別に喧嘩別れした訳じゃないんだから。そう考えたら、なんかムカついてきた」
香澄とこはるちゃんが顔を見合わせた。
「確かに、礼儀がなってないわね」
と、香澄。
「これは無理矢理にでも、連絡をとってやるべきですよ!」
こはるちゃんが声を上げる。さらに
「ライン以外で連絡の手段はないんですか?電話とかSNSとか。あとは会社名とか住んでるところとかも。私のネットワークで見つけますよ!」と。
ネットワーク?お金持ちのこはるちゃんのネットワークはなんだか怖──
「そういえば……」
7年ぶりに蓮と連絡取ったときに使った、会社へのメールを思い出した。
普段から連絡はラインを使ってる。それに、スマホのメールは迷惑メールが多いから、通知も切っていたことを思い出した。
メールを開くと、相変わらず迷惑メールフォルダに99件以上の未読メッセージがあり、受信ボックスには広告メールが数件──あ……。
蓮からのメールが来ていた。
しかも約2ヶ月前。サッカーの試合を見に行ったあの日の日付だった。
「メッセージ、来てた」
ボソッと呟くと、横から香澄とこはるちゃんがスマホ画面を覗いてくる。
『試合に来てくれてありがとう。
実はスマホを失くして、ラインのデータが全部消えてしまった。
美咲と連絡が取れなくて困ってる。
具合が悪くなったって聞いたけど、大丈夫?』
「これって……」
ラインデータが失くなったってどういう意味?
「この人、機種変してラインのアカウントの再取得に失敗したのかな?新しいアカウントを作ったなら、ブロックした感じになるんだよね」
こはるちゃんが言った。
何でそんなこと知ってるのかと不思議に思い、彼女を見つめると「嫌がらせでラインのアカウントを何度も新規登録してたら、友だちに指摘されたの」と照れたように説明された。
本当、この子は……。
恐ろしい子!
とにかく、蓮は私をブロックしていた訳じゃないんだとわかり、さっきの怒りは消えた。その代わり、私……約2ヶ月、蓮のメッセージを無視していたってことになるよね。
うわっ。
私、最悪じゃん……。
このメッセージ……どう返信しよう。
スマホを無造作にカウンターに置き、天井を見上げた。この3日間、同じ動作を何度行ったか……。
3日間の朝9時に蓮にラインを送った。
その日は日曜日だから、すぐに返信が来ると思ったのに、既読にすらならない。
『おはよう。聞きたいことがあるんだけど』
メッセージが虚しく表示されている。
何か気に障った?
いや、気に障るような文面じゃないよね。
「はぁ~……」
思考がぐるぐる回り、いろいろとおぼつかない……。
「また見てる」
香澄がカウンターの隣に座った。
Bar con suonoは本日も営業中だ。
いつもゲスト出演してくれていたピアニストたちに声をかけて、普段香澄が演奏していた時間をカバーするように営業を行っている。
私もその一人だ。
「既読スルーされて何日よ」
「……3日」
「追撃メッセージは?」
「……まだ」
「はぁ、もう。さっさと送んなよ」
「だって、前のメッセージも既読になってないのに、送ってもさ……」
「なら、もう連絡を待つのやめなよ」
「う~ん……」
「はぁ、そういうとこ、昔と変わらないわね」
香澄は手に持っているブルームーンを飲み始めた。
呆れられている。
「それ、ブロックされてるんじゃないかな?」
香澄とは反対側の椅子にこはるちゃんが座った。
「「え?」」
思わず香澄と一緒にこはるちゃん登場に驚いた。
「どうしてここに……」
「美咲お姉ちゃんが今日ピアノを弾くって聞いてたので、会いに来ちゃいました」
可愛くウインクされた……。
あの夜から妙に懐かれてしまったのよね。
「それより、まだ既読にすらならないなら、ブロックされた可能が高いですよ。スタンププレゼントはしました?」
「え?それでわかるの?」
「はい。ブロックされてるなら、スタンプは贈れないですよ」
そう言われて、蓮にスタンプをプレゼントしようとしたら『このユーザーには送れません』と表示が出た。
「やっぱり」
こはるちゃんは少し得意気な顔をした。
「昔、達也を狙ってた女に嫌がらせラインしたとき、まったく既読にならないことがあったんで、ピンって来ましたよ」
「うわ~……」
香澄が引いている。
達也とこはるちゃんは、婚約解消に向けて話し合っていると聞いた。私にはわからないが、家同士の話し合いが必要らしい。
それは今は置いといて。
何でブロック?
不可解なことに困惑する。
蓮とは7年ぶりに再会した。
突然の音信不通は事故で、お互いに悪いところがあったと和解した。
昔のように、蓮からサッカーの試合を見にきて欲しいと誘われて、観覧しに行って、婚約者の白石菜月に「もう蓮に関わるな」と釘を刺された。
仮に白石さんに「元カノに連絡しないで」と言われたとしても、普通「菜月が嫌がったからもう連絡できない」など、一言でもメッセージを送るべきじゃない?
突然の音信不通は、私にとってある意味トラウマで、蓮との間なら、なおさらだ。
私、何でこんなに振り回されなきゃいけないの?
7年前の、あの地獄のような絶望を、蓮はまた私に味わわせている。そう考えると、怒りがこみ上げてきた。
てかさ、社会人としてどうなのよ?
礼儀ってあるでしょ?
なんか……イライラしてきた。
「美咲?」
私の変化に気がついたのか、香澄が話しかけてきた。
「……ムカツク」
「「え?」」
香澄とこはるちゃんが驚いた顔をした。
「ブロックするにしてもさ、一言メッセージを送るのが礼儀じゃない?別に喧嘩別れした訳じゃないんだから。そう考えたら、なんかムカついてきた」
香澄とこはるちゃんが顔を見合わせた。
「確かに、礼儀がなってないわね」
と、香澄。
「これは無理矢理にでも、連絡をとってやるべきですよ!」
こはるちゃんが声を上げる。さらに
「ライン以外で連絡の手段はないんですか?電話とかSNSとか。あとは会社名とか住んでるところとかも。私のネットワークで見つけますよ!」と。
ネットワーク?お金持ちのこはるちゃんのネットワークはなんだか怖──
「そういえば……」
7年ぶりに蓮と連絡取ったときに使った、会社へのメールを思い出した。
普段から連絡はラインを使ってる。それに、スマホのメールは迷惑メールが多いから、通知も切っていたことを思い出した。
メールを開くと、相変わらず迷惑メールフォルダに99件以上の未読メッセージがあり、受信ボックスには広告メールが数件──あ……。
蓮からのメールが来ていた。
しかも約2ヶ月前。サッカーの試合を見に行ったあの日の日付だった。
「メッセージ、来てた」
ボソッと呟くと、横から香澄とこはるちゃんがスマホ画面を覗いてくる。
『試合に来てくれてありがとう。
実はスマホを失くして、ラインのデータが全部消えてしまった。
美咲と連絡が取れなくて困ってる。
具合が悪くなったって聞いたけど、大丈夫?』
「これって……」
ラインデータが失くなったってどういう意味?
「この人、機種変してラインのアカウントの再取得に失敗したのかな?新しいアカウントを作ったなら、ブロックした感じになるんだよね」
こはるちゃんが言った。
何でそんなこと知ってるのかと不思議に思い、彼女を見つめると「嫌がらせでラインのアカウントを何度も新規登録してたら、友だちに指摘されたの」と照れたように説明された。
本当、この子は……。
恐ろしい子!
とにかく、蓮は私をブロックしていた訳じゃないんだとわかり、さっきの怒りは消えた。その代わり、私……約2ヶ月、蓮のメッセージを無視していたってことになるよね。
うわっ。
私、最悪じゃん……。
このメッセージ……どう返信しよう。
48
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」
千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。
だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。
それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。
しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。
怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。
戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。
天真爛漫な婚約者様は笑顔で私の顔に唾を吐く
りこりー
恋愛
天真爛漫で笑顔が似合う可愛らしい私の婚約者様。
私はすぐに夢中になり、容姿を蔑まれようが、罵倒されようが、金をむしり取られようが笑顔で対応した。
それなのに裏切りやがって絶対許さない!
「シェリーは容姿がアレだから」
は?よく見てごらん、令息達の視線の先を
「シェリーは鈍臭いんだから」
は?最年少騎士団員ですが?
「どうせ、僕なんて見下してたくせに」
ふざけないでよ…世界で一番愛してたわ…
思い込み、勘違いも、程々に。
棗
恋愛
※一部タイトルを変えました。
伯爵令嬢フィオーレは、自分がいつか異母妹を虐げた末に片想い相手の公爵令息や父と義母に断罪され、家を追い出される『予知夢』を視る。
現実にならないように、最後の学生生活は彼と異母妹がどれだけお似合いか、理想の恋人同士だと周囲に見られるように行動すると決意。
自身は卒業後、隣国の教会で神官になり、2度と母国に戻らない準備を進めていた。
――これで皆が幸福になると思い込み、良かれと思って計画し、行動した結果がまさかの事態を引き起こす……
【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
円満離婚に持ち込むはずが。~『冷酷皇帝の最愛妃』
みこと。
恋愛
「あなたと子を作るつもりはない」
皇帝シュテファンに嫁いだエリザは、初夜に夫から宣言されて首をかしげる。
(これは"愛することのない"の亜種?)
前世を思い出したばかりの彼女は、ここが小説『冷酷皇帝の最愛妃』の中だと気づき、冷静に状況を分析していた。
エリザの役どころは、公爵家が皇帝に押し付けた花嫁で、彼の恋路の邪魔をするモブ皇妃。小説のシュテファンは、最終的には運命の恋人アンネと結ばれる。
それは確かに、子どもが出来たら困るだろう。
速やかな"円満離婚"を前提にシュテファンと契約を結んだエリザだったが、とあるキッカケで彼の子を身ごもることになってしまい──?
シュテファンとの契約違反におののき、思わず逃走したエリザに「やっと見つけた」と追いすがる夫。
どうやら彼はエリザ一筋だったらしく。あれ? あなたの恋人アンネはどうしたの?
※小説家になろう様でも掲載しています
※表紙イラスト:あさぎかな先生にコラージュアートをいただきました
※毎朝7時に更新していく予定です
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる