【完結】フィクション

犀川稔

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63話 恋は盲点

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「八代くんってさ、もしかして...ただの友達じゃないんじゃない?」
お好み焼きを食べた後、二人で出かけると言った新山と千隼と別れて佐々木と佐々木の家に向かっている時に赤城に佐々木が聞いた。
「まぁ...そうね。向こうが言ってたように部活一緒だったけどその色々あったってやつ、俺が原因だからね。正直向こうは今でも俺のことあんまよく思ってない部分はあると思うよ。」
「え?あ、いや。そういうことじゃなくてさ......。」
赤城の話を聞いて戸惑う佐々木に赤城が理解できずに首を傾げると佐々木はぽかんと口を開けた後「無自覚モテ男かますなや。」と言って赤城の足を軽く蹴った。
「まぁ何はともあれ、仲直りもどきなのできて良かったかもだけどあんまあの子に踏み込みすぎないほうがいいと思うよ。俺からの助言なー?」
「は?どういうこと。」
全てを語らない佐々木のことを不服そうに赤城は見るとそんな赤城に佐々木は笑って家の近くのコンビニに寄りアイスを買った。

......とかなんとかこの前言ってたけど一体どういうわけなんだか。別に八代に深入りするとかしないとかそういうんじゃなくて俺はまた普通に仲良くなれればそれでいいんだけどな。絶対あいつ、なんか勘違いしてんな。
3日前、佐々木に言われた事を思い出して赤城はため息を吐いた。
「赤城!」
少し離れたところから声をかけられるとそちらに顔を向けた。赤城の姿を見つけて嬉しそうに走って近づいてくる八代を見ると、赤城は立ち上がって「うぃっす。」と声をかけた。
「待たせてごめん!赤城早いね。てっきり同じ電車かなって思って周り見たけどいなかったから俺の方が早いと思ってたよ。」
息を切らしながら話す八代に笑いかけながら赤城は口を開いた。
「ちょいさっきまで他の予定あったからそれから今日来たんだよね。んだから電車違かった。」
「そういうことか。てか今日すごい楽しみだった!早く行こう!」
そう言い八代は赤城の手を引っ張ると、強く赤城の手首を掴んだ。

「八代もうそろこの手離してもいいんじゃね?」
歩きながら話してる最中もずっと赤城の手を掴んでいた八代に赤城は薄く笑いながら言った。
「あ!ごめん!痛かった?強く握り過ぎてたわ。」
「いやそういうんじゃないけどいつまでこのままなんだろって思ってたわ。」
動揺してテンパる八代に対してサラッと答えた赤城は店に着くと先に入って行った。
恋と遊園地に行ったあの日恋を家に送った帰りの道中、俺は八代に電話を折り返した。そして話の流れで久々に身体を動かしに行こうと言う八代の誘いに乗り俺は今日、八代とスポッチャに来た。
運動はめんどくさいから嫌いと言う佐々木や新山。個人的に恋とはデートと言うデートな場所に行きたい俺の勝手な考えであまりこういったところには久しく来てなかったため新鮮で少しテンションが上がった。
元々幼い事はサッカーをしていたという八代はやはりシューティングゲームが上手くてきっとバスケもあのまま続けていれば開花したんだろうなと思い、勝手に気持ちが沈んだ。
しかし思った以上に楽しくて気がつくと俺たちは三時間フルで動き回っていた。
大量に汗をかいた俺らは八代の提案で、隣接していたショッピングモールで適当に替えの服と下着を買うと隣駅の温泉に向かった。

「久々に遊びに出かけたと思ったら一緒に銭湯来てる俺らおもろいね。」
湯に浸かりながらそう話しかける赤城に「本当だよね!」と八代は笑って答えた。そして少し間が開き、辺りにいた人たちが上がっていき二人きりになると八代は躊躇しながら話した。
「あのね...俺実はこの前店で赤城と会った時、本当はあの時より先に赤城のこと見つけてたんだ。」
「え、あ...まじ?そうだったんだ。」
全く顔色を変えない赤城を見て八代は苦笑いするとまた話を続けた。
「うん......。男四人で店入ってくるところから見てた。そんでいつ話しかけようかなって思ってたら楓くんと赤城の会話聞いちゃって、あのバカップルって...言ってるの。それで赤城や楓くんといた後の男の子たち二人付き合ってるんだぁって思ってさ...。」
「あー...ね。そう言うことね。」
八代の話を聞いて理解したように赤城は怠そうに答えると八代は慌てて赤城の手を掴んだ。
「あっ、違う!今の言い方だと誤解するよねごめん。全然悪い意味じゃないんだ。それにむしろ尊敬する...その......俺も、だから...。」
赤城は驚いた表情で八代を見ると八代は目があった瞬間顔を赤くして下を向いた。そんな八代を見て赤城は八代の頭を撫でた。
驚嘆してパッと顔をあげた八代に赤城は優しく笑みを浮かべた。
「そういうの口に出すに難しいからね。俺もさっき嫌な態度とってごめん。よく思わない人も少なからずいるから八代がそっちサイドかと思って態勢取っちゃったわ。」
「いやいや全然!むしろ俺がはっきり言わずに回りくどい言い方したからだし...!そんでさ、赤城は...好きな人とか、いるの?」
八代はドキドキしながら赤城に聞くと返事を待った。その質問に対して赤城は「いるよ。」と返した。
「え...あ、そー...なん、だ。その人と、もう付き合ってる...とか?」
頷く赤城を見て明らかに落ち込んだ表情を見せた八代に構わず赤城はもう一度口を開いた。
「自分でも引くくらい嫉妬も束縛もしちゃってるけど全然呆れずに一緒にいてくれるからその優しさに甘えてばっかだよ。ほんと...かわいい彼氏なんだよね。」
赤城の言葉を聞いて「え。」と目を丸くした八代は勢いよく赤城の顔を見上げた。赤城は幸せそうに笑っていた。その表情を見て酷く心を痛めると「相手、男の人なんだ...。」小さな声で言った。
「うん。八代も自分のこと言ってくれたから俺も言わないとフェアじゃないでしょ。今日も八代を会う前に用あったって言ったけど恋人のとこ行ってたんだ。ちょっとの間でも会いたくて俺が一方的にバ先行っただけなんだけどね。」
薄く笑いながら話す赤城に八代は歯を食いしばった後、赤城の肩にもたれかかった。
「その人のこと好き?」
「うん、めっちゃ好きだね。」
「......じゃあもし赤城がその人と別れたとして俺が赤城に告白したらどーする?」
暗い顔をしながら聞く八代に一瞬目を移すと赤城は少し考えたあと「わからないな。」と言った。
「え......なんで?」
「そもそも別れる想像ができないからね。多分俺が向こうにフラれたとしてもそれでも俺は必死で別れたくないって縋ると思うよ。」
「...へぇー。赤城がそんなのしてる全然想像できない。」
「んね、自分でも全く想像できないけど恋は盲点らしいからさ...そうなっちゃうかもねって話。」
そう話すと赤城は立ち上がり「先行く。」と言い脱衣所に向かった。残された八代は辛そうに上を見上げると目を瞑った。
「......でもまだ可能性ゼロじゃないんだし。」
小さな声で呟くと自分に喝を入れて立ち上がった。そして脱衣所で赤城と合流するとさっきの話には一切触れず、明るい話を持ちかけた。
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