そのモブは、私の愛しい唯一無二

11◆セス視点

寮には、自炊する人のためのキッチンがあります。

私はこのキッチンを使ったことがないのですけど、今日はアズエルの好物を作りました。

天使だった時は料理は無縁でしたが、日本の人間だった時は、アズエルのために頑張ったものです。

アズエルはふわとろオムライスが好物なんですよ。

私以上のふわとろは、お店とかじゃないと食べられないと思っています。

アズエルは私のふわとろオムライスを美味しそうに食べて、最高の笑みをみせてくれました。

「やっぱりセスのオムライスは絶品だね。今世もこうして、セスのふわとろが食べられるなんて………モブなのに幸せだよ」

アズエルの言う『モブ』という言葉が、私は嫌いです。

モブであることを気にするなら、ヒロインと攻略対象を皆殺ししたらいいでしょうか？

私が死んだら意味ないので、私以外の攻略対象ですけどね。

アズエルに提案すると………。

「もうモブって言わないから、その提案は忘れようか……」

そう言われました。

何故か困惑した表情でですよ。

解せぬ。