灰かぶり君

渡里あずま

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オンリーワン?2

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 まあ、アンチじゃなきゃ普通、友達悪く言われたら怒るよな。今更ながらに気づいたのか、生徒会の間に動揺が走る。

「真白、いいって」
「だって!」
「ここの飯、美味いだろ? これが、プロの料理。素人の俺が下手なのは当然。むしろ、比べるのは失礼」
「……でも、谷の飯も美味いのに」

 話をすり替えてるのは承知の上で、俺は真白を宥めようとした。
 だけど、真白はプクッと頬を膨らませて機嫌を直そうとしない。さて、どうするかと思ってるとウェイターさんが料理を運んできた。
 一瞬、モツ煮食わせて真白の機嫌取るかと思ったけど――駄目だ、今やったらそれはそれで生徒会を刺激する。
 内心、頭を抱えてたら思わぬところからフォローが来た。

「……申し訳ありません。少し、言い過ぎてしまいましたね」

 驚いた。まさかの変態改め副会長の口から、謝罪の言葉が出るなんて。たとえ真白を気遣ってだとしても、十分偉い。本当にちょっとだけど見直したぞ、副会長。

「俺の方こそ、申し訳ないです。会長の仰る通り、知り合ったばかりなのに真白を振り回してしまって。同級生の分を弁えて、これから気をつけます」

 ここぞとばかりに、俺は「もう皆さんには近づきません! 真白も任せた!」とアピールしてみた。そのおかげか、生徒会からのプレッシャーがちょっと弱まった気がする。

「……やだ! 谷はオレの親友っ、なんだぞ!」

 とは言え、当の真白はと言うと俺の同級生発言を受け入れなかった。ところで、二回目はちゃんと照れずに言えるようになったんだな。

「真白? 友達は、別に何人いてもいいだろ?」

 別に、俺だけにこだわらなくていい。そう思って、モツ煮の入った皿をさりげなく前に出して言ったら、何故だか真白だけじゃなく生徒会一同にも驚かれた――えっ? 俺、何か変なこと言った?

「真白を前に、よくそんなことが言えるな貴様」
「真白の代わりは、いませんよ」
「……ん」
「何、実は俺と同類?」
「「浮気者!」」

 えっ? 俺、友達って言ったよな? 何で恋バナになっちゃうんだ? こいつら頭と目だけじゃなく、耳もご都合主義なの?
 ……そこまで考えて、俺はあることに気づいた。
(これって、男同士だからか?)
 結果は違うけど、スタート地点は――一緒にいたいって言うのは、同じだし。だから、友達の俺でも敵視されるのか? そして、何人もって言うのが信じられないになるのか?
(理解は出来たかな。共感は全く出来ないけど……ただ、なぁ)

「モツ煮込みも、オムライスも美味いですよ」
「「「「「「は?」」」」」」
「オンリーワンは素敵ですけど、それぞれの良さもあるじゃないですか。どっちか一つに決めて、もう一つを食べないなんて、勿体無い」

 あと、言わないけどオンリーワンよりナンバーワンの方が上なんじゃないのかな? だって他もしっかり見て、その中で選んだってことだろ?
 また浮気って言われるか。それとも、勿体ないが庶民発言かって嫌味の一つも出るかと思ったけど――俺の予想に反して、誰も何も言わなかった。正直、真白はもう少し粘るかって思ったから意外だった。

「いただきます」

 昼休みの時間には限りがあるので、俺は両手を合わせた。そんな俺に促されるように、真白達も食事を始める。
 モツ煮込みはやっぱり辛かったみたいだけど、美味いとも言っていた。嘘はつけない奴なんで、本心なんだろう。うんうん、その調子で周りに視野を広げろよ?
(一人だけを想うって、怖いからな)
 主に、その相手と死に別れた時に――俺の親みたいに、人なんて本当あっさり死ぬんだから。



「さっきは、ありがとうございました」

 真白の言葉が効いてるのか、生徒会のメンバーはこの後も新歓準備に勤しむらしい。
 もう会うこともないだろうから、俺は食堂を出たところで副会長に礼を言った。と、何故か腕を引っ張られて真白達から離された。

「僕はただ、借りを返しただけです」
「えっ?」
「守衛さんから、転校生が保健室に運ぼうとしてくれたと聞きました。真白だと思ってましたが、違うと言われて……べ、別にあなたに気遣われなくても平気でしたけど!」

 おぉ、出たよツンデレ。ってか岡田さん、言わなくていいって言ったのにお喋りめ。

「ですね」

 まあ、年上(会長と副会長は三年)なりの精一杯の努力は認めよう。謎が解けてスッキリした俺は、それだけ言って教室へ戻ろうとした。
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