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選挙、始めました3
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食堂を出て、今度こそ寮へ戻ろうとしたんだけど――それは、果たせなかった。
(何だ今日は、星座占いランキング最下位か?)
思わず心の中でぼやいたのは下駄箱に到着する直前、選挙用ポスターが貼られた一階掲示板前で、今度は中夜と会ったからだ。ちなみに中夜の顔はポスター経由じゃなく、体育祭で一茶に(聞いてないのに)教えて貰って知っている。
「立候補したってことは、先輩は俺を引っ張り出すつもりはないんですよね?」
「…………」
少し長めの黒髪と切れ長の目。一年だから刃金さんとか紅河さんよりは細い感じだけど、流石のイケメンだ。『抱かれたいランキング』一年トップなだけある。
(こいつも、敬語か……って言うか、今の質問って)
まず年下からの敬語に引っかかる辺り、我ながらどうかしてると思うけど。「先輩は」って言うんなら、他からは立候補するように言われてるってことだよな?
「それ、今、ここで言わなくちゃ駄目ですか?」
「えっ?」
「ギャラリー増えてきましたし……寮に帰りがてら、話しませんか?」
周りの目が気になったのは事実だけど、話してみようと思ったのは赤嶺みたいに、中夜のキャラも解らないからだ。
(敬語とか内容からすると、俺を敵視はしてないみたいだけど)
ただし赤嶺とは違って、俺も立候補して貰いたがってるって知ったら掌(てのひら)返しそうだな――そう思った俺の前で、中夜は「解りました」と頷いた。
二人で校舎を出たところで、俺はふとあることに気がついた。
(何でこいつ、まだ校内にいたんだ?)
俺はチワワ達のところに顔を出し、赤嶺とお茶したからだけど。部活がある生徒以外は、寮に戻っている時間だ。
(こいつは家業の手伝いを理由に、部活にも入ってない筈だし)
ちなみに家業は貿易業で、仕事もいくつか任されてるらしい――以上、一茶情報。萌えの為とは言え、よく調べるよな。
まあ、それはともかく。
もしかして、さっき言ってた『引っ張り出そうとしてる』奴らに説得でもされてたのかな――俺がそう思ったところで、中夜が口を開いた。
「先輩が白月に来たのは、パトロンを見つける為だって聞きました」
「……えっ?」
「だから、生徒会に取り入ったんだって言う連中がいますけど。無能なら、そもそも学年首席は取れないでしょうし。俺はむしろ、良い目のつけどころだと思います」
……これって、誉められてんのか? まあ、きっかけ(巻き込まれ)はともかく、結果的には当たらずしも遠からず(少なくとも、神丘ブラザーズからはアピールされてる)だし、否定するのも面倒だから黙ってるけど。
(そんな『細腕繁盛記』みたいな奴を誉めるって言うか、認めるのか)
仕事して、社会を知ってるからかな。そこで俺が立候補もしたから、更に好感度が上がったってところか――まあ、確かに無理矢理『引っ張り出す』つもりはないけど。
「強要する気はないですけど、中夜様に立候補して欲しいとは思ってます」
「……へぇ。生徒会の皆さんに媚びるので、忙しいからですか?」
俺に裏切られたと思ったのか、中夜の問いかけには刺があった。うん、まあ、そもそもそっちが勝手に思い込んだだけなんだが。
(勘違いして八つ当たりとか、可愛いとこあるじゃん)
俺としては別に痛くも痒くもないし、むしろイケメンの年下らしい一面が見られて良かったとさえ思う。
だから、身長差のある相手を見上げて俺は言った。
「生徒会って、学生ならではですからね」
「……学生なんて、侮られるだけで良いことなんてありません」
「まあ、それは否定しませんけど。学生ってだけじゃなく、この年ってことでも同じ扱いですし……大人にはいつでもなれますけど、学生にはなかなか戻れませんよ?」
そりゃあ、勉強するだけなら夜学とかで幾つになっても始められるけどな。
「同じ年頃の相手と一緒に、色んなことが出来るのは今だけですよ」
「説教ですか? おせっかいな人ですね」
「単なる体験談です。俺、白月に来るまで高校行ってなかったんで」
俺がそう言うと、中夜は何故だか困ったような表情になった。それからふ、と目を伏せて呟いた。
「……苦労、されてるんですね」
「えっと、多分誤解があると思います」
多分って言うか絶対、誤解してる。きっと、こいつの頭の中で俺、すごい貧乏人に(それこそドラマの奉公人みたいに)なってる。
チラッと「同情させて立候補させようか」って思ったけど、素直に気づかってくれてるみたいなんで、ちゃんと行けなかったじゃなく行かなかったって訂正しておいた。
……結果として、中夜は無事に立候補してくれたんでうん、めでたしめでたしってことで。
(何だ今日は、星座占いランキング最下位か?)
思わず心の中でぼやいたのは下駄箱に到着する直前、選挙用ポスターが貼られた一階掲示板前で、今度は中夜と会ったからだ。ちなみに中夜の顔はポスター経由じゃなく、体育祭で一茶に(聞いてないのに)教えて貰って知っている。
「立候補したってことは、先輩は俺を引っ張り出すつもりはないんですよね?」
「…………」
少し長めの黒髪と切れ長の目。一年だから刃金さんとか紅河さんよりは細い感じだけど、流石のイケメンだ。『抱かれたいランキング』一年トップなだけある。
(こいつも、敬語か……って言うか、今の質問って)
まず年下からの敬語に引っかかる辺り、我ながらどうかしてると思うけど。「先輩は」って言うんなら、他からは立候補するように言われてるってことだよな?
「それ、今、ここで言わなくちゃ駄目ですか?」
「えっ?」
「ギャラリー増えてきましたし……寮に帰りがてら、話しませんか?」
周りの目が気になったのは事実だけど、話してみようと思ったのは赤嶺みたいに、中夜のキャラも解らないからだ。
(敬語とか内容からすると、俺を敵視はしてないみたいだけど)
ただし赤嶺とは違って、俺も立候補して貰いたがってるって知ったら掌(てのひら)返しそうだな――そう思った俺の前で、中夜は「解りました」と頷いた。
二人で校舎を出たところで、俺はふとあることに気がついた。
(何でこいつ、まだ校内にいたんだ?)
俺はチワワ達のところに顔を出し、赤嶺とお茶したからだけど。部活がある生徒以外は、寮に戻っている時間だ。
(こいつは家業の手伝いを理由に、部活にも入ってない筈だし)
ちなみに家業は貿易業で、仕事もいくつか任されてるらしい――以上、一茶情報。萌えの為とは言え、よく調べるよな。
まあ、それはともかく。
もしかして、さっき言ってた『引っ張り出そうとしてる』奴らに説得でもされてたのかな――俺がそう思ったところで、中夜が口を開いた。
「先輩が白月に来たのは、パトロンを見つける為だって聞きました」
「……えっ?」
「だから、生徒会に取り入ったんだって言う連中がいますけど。無能なら、そもそも学年首席は取れないでしょうし。俺はむしろ、良い目のつけどころだと思います」
……これって、誉められてんのか? まあ、きっかけ(巻き込まれ)はともかく、結果的には当たらずしも遠からず(少なくとも、神丘ブラザーズからはアピールされてる)だし、否定するのも面倒だから黙ってるけど。
(そんな『細腕繁盛記』みたいな奴を誉めるって言うか、認めるのか)
仕事して、社会を知ってるからかな。そこで俺が立候補もしたから、更に好感度が上がったってところか――まあ、確かに無理矢理『引っ張り出す』つもりはないけど。
「強要する気はないですけど、中夜様に立候補して欲しいとは思ってます」
「……へぇ。生徒会の皆さんに媚びるので、忙しいからですか?」
俺に裏切られたと思ったのか、中夜の問いかけには刺があった。うん、まあ、そもそもそっちが勝手に思い込んだだけなんだが。
(勘違いして八つ当たりとか、可愛いとこあるじゃん)
俺としては別に痛くも痒くもないし、むしろイケメンの年下らしい一面が見られて良かったとさえ思う。
だから、身長差のある相手を見上げて俺は言った。
「生徒会って、学生ならではですからね」
「……学生なんて、侮られるだけで良いことなんてありません」
「まあ、それは否定しませんけど。学生ってだけじゃなく、この年ってことでも同じ扱いですし……大人にはいつでもなれますけど、学生にはなかなか戻れませんよ?」
そりゃあ、勉強するだけなら夜学とかで幾つになっても始められるけどな。
「同じ年頃の相手と一緒に、色んなことが出来るのは今だけですよ」
「説教ですか? おせっかいな人ですね」
「単なる体験談です。俺、白月に来るまで高校行ってなかったんで」
俺がそう言うと、中夜は何故だか困ったような表情になった。それからふ、と目を伏せて呟いた。
「……苦労、されてるんですね」
「えっと、多分誤解があると思います」
多分って言うか絶対、誤解してる。きっと、こいつの頭の中で俺、すごい貧乏人に(それこそドラマの奉公人みたいに)なってる。
チラッと「同情させて立候補させようか」って思ったけど、素直に気づかってくれてるみたいなんで、ちゃんと行けなかったじゃなく行かなかったって訂正しておいた。
……結果として、中夜は無事に立候補してくれたんでうん、めでたしめでたしってことで。
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