主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま

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先立つものを手に入れる

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 座っていた切り株から立ち上がり、舞は城下町らしき建物と人の中に向かっていった。
 黒髪は他にもいるが、舞のような格好(ロングTシャツにスキニー)をしている女性はいない。こんな言い方になるのは、男性だと似たような格好をしている者がいるからだ。

(黒髪は他にもいるみたいだけど、女性のズボン姿は皆無か……早く着替えた方が良いけど、その前にまずお金ね)

 通行人の言葉は解るし、看板などの文字は読める。
 とりあえず、悪目立ちしないように少し早足で目的地を目指して歩き出し――舞が辿り着いたのは、教会だった。そして黒い神父服っぽい格好の男性に、声をかけた。

「あの、すみません。外国から仕事を探しに来たのですが、財布を盗まれてしまって……質屋を探しているんですが」

 昔、舞の祖父母が質屋をしていた。亡くなると同時に店を閉じたが年に一度、会いに行った時に「外国では昔、教会が庶民救済の為に利益目的ではない質屋をやっていた」と聞いたことがある。
 異世界事情は解らないが、あればラッキー。駄目でも、仮にも聖職者なら質屋の場所くらいは教えて貰えるだろう。
 そう思い、恐縮した風を装って目を伏せると痩せた体を黒の長衣に包んだ男は慌てて言った。

「それは大変でしたね。幸い、教会ここで質屋をやっているのでよろしければ……」
「よっし!」
「え?」
「いえ、ありがとうございます」

 狙い通りの言葉を引き出せたことに、舞は思わず拳を握って声を上げた。
 そして誤魔化すようににっこり笑って見せると、舞は男に促されて礼拝堂の、質屋をやっている一角へとついていった。

(おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう)

 舞が売ろうとしているのは、ピアスとネックレスだ。どちらも純金製で、OL時代に給料を貯めて買ったものである。デザインが気に入っていて、工が赤ん坊の時以外はつけていたが――純金にしたのは、祖父母から「金なら値引きはされても確実に売れる」と言われていたからだ。異世界は想定していなかったが万が一、旅行先などで盗難被害にあった時、少しでも足しになればと思っていたので手放すことに躊躇はない。

「あまり大変なら、国に帰ることも視野に入れるので……ご迷惑でなければ、買い取って頂けませんか? あと、図々しいんですがこの格好だと目立つので、安く服を手に入れられる場所も教えて貰えれば……」
「よろしいですよ。あと服は、質草でしたが引き取りに来られなかった古着がありますので、それで良ければ」
「ありがとうございます!」

 神様仏様神父様ありがとう。
 舞が心の中で拝み倒していると、ここに来てあまり聞き慣れない単語が出てきた。

「仕事を探しているのなら、冒険者ギルドに行くと良いですよ」
「……ぼうけんしゃ、ぎるど?」
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