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第45話 移住者たち
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第2陣も揃ったところで、この島のルールを説明する。食事は基本食堂で取る。
食事は無料、夜お酒を飲むのは可。しかし自己負担。
共同生活なので、部屋の鍵は掛けることなどを説明した後、各部屋に案内した。
2時間後ラクトゥーワからの移住者は、食堂に集合して、明日からの作業や今後の方向性を決める会議をする。
個人面談は少し慣れてからすることにした。
小川がある方向の土地で、ここから歩いて10分くらいの場所を、畑用に木を伐採しメルに頼んで木の切り株を取り除いた状態にしている。
缶詰工場ができるまでは、畑をしてほしいと説明する。
缶詰工場はサディのオイル漬けを検討中。
缶詰工場については、何を作るのがいいかという相談をアグネスにしたところ、島の特性を生かしてサディという小魚を香辛料などのオイルに漬けたものの缶詰工場はどうかとアドバイスを受けた。
なんでもパスタやお酒のつまみ、ペースト状にしてパンにのせたりと、色々な料理に使えるらしい。
ただサディが島周辺に大量にいるのかと、オーブオイルがここで作れるのが条件になるとのことだった。
調べた結果、サディが島周辺に大量にいること、サディのオイル漬けは需要が高いこと、オーブの栽培にも適しているようだからと話す。
そして開拓が進めば仕事も増えるが、しばらくは農作業か缶詰工場で働くことになること、もしこの島で出来そうなものがあれば、提案してほしいことを伝えた。
するとオーブ栽培をしていた男性が1人いた。
ハワードにオーブ栽培で必要な物や、適した場所などのヒアリングを指示する。
また海に近い土地に住んでいた人から、場所によっては塩害で野菜が育ちにくいのではないか、塩害に強い野菜から育てた方がよいとの意見もあった。
色々意見が出るようなので、ハワードにまとめるようにこちらも指示する。
みんなが前向きでよかった。
しばらく会議をお願いして私は食堂を出た。
「ハワード、代表者が未成年って大丈夫なのか?」
ダニエル様が出て行った後で、アレクが不安になったのか聞いてきた。
「大丈夫だ。我々が助けられたきっかけは、ダニエル様が海賊に襲われていたラクトゥーワの王族が乗った船を見つけて、海賊船を沈めて助けたことだそうだ」
「なんだって!!」
他のメンバーも驚きを隠せないでいる者が多い。知らなかったのか?
ダニエル様のスキルで船を沈めることができること。
それからこの島へ移住する際、桟橋に停泊していた船はすべて今回海賊討伐で手に入れた海賊船らしく、ダニエル様が子爵領まで一人で輸送したらしいと話した。
他の者は私とアレクとの会話を黙って聞いている。
「よく情報を集めたな?」
「まあな。しかもダニエル様が、成人後は伯爵位を賜るらしく、ここは伯爵領になるそうだ。しかもあの海賊船にあった物は、すべてダニエル様が引き継ぎ、この島の開発資金に充てるぐらい力を入れているそうだ」
「だから、ハワードはこの島に移住しようと言ったのか?」
私はうなずいた。
そしてここなら祖国で海に近いところに住んでいた者も多いから、開発で意見を言っても重宝される可能性が高いこと。
また次期当主と仲良くなれれば、我々を雑に扱うこともないだろうとも話す。
「なんで、そんな大事なことを子爵領にいたときに教えてくれなかったんだ」
「誰が聞いているかわからないからな。だから私たちが知っていることは話した方がいい。そして採用されることが増えれば増えるほど、ダニエル様からの信頼は高まる」
そこからはさらに活発な意見がでた。
ある程度話が終わったところで、ミリアが私に話しかけてくる。
ミリアはこの移住組の中では最年少の少女で12歳だ。
「ハワードさん、建築の手伝いをしていた熊、誰かテイムしている人がいるの?」
「ここに来る前に話があったが、聞いていなかったのか?」
「本当だとは思わなくて……」
「ミリアと同年代くらいの少年がいただろう。彼のスキルが獣語で会話ができるらしい」
「獣語?」
「私も詳しいことはわからないんだ。ただ熊とリスっぽい2匹は我々の言葉を理解しているらしく、知能が高いそうだ」
「熊がメルで、リスっぽいのがナナよ」
調理場から女性が「良かったら食べて」とパウンドケーキを差し入れしてくれた。
「私は食堂を任されている、アグネスよ。よろしくね。落ち着いたらラクトゥーワの料理を教えて欲しいわ」
「我々だけいただくのは……」
「ハワードさんだったかしら、大丈夫よ。外にいる人たちにも、差し入れを持って行っているから安心してね」
それからアグネスさんから、スキル:獣語について教えてくれた。
「獣というか動物全般と話せるわけではない……」
ミリアが呟いていた。
「ここは、はずれスキルと言われた人たちが活躍しているわ。その筆頭がダニエル様よ」
ダニエル様のスキルが貴族としては馬鹿にされる部類だったこと。
でもクラーケンを一人で倒し、海賊討伐が短期で解決したのも、ダニエル様のスキルのお陰だと教えてくれた。
「アグネスさん、私・・・スキルがテイムなのに動物を全然テイムできなかったの。メルとナナならテイムできる?」
ミリアが真剣な顔で聞いていた。
「それはわからないわ。ただメルもナナもリアムと仲が良いから。もしかしたらここでテイムできる動物が見つかるかもしれないし、見つからないかもしれない。でも前向きでいれば、スキルの使い方が見つかると思うわよ」
食事は無料、夜お酒を飲むのは可。しかし自己負担。
共同生活なので、部屋の鍵は掛けることなどを説明した後、各部屋に案内した。
2時間後ラクトゥーワからの移住者は、食堂に集合して、明日からの作業や今後の方向性を決める会議をする。
個人面談は少し慣れてからすることにした。
小川がある方向の土地で、ここから歩いて10分くらいの場所を、畑用に木を伐採しメルに頼んで木の切り株を取り除いた状態にしている。
缶詰工場ができるまでは、畑をしてほしいと説明する。
缶詰工場はサディのオイル漬けを検討中。
缶詰工場については、何を作るのがいいかという相談をアグネスにしたところ、島の特性を生かしてサディという小魚を香辛料などのオイルに漬けたものの缶詰工場はどうかとアドバイスを受けた。
なんでもパスタやお酒のつまみ、ペースト状にしてパンにのせたりと、色々な料理に使えるらしい。
ただサディが島周辺に大量にいるのかと、オーブオイルがここで作れるのが条件になるとのことだった。
調べた結果、サディが島周辺に大量にいること、サディのオイル漬けは需要が高いこと、オーブの栽培にも適しているようだからと話す。
そして開拓が進めば仕事も増えるが、しばらくは農作業か缶詰工場で働くことになること、もしこの島で出来そうなものがあれば、提案してほしいことを伝えた。
するとオーブ栽培をしていた男性が1人いた。
ハワードにオーブ栽培で必要な物や、適した場所などのヒアリングを指示する。
また海に近い土地に住んでいた人から、場所によっては塩害で野菜が育ちにくいのではないか、塩害に強い野菜から育てた方がよいとの意見もあった。
色々意見が出るようなので、ハワードにまとめるようにこちらも指示する。
みんなが前向きでよかった。
しばらく会議をお願いして私は食堂を出た。
「ハワード、代表者が未成年って大丈夫なのか?」
ダニエル様が出て行った後で、アレクが不安になったのか聞いてきた。
「大丈夫だ。我々が助けられたきっかけは、ダニエル様が海賊に襲われていたラクトゥーワの王族が乗った船を見つけて、海賊船を沈めて助けたことだそうだ」
「なんだって!!」
他のメンバーも驚きを隠せないでいる者が多い。知らなかったのか?
ダニエル様のスキルで船を沈めることができること。
それからこの島へ移住する際、桟橋に停泊していた船はすべて今回海賊討伐で手に入れた海賊船らしく、ダニエル様が子爵領まで一人で輸送したらしいと話した。
他の者は私とアレクとの会話を黙って聞いている。
「よく情報を集めたな?」
「まあな。しかもダニエル様が、成人後は伯爵位を賜るらしく、ここは伯爵領になるそうだ。しかもあの海賊船にあった物は、すべてダニエル様が引き継ぎ、この島の開発資金に充てるぐらい力を入れているそうだ」
「だから、ハワードはこの島に移住しようと言ったのか?」
私はうなずいた。
そしてここなら祖国で海に近いところに住んでいた者も多いから、開発で意見を言っても重宝される可能性が高いこと。
また次期当主と仲良くなれれば、我々を雑に扱うこともないだろうとも話す。
「なんで、そんな大事なことを子爵領にいたときに教えてくれなかったんだ」
「誰が聞いているかわからないからな。だから私たちが知っていることは話した方がいい。そして採用されることが増えれば増えるほど、ダニエル様からの信頼は高まる」
そこからはさらに活発な意見がでた。
ある程度話が終わったところで、ミリアが私に話しかけてくる。
ミリアはこの移住組の中では最年少の少女で12歳だ。
「ハワードさん、建築の手伝いをしていた熊、誰かテイムしている人がいるの?」
「ここに来る前に話があったが、聞いていなかったのか?」
「本当だとは思わなくて……」
「ミリアと同年代くらいの少年がいただろう。彼のスキルが獣語で会話ができるらしい」
「獣語?」
「私も詳しいことはわからないんだ。ただ熊とリスっぽい2匹は我々の言葉を理解しているらしく、知能が高いそうだ」
「熊がメルで、リスっぽいのがナナよ」
調理場から女性が「良かったら食べて」とパウンドケーキを差し入れしてくれた。
「私は食堂を任されている、アグネスよ。よろしくね。落ち着いたらラクトゥーワの料理を教えて欲しいわ」
「我々だけいただくのは……」
「ハワードさんだったかしら、大丈夫よ。外にいる人たちにも、差し入れを持って行っているから安心してね」
それからアグネスさんから、スキル:獣語について教えてくれた。
「獣というか動物全般と話せるわけではない……」
ミリアが呟いていた。
「ここは、はずれスキルと言われた人たちが活躍しているわ。その筆頭がダニエル様よ」
ダニエル様のスキルが貴族としては馬鹿にされる部類だったこと。
でもクラーケンを一人で倒し、海賊討伐が短期で解決したのも、ダニエル様のスキルのお陰だと教えてくれた。
「アグネスさん、私・・・スキルがテイムなのに動物を全然テイムできなかったの。メルとナナならテイムできる?」
ミリアが真剣な顔で聞いていた。
「それはわからないわ。ただメルもナナもリアムと仲が良いから。もしかしたらここでテイムできる動物が見つかるかもしれないし、見つからないかもしれない。でも前向きでいれば、スキルの使い方が見つかると思うわよ」
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