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キャンピングカーで始める異世界スローライフ
第11話「月が綺麗ですね」
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「ハンゾーさんはこのエルグランデでなにを成し遂げるおつもりなんですか?」
「成し遂げる」
思わず復唱してしまった。
俺とルミは、車内で他愛のない会話をしている。
地球がどんなところか話す代わりに、この世界がどんなものか教えて貰った。
といっても短時間で伝えきれるもんでもないから、本当にちょっとした話だ。
言葉が通じるのは不思議ですねと聞かれた際には、確かにそうだなと思ったりもした。
試しに日本語を書いてみせたが、読むことはできないそうだ。
逆に、この世界の文字を書いて貰うと、初めてみた言語なのにスラスラ読めた。
「おそらく転生者には、読み書きの力が最初から与えられてるんじゃないかな」
と、俺が言ったら、ルミは「便利ですね」と笑っていた。
便利というか都合がいいなとも思った。だが、転生してコミュニケーションに苦労してたんじゃストーリーが進まないから仕方がないよな。
そんなことを口にしたら、彼女はますます笑っていた。
話を続けていくうちに、先ほどの質問を受けたわけだ。
なにをしに来たのか、という質問でも答えにくい。なぜなら自主的に望んで来たわけではないから。
成し遂げるといったニュアンスなら尚更だ。意識高い系の社員じゃないし、答えを用意していない。
「うーん……成し遂げるっていうほど大層な話じゃないが、この世界を見て回りたいかな」
ルミは拍子抜けしたような顔を見せた。
「期待した答えじゃなかったかな」
「いいえ。そんなことはありません!」
じゃあ、さっきの表情はなんだったんだとは思ったが、他意はなさそうだ。
変に気取ったことを答える意味もない。査定面談じゃないんだからさ。
「どうしてそう思ったんですか?」
「どうして……とは?」
「なぜエルグランデを見て回りたいと……」
「ああ、そのことか……」
俺はフッと窓の向こうの空へ、三つの月を探すように目を向けた。
「……月が綺麗だね」
「えっ⁉」
妙なリアクションだった。
「ん? あれは……月だよな?」
「は、はい……アレは間違いなく……月……です」
あれ? 俺なんかやっちゃった?
「綺麗だと思ったんだ。だから、この世界を見て回りたいなって思った……それだけだよ」
「そ、そうなんですね」
ぎこちない愛想笑いだった。
この娘は顔に出ちゃうタイプなんだろう。表情も豊かで見ていて飽きない。
なぜか妙に頬が赤い気がするが、暑いのだろうか……。
といっても、いま暖房を付けてはいないのだが。
「この世界って月が三つもあるんだな。俺の居た世界ではひとつしか……」
「もう大丈夫です! わかりました!」
顔を俯け、両腕を前に出して、俺の言葉を遮るようにルミは言った。
なんなんだろう……この世界で月って卑猥な隠語だったりなんかするのか?
「ああ、そういえばっ!」
少しの沈黙のあと、ルミはなにかを思い出したように立ち上がった。
「この場を早く離れましょうっ!」
「急にどうしたんだい?」
表情に焦りの色が濃い。
「車内にいれば安全だろう? 下手に動くほうが危なくないかい? もう少し様子を……」
「いいえ! ダメです! 急ぎましょう! 本来この場所は……」
先ほどまでとはまるっきり反対のことを言っている。
俺はのんびり構えて、ルミは焦っている。
とにかく落ち着いてくれと、事情を聞き出そうとしたその瞬間だった。
「ルミレーザさまぁーーーーー‼」
車外から声が聞こえてきた。
視線を向けるとそこには血相を変えたメイドが立っていた。
「そろそろ異世界要素出尽くした感あるな」
勇者に魔王に、シスターにメイド……全部じゃないけど、主要な要素は大体揃ったろ。
「リーシャー!」
ルミも立ち上がり、声を張り上げた。
「あ、知り合いなんだ」
「成し遂げる」
思わず復唱してしまった。
俺とルミは、車内で他愛のない会話をしている。
地球がどんなところか話す代わりに、この世界がどんなものか教えて貰った。
といっても短時間で伝えきれるもんでもないから、本当にちょっとした話だ。
言葉が通じるのは不思議ですねと聞かれた際には、確かにそうだなと思ったりもした。
試しに日本語を書いてみせたが、読むことはできないそうだ。
逆に、この世界の文字を書いて貰うと、初めてみた言語なのにスラスラ読めた。
「おそらく転生者には、読み書きの力が最初から与えられてるんじゃないかな」
と、俺が言ったら、ルミは「便利ですね」と笑っていた。
便利というか都合がいいなとも思った。だが、転生してコミュニケーションに苦労してたんじゃストーリーが進まないから仕方がないよな。
そんなことを口にしたら、彼女はますます笑っていた。
話を続けていくうちに、先ほどの質問を受けたわけだ。
なにをしに来たのか、という質問でも答えにくい。なぜなら自主的に望んで来たわけではないから。
成し遂げるといったニュアンスなら尚更だ。意識高い系の社員じゃないし、答えを用意していない。
「うーん……成し遂げるっていうほど大層な話じゃないが、この世界を見て回りたいかな」
ルミは拍子抜けしたような顔を見せた。
「期待した答えじゃなかったかな」
「いいえ。そんなことはありません!」
じゃあ、さっきの表情はなんだったんだとは思ったが、他意はなさそうだ。
変に気取ったことを答える意味もない。査定面談じゃないんだからさ。
「どうしてそう思ったんですか?」
「どうして……とは?」
「なぜエルグランデを見て回りたいと……」
「ああ、そのことか……」
俺はフッと窓の向こうの空へ、三つの月を探すように目を向けた。
「……月が綺麗だね」
「えっ⁉」
妙なリアクションだった。
「ん? あれは……月だよな?」
「は、はい……アレは間違いなく……月……です」
あれ? 俺なんかやっちゃった?
「綺麗だと思ったんだ。だから、この世界を見て回りたいなって思った……それだけだよ」
「そ、そうなんですね」
ぎこちない愛想笑いだった。
この娘は顔に出ちゃうタイプなんだろう。表情も豊かで見ていて飽きない。
なぜか妙に頬が赤い気がするが、暑いのだろうか……。
といっても、いま暖房を付けてはいないのだが。
「この世界って月が三つもあるんだな。俺の居た世界ではひとつしか……」
「もう大丈夫です! わかりました!」
顔を俯け、両腕を前に出して、俺の言葉を遮るようにルミは言った。
なんなんだろう……この世界で月って卑猥な隠語だったりなんかするのか?
「ああ、そういえばっ!」
少しの沈黙のあと、ルミはなにかを思い出したように立ち上がった。
「この場を早く離れましょうっ!」
「急にどうしたんだい?」
表情に焦りの色が濃い。
「車内にいれば安全だろう? 下手に動くほうが危なくないかい? もう少し様子を……」
「いいえ! ダメです! 急ぎましょう! 本来この場所は……」
先ほどまでとはまるっきり反対のことを言っている。
俺はのんびり構えて、ルミは焦っている。
とにかく落ち着いてくれと、事情を聞き出そうとしたその瞬間だった。
「ルミレーザさまぁーーーーー‼」
車外から声が聞こえてきた。
視線を向けるとそこには血相を変えたメイドが立っていた。
「そろそろ異世界要素出尽くした感あるな」
勇者に魔王に、シスターにメイド……全部じゃないけど、主要な要素は大体揃ったろ。
「リーシャー!」
ルミも立ち上がり、声を張り上げた。
「あ、知り合いなんだ」
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