誰でもイイけど、お前は無いわw

猫枕

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8 火に油を注ぐ

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 ラウラがバーpanic近くのカリス所有のアパートに移り住んでから1ヶ月たった。

 カリスは家賃を格安にしてくれたので、ラウラは週末など忙しい日は店を手伝っている。





 港湾事務所でランディーがデイビスにぼやく。

「最近ちっともラウラを見かけないんだ。 
 避けられてんのかな?」

 あれだけのことをしておいて避けられてないと思える頭の中身を見てみたいものだとデイビスは思ったが、親友の為に情報を開示してやる。


「ラウラは家を出て一人暮らししてるってケイトが言ってた」


「え?どこで?」


「絶対教えない。・・・ってケイトに言われた」

 
「なんでだよ」

 『おそらくオマエの母親も知ってるけど教えてくれなかったってことに気づけよ。そしてその理由を考えて反省しろよバカ』、とデイビスは思ったが、更なる情報を与えてやる。

 
「そんなことより、ウチのホームパーティーにラウラが連れて来た侯爵の坊っちゃんいただろ?結婚するらしいぜ」


「え?ウソだろ・・・」

 ランディーの顔が青ざめる。

 
「落ち着け。相手はラウラじゃない」

 魂が抜けたようなランディーの顔に血の気が戻る。

「親父が商工会の会合でカールトン侯爵に会ったんだって。
 その時に、やっと三男が結婚するって言ってたらしいよ。

 相手は図書館に就職したばかりの18才の子だっていってたから、ラウラじゃないだろう?」


「はあ?どういうことだよ。

 じゃあラウラはあのタコ野郎にもてあそばれてたのか?
 チキショー!あの野郎殴ってやる!」

 ランディーは拳を握りしめて顔を赤くしている。


「いやいや。オマエにとっては朗報だろうが。
 むしろ感謝しろ」


「あ、そうか。

 ・・・それでラウラは同僚の若い女に思い人を奪われて傷心で図書館を辞めて、ひっそり寂しく一人暮らししてるってわけだな」

「いや、図書館辞めてないし。ケイトの話じゃ昇進目指して頑張ってるらしいよ」


「・・・オレが行って慰めてやらなきゃ」

「ちょっと聞いてる?」






 
ラウラは 従業員休憩室でコーヒーを飲みながら、さっきから両腕をバタバタ動かしている館長を鬱陶しく眺めていた。

「館長、そのおかしな動きはなんですか?」


「え?これ知らない?

 今、流行ってんだよ。パランパランダンス」

「へぇ。そうなんですか」

「音楽に合わせて同じ振り付けで踊るんだよ。
 これだと動きが激しくないから妊婦のナンシーにも適度な運動になっていいんだ」


「妊婦体操ですか?」

「ちがうよ~。若い子達が集まってやるイケてるダンスだよ~。」

 出たよ若者文化に造詣が深いアピール。

「へぇ~スゴイですねー」

 適当に感心して見せて休憩室を後にする。

 『なんであんなのが良いと思ったんだろう私』

 ラウラは首をかしげながら午後の勤務に向かった。






 

 「ラウラ!」

家路を急いでいたところを呼び止められて振り向くとランディーが立っていた。

 「なんでこんな所にいるのよ」


 「なんでって・・・」


「つけたの?」

「そんなわけないだろ!なんでオレがオマエなんかの後をつけるんだよ。

 自意識過剰もいいとこだよ。
 
 だいたいお前、侯爵にフラれたんだってな!

 嫁に行ける最後のチャンスだったのに残念だったな!」


「・・・・わざわざそんな嫌味を言う為に呼び止めたの?」

 
 ラウラの怒りに満ちた顔を見てランディーは、またやってしまった、と焦った。


「ち、違うよ」

「何が違うって?」

「い、いや、ホントは謝ろうと思って」

「何について?生まれてから今までの全ての嫌がらせについて謝罪してくれるの?
 時間がいくらあっても足りないわね」


「いや、・・・その・・・侯爵が若い女の子を選んだのは仕方ないかも知れないけど、オレは・・・古いものにもそれなりの良さがあると思うぞ」


「・・・言いたいことはそれだけ?」

 「・・・なんで さっきより怒ってんだよ」

ラウラはすぐに立ち去りたかったがランディーにつけられるかも知れないので動けないでいた。

「オマエこの辺に住んでんのか?」

 「ち、違うわよ」 

 ランディーに住所を特定されたら引っ越した意味がなくなる。

「じゃ、なんでこんな所を歩いてるんだ?」

「今日はイライラしてるからカリスの店で飲むつもりだったのよ!」

 咄嗟の言い訳にしては上出来だと思うラウラだった。

 
 
 



 






 











 




    
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