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しおりを挟むシーツの間でアネラを下着姿にすると、彼は突然、何か思い出した顔をして上掛けを取り払う。
冷やっとした空気に身体は驚いて縮こまったが、身体を起こしたリノエルが熱い視線でアネラを見ていることに気づき、カッと熱くなってきた。
視線の先には、黒いレースの下着がある。兆した中心が透けていることをどう思われるか不安で、とっさに膝を擦り合わせる。
「わ!」
「ぐ、これが本物の威力……」
ころと身体を転がされ、リノエルが下着の全貌を確かめた。両脇はシルクのリボンで結ばれ、背面は細くレースが続いているのだが尻に食い込んでいる。
よくわからないことを呟いて、リノエルは天蓋を見上げた。小さなランプに照らされた顔は赤い。
うつ伏せになったついでだ、とアネラはベッド脇のチェストに手を伸ばす。そこには香油が入っていて、自慰の助けになるだろうと考えたのだ。
しかし焦りが手元にも現れていた。アネラがチェストの取手を引くと、勢い余って引き出しごと落としてしまう。ガシャン! と音がして、中身が床に散らばった。
「あー! 香油が……」
「大丈夫か! ……ん? これは、なんだ?」
香油の瓶の無事を確かめていたアネラは、リノエルが手にした棒状のものを目にした途端固まった。形状に沿った細長い箱。止める間もなく蓋が開けられてしまう。
「これは……!」
「…………」
そこには張り型が入っている。アネラが長年愛用している、象牙製のものだ。閨教育で貰い、襲撃後かろうじて残った荷物の中にあった。
アネラは気まずくて恥ずかしくて、瞼を伏せ目を逸らす。
もっとも、目を見開いて張り型を凝視していたリノエルは、アネラにきつい視線を向けた。眉根に深い皺が寄っている。
「こんなものに浮気をしていたのか」
「浮気って……」
「たとえ物だとしても、アネラの中を暴いていたのだと考えるだけで憎い。ああ、どうして私が初めてじゃないんだ!」
リノエルが張り型に嫉妬していることを知り、アネラの心はふわりと温まる。不敬だと知りつつも、可愛いな、なんて歳上の彼に対して感じてしまった。
身体から緊張が抜けていく。
「これは……リノエルさまの形なんです」
「は?」
「閨教育のときに、これで練習するように、と頂きました」
ぽかんと口を開けて、リノエルはアネラから張り型へと視線を戻した。箱から取り出し、あらゆる方向から観察し「なるほど」と納得する。
彼の穏やかな表情に、アネラが安心したのは束の間のことだった。
「アネラ、これは私の形ではない」
「えっ」
「少なくとも今は、こんなに小さくない」
「……え!?」
一瞬青褪めたアネラは、続く言葉に大きな声を上げた。愛用のこれだって、全て収まるようになるまで長い時間が必要だったのだ。
なのに、今はもっと大きい……?
呆然とするアネラの目の前で、形の良い唇の両端がくっと引き上げられる。リノエルの声は楽しそうだ。
「見せてあげよう。アネラに今の私の形を覚えてもらわないとな」
「あっ、あ~~~っ! もう、もうむりです……ッ」
「大丈夫。ほら、全部上手に呑み込んでるよ」
「リノエルさまぁ……」
後孔から挿入されたものに押され、内臓がぐっと喉元までせり上がってきている気がする。この苦しさをどうにかしてほしくて、アネラは涙目でリノエルを見上げた。
スカイブルーの目を細め愛おしそうにアネラを見つめているこの男は、張り型を放りだしたあと有言実行とばかりに、アネラの身体を丹念に解した。
初めて他人から与えられる快楽に、処女のアネラは成すすべもない。
もともとリノエルに抱かれるための閨教育が施されていたのだ。その延長線上で五年続けていた自慰が効果を発揮し、想定より大きなものもなんとか、受け入れることができた。
とはいえ初めは苦しいばかりだったのに、宥めて褒められて、好いところを撫でられると身体は蕩けていく。いまや押し付けた腰を揺らされるだけで、腹の中が快感にうねる。
「んっ、あん!」
「可愛い。私の妖精、私だけのアネラ……」
ちゅっと音を立てたキスに癒やされ、アネラは柔く笑った。苦しくていっぱいいっぱいだけど、好きな人とようやく結ばれたことは幸せだ。
枕を掴んでいた手を離し、リノエルの背中に回す。
一瞬肩を揺らしたリノエルは微笑みを返し、律動を開始した。アネラを、すみずみまで愛するために。
「はっ、あ、~~~! ――ああんっ! りのえる、さまぁ……っ」
◇
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