診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第1章 サテライトオープン

1話 オープニング・セレモニー

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 朝9時、ようやく<菜の花サテライトセンター>がオープンする日だ。

案内状や宣伝にも力を入れたこともあって、多くのお客さんが入り口付近にあふれていた。

3階の<菜の花の丘 こころと体のリハビリセンター>も、体験セミナーの予約でいっぱいだ。

もちろん、患者さんの予約も入っている。

3階だけは稼働時間が本館と同じで、精神科&心療内科が引っ越してきた。

1階のサテライトの診療時間は以下の通り:

•  月曜~金曜 8:00~12:00/15:00~20:00
  (水曜と夜6時以降は一般診療も受け付け)
•  夜間緊急コール 20:00~24:00
•  土曜 8:00~12:00/13:00~16:00
•  日曜・祝日 休診
•  土日はオンコールなし

体験セミナーは1週間続く。他にも有料プログラムがある。

健康保険対応、介護保険対応、そして一般向けの有料会員制プログラムなども用意している。

サテライトセンターは、地域の病院の検査施設の不足を補う役割もあるため、市長さんや病院関係者、介護施設の方々も今日は視察に訪れている。

社長夫妻、浅田理事、秘書の桐生君、そして院長の俺も対応に追われている。

莉子も来ている。看護部長と看護師長も対応にあたっている。

莉子がそばに来た「今日は一段とすごいねえ~、今まで一番多いよね?」

「そうだね。莉子のアニメのセミナ―頑張れよ。一番人気なんだからな」

「エへへへ、分かってるって」

そう言いながらもいろんな人に目を合わせてはかわいい笑顔を見せていた。

全く‥‥‥誰に対しても小悪魔なんだよ。

あまりかわいい笑顔をみんなに見せるんじゃないよ__と言いたいけど言えない。



玄関前には壇上を設置した。

朝一番で社長のオープニング挨拶があり、

次は市長。その後は関係者の挨拶が続く。

夏が「長いですね」と言ってきた。

「もう~理事なんだから、感謝して聞けよ」と小さな声で返した。

ついでに「しっかり案内しろよ」とも言っておいた。

それより、大学病院長に招待状を送ったんだけど、前回同様気まずいらしくて、代わりに岩城と川瀬が来ていた。

さっき目が合うと、さっと手をあげて合図を送ってきた。

思わずニヤリとしてしまった。後で話すのが楽しみだ。

長い挨拶がようやく終わって、夏がほっとしているようだがバレバレだな。



壇上でMCが「では、オープンいたします」と宣言した。

あれっ?ベルが鳴っている。

どこから呼んだのかは知らないけど、ベルでメロディーを奏でている。

今日は2階のスタッフ用休憩室で、招待客の接待としてお茶を出す。

と言っても時節柄、ペットボトルのお茶と、莉子の焼き菓子、そして菜の花弁当の特別仕立ての引換券入りのお土産を渡す場所にもなっているだけなんだけどさ。

招待状の中に引換券が入っている。

ここにはサテライトのナースや受付事務が担当する。



俺は3階に向かった。ここで10時から無料体験プログラムのセミナーがあるんだよ。

音楽室では、音楽療法士の岡田菜穂さんが声の出し方を指導する。

看護助手の山崎 輝君も手伝っている。

その後は、みんなで歌を歌う。

作業療法室では、心理士の三浦しおりさんと作業療法士の中村優香さんが、コラージュ教室と箱庭教室を開催している。

生活リハビリでは、作業療法士の大西亮さんが助手の沢村美知さんと共に、整形や外科の医師からの紹介で来た患者さんに指導を行っていた。

今日だけはオープンサービスなんだ。有料会員の受付もしているけどね。

俺はこっちの方がうれしい。ははっ。



そして目玉として、今週の金曜と土曜には莉子のアニメ教室があるんだよ。

それがもう満員なんだ。どういうことだよ‥‥‥。

患者が対象なんだからな……と内心思ってるんだけど、莉子ってそんなに有名なの?

桐生さんがそばに来て、「院長、さっきからやたらに聞かれてるんですけど、莉子さんのアニメ教室、有料でもいいからもっとないんですか?っていうんですよ。どうしますか?」と聞いてきた。

「ええ? でも逃す手はないな。一応、住所と名前、携帯番号、それとLINEの友達登録をしてもらってくれます? 後日連絡しますってことでね」

「はい、分かりました。一応そうかなと思って、連絡先だけは書いてもらっておいたんですよ」

「さすがだねえ~そうでなくちゃ商売にならないよね。ありがとうね。後でゆっくり考えようね」

はあ、問い合わせは莉子だけか……。

そろそろ岩城と川瀬が来る頃だな。

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