診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第1章 サテライトオープン

17話 吉岡サイド・寮に引っ越し 

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 理事から「4階の物流センターに大きな物置が届いたから、引っ越しできるよ」とメールが来た。

それでスタッフ用のチャットに、

「日曜日に吉岡が宿直室に引っ越します。どうぞよろしくお願いします」と流した。

するとすぐに、医大生の長谷川君から「何号室に何時ごろ来るの?」ってメッセージが届いた。

「俺は606号室の宿直部屋をもらったから、身の回りのものだけ入れて、残りは4階の物流センターに設置された物置に入れる予定」と返信した。

そしたら、「みんなで手伝うよ。朝10時頃に村上夫妻がゲストルームに引っ越してくるから、それ以外の時間がいいね」と返ってきた。

「じゃあ、俺は9時頃にします。荷物少ないし」と送ったら、「OK!」と返事が来た。

それだけじゃなくて、技師メンバーや先生方からも次々と「OK!」の返信がチャットに書き込まれて、画面が一気ににぎやかになった。

そのあと、佐藤翔太君が「俺は午後2時くらいに着きます」と書き込んでくれて、またみんなから「OK!」の嵐。

すごいなあ…なに?この連係プレー。

これが“寮生”ってやつか。これが、俺の夢だったんだ。

この仲間に入れてもらえて、ほんとうに嬉しい。泣きそうだよ。

俺たちのために、わざわざ物流にスペースを空けて、大きな物置まで買ってくれるなんて…信じられない。

菜の花って、なんて素敵な場所なんだろう。

院長も理事も、みんな優しくて、心が温かい人たちばかり。最高だよ。

俺はここにいる間に、しっかりお金を貯めるって決めた。

そして早起きして、9時に菜の花に到着。

そしたら、みんな台車を用意して待っててくれたんだよ。思わず涙が出た…。

通路も全部、養生がしてあった。

みんなで協力して敷いてくれたんだって。申し訳なくて、また泣けた。

でも、みんな知らん顔して、肩や背中をポンポン叩いてくれた。

首にかけたタオルで涙をぬぐいながら、荷物を運んだ。

なんだか俺、みっともないな。

そしたら長谷川君が言った。

「俺だってオープンの夜に、本館の6階に置いてた荷物を、院長や理事が台車で運んでくれて、嬉しくて泣けたんだよ」

その言葉に、また二人で泣けた。

そこへ技師の田村さんがやって来て、「おいおい、早く進めよう。次は二人分の荷物が来るからね」

「はーい!」と二人で返事した。

みんなで運んだら、一回で終わった。

物置に運んでくれた人と、宿直室に荷物を入れてくれた人とで、あっという間だった。

水分補給をしていたら、「村上さんたちが着いたよ」と連絡が来た。

俺も長谷川君も、それーっと下に降りた。

二人分の荷物だから、それなりに量がある。大丈夫かな?

みんなで「ご結婚おめでとうございまーす!」と拍手を送った。

二人は照れまくって、笑顔でペコペコお辞儀していた。

それから、5階のゲストルームに荷物を運んだ。

やっぱり収納が少なくて、荷物がはみ出しちゃった。

「あのう、よかったら俺の物置に入れますか?まだスペースありますけど」

「ええ?いいの?助かるよ!」

二人からお礼を言われて、へへへと照れ笑い。

亜衣さんたちの荷物を入れたら、物置はぎちぎちになった。

まあ、いいよね。隣にもう一個物置があるし。

佐藤君の荷物が少なかったら、そっちに移せば問題ない。

みんなで協力して、台車で3回くらい運んだら、もう終わった。

そこへ寮母の西村主任が現れて、

「引っ越しそばができたわよ~。食べてちょうだい!」と声をかけてくれた。

ああ~なんて嬉しいんだろう。

寮生って、こういうところがいいんだよね。俺、ずっと憧れてた。

おそばを食べるとき、また泣けた。

「あら、どうしたの?余計にしょっぱくなるわよ」

と寮母さんが言ったから、みんながクスクス笑った。

俺もつられて笑ってしまった。

なんてありがたいんだろう。

明日クリニックに行ったら、院長や理事にちゃんとお礼を言わなきゃな。

おそばを食べて、ゆっくりコーヒーを飲んでいたら、佐藤君から「着きました!」ってメールが入った。

「さあ、最後の引っ越しだよ。行きましょう」と青山先生が言って、みんなで下に降りた。

迎えに行くと、うん?

今度は佐藤翔太君が、ポロポロ泣いていた。

なんだよ~また移っちゃうよ~…。


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