診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第1章 サテライトオープン

18話 桐生の憂鬱

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  桐生さんが受付事務を覚えて、わずか二日間で戻ってきた。早っ!

院長「どうだったの? 1階の事務は」

桐生「そうですねえ、事務そのものは簡単でした。

確かに、いろんな保険の種類とか、交通事故の場合とか、外国人で保険がないケースなど、いろいろありましたけど、やり方が分かれば簡単でした」

それにしては、ちょっと表情が冴えない。

院長「他に何かあったんでしょう? いいよ、なんでも言って。聞くよ」

桐生「‥‥‥ええっと、佐藤君がサテに行ったことで、皆さんショックを受けて、やる気を失っていたそうなんです。

で、僕が行ったことで皆さん親切にしてくれたんですが、どうも距離が近いのが苦手で‥‥‥、

皆さんが気を悪くしたんじゃないかと心配で」

院長「そんなこと?」

桐生「えっ? 問題ないですか?」

院長「うん、全然問題ないよ。でも、あそこに若い男子を入れるように部長に言っておくよ。

2名くらいいた方がいいよね? それでやる気が出るなら、結構なことだよ」

桐生「あっ、はい。そうですね。じゃあ、良かったです」

やっと安心したような表情になった。

院長「ところでさ、面接のスケジュールは立ったかな?」

桐生「はい。こちらは土曜日が忙しいので、平日の夕方から夜にかけて来てもらうことにしました。

明日は佐久間先生と三浦先生です。

ついでに院内を自由に見学してもらおうと考えています。

サイズについては先走りですが、伺っておいたので注文済みです。

それと、放射線技師と臨床検査技師の2名も来ます。

こちらも制服は注文済みです」

院長「うん、それでいいよ。楽しみだねえ」

桐生「今日は理事が社長に説明にいらしたようですが、なんだか僕も落ち着かなくて……」

ふふっ、と笑った。

桐生「えっ? 何か__?」

院長「君も外科を拡充されるんじゃないかと、重荷に感じてるんじゃないの? 

サテライトがようやく1年かけてオープンしたばかりで、また始まるわけだからねえ~」

桐生「ええ~っと__まあ、そうなんですよね。

僕が心配することではないんですが、まだサテライトのナースなど、まだまだ決まっていない段階ですからね。

せめて半年なり、落ち着いた段階なら分かるんですが‥‥‥」

院長「社長は事業家としては天才だと思ってるんだよね。

未来を予測して、周到に計算して緻密に準備する。そして絶好のタイミングで勝負をかける。

多分、今後10年や20年の青写真はもうできてるんじゃないの? 

だから心配しなくていいよ。

それに、できない人に要求なんか絶対しない。

俺もね、考えないよ。だって分からないもん。

その点、理事はしっかり社長の才能を受け継いでるから大丈夫だよ。拡充したって問題ないさ」

桐生「そうなんですね。はい、分かりました。

僕も大船に乗ったつもりで、自分の仕事をします」

院長「そうそう、それでいいんだよ。気楽にやろうよ」

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