診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第1章 サテライトオープン

19話 面接・えりかの自分流管理

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 夏が実家から帰ってきたのは、夜も遅くなってからだった。

疲れた顔をしていたから、何も聞かなかった。

ただ俺のベッドに来て、胸に顔を埋めるようにして眠った。

かわいそうに……疲れたんだね。



翌日、18時、会議室にて。

面接官は、俺と理事、桐生、花井部長、看護部長、看護師長、看護主任2名。

8人もいるから、応募者がビビるな(笑)。

最初は物流担当候補の看護助手2名を一緒に面接する。

1・小林えりか(26歳)

元クリニックの物品管理担当。黙々と作業する几帳面なタイプ。

2・福田陸(34歳)

元病院の着品倉庫管理。整理整頓が得意。

ここは西村主任がこだわっているので、彼女一人に任せた。

西村「小林さん、クリニックで物品管理をされていたんですね。

今まで、どんなことに気をつけて仕事をされていましたか?」

小林「私は、ちょっと不器用なんです。

それで、同じ箱でも文字が少し違うとか、量が違うとか、微妙な違いを混同しやすくて……。

だから、独自のやり方で間違えないようにしているんです。人には笑われるんですけど……」

「へえ~」と何人かが声を漏らした。

西村「その独自のやり方、教えてもらえますか?」

小林「最初に、動物やいろんな絵や文字などのマークをカラーで小さくプリントして切っておきます。

それを箱に貼っていきます。個々の小さなものにも貼ります。

最後の1個になると間違えやすいので。

棚にはマークや番号を作って貼っておきます。

入口には全体の地図を作って、そこに大体の分類を書き入れます。

薬品明細などは別に五十音順で作ったリストを、地図の下に貼っておきます。

大きなマークは色紙で印をつけたり、イラストを描くこともあります。

自分でも一目で分かるようにしています。

数が多いものは、全部5個ずつや10個ずつひもでまとめておきます。

棚卸のためだし、在庫を調べるのが簡単だからです。

あとは箱で仕切ったり、段ボールで引き出しを作って、それを大きな段ボールに入れて小引き出しのようにして収納しました。

お金がかからないんですよね(笑)」

皆、くすくすと笑っていた。

西村「はい、分かりました。素敵な整理方法ですね。感心しました」

周囲も全員、うんうんと頬笑んで頷いていたのが印象的だった。

西村「今度は福田さんですね。どんな整理整頓をされていたんですか?」

福田「私は男なので、大物を任されることが多くて。

トイレットペーパーやおむつなどは、天井まで届くことが多いんです。

段ボール積みになっていることがほとんどなので、奥に新しいものを入れて、手前から使うということだけは気をつけています。

大物は面倒で、つい手前にあるものから出しがちなんです。

それで、段ボールの下にキャスター付きのすのこを敷いて、簡単に奥から仕舞えるようにしました。

そのためにも通路は広く取っておきます。

雪崩れてこないように、ストッパーになるものをあちこちに置いています。

あとは箱ごとにマジックで納品日を大きく書いておきます。

でも、段々重ねていくと見えなくなるので、一番手前の箱に自分で作った単品管理表を貼って、納品日と数を書いて、使ったものは消していくんです。棚卸が楽なんですよ。

ただ、薬品類は字が小さかったり、同じ箱で混同しやすくて、それが怖いので……申し訳ないのですが、私には任せないでください。危ないですから」

西村「はい、分かりました。なかなか良かったですよ」

俺が西村さんに目を向けると、大きく頷いた。

院長「はい、ではお二人とも採用です。

物流は西村主任の管轄になりますから、今後の指示を受けてください。

これからも頑張ってくださいね。

どうぞよろしくお願いします」

晴れやかな表情の二人は、部屋を後にした。

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