診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第3章 新たな人材を求めて

48話 社長の衝撃発表

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 アニメプラスを始め、RIKOカンパニーの引っ越しが終わり、倉庫も片付いてビルはすべて空になった。

これでようやく、解体の準備が整ったわけだ。

そんな折、社長から正式に工事のスケジュールが発表された。

・2025年9月:工事開始

・2026年12月:完成・引き渡し

・2027年1月20日:菜の花病院2号館オープン

・2027年7月:臨床研修指定病院の申請

・2028年4月:初期臨床研修医3名予定

☆2025年10月より「菜の花クリニック」から「菜の花病院」へ名称を変更。

☆新ビルの名称は「菜の花2号館」とする。

「えっ、名称変更?」

そこまでは聞いていなかった。

しかし、初期研修医を受け入れるつもりなら、クリニックのままでは確かに都合が悪い。

なにより、2号館の完成で体制は十分に整うのだ。

――来るべきものが、ついに来た。そんな実感が胸に広がった。

この通達はすぐに掲示板で全員に流した。

病院名を変えるとなれば、診察券や診断書、各種書類など影響は多方面に及ぶ。

だが、オープンまでには十分に時間がある。準備は整えられるだろう。

「ああ、バスの車体の名前も変えないといけないかな。注文した新車は間に合うけど」

まあ、患者さんたちにはすぐ浸透するだろう。

朝礼のあと、花井部長や他の看護部長たちが足早に近寄ってきた。

花井「大変なことになりましたね? もう“初期研修医3名”って書いてありますけど?」

あまりに急な話に、皆で顔を見合わせ、思わず力なく笑ってしまった。

夏はどこだ?……あれ、後ろの方に隠れているな。

「確かに大変ですよね。でも計画に組み込まれた以上、まっしぐらに突き進むしかありません。

花井部長には、これから初期研修医を迎える準備をお願いしたいんです。

医師全員が指導医の資格を持てるように導いていただけますか? まだ時間は十分にありますから」

花井「しょうがないですな。ここは宿直も研修生もいなくて楽だったんですけどねぇ……残念だなあ~」

また皆で、へらへらと苦笑がこぼれた。

「それでも研修生は3人ですし、2号館はきっと勉強しやすい環境に整えてくれるはずです。

研修プログラムも協力して作っていただくことになりますが、時間的にどうでしょう? 調整は可能ですよ」

花井「そうですね、まずは指導医が何人いるかを確認するところからですな。

資格のない人には、順次研修を受けてもらわないといけません」

「その辺はしっかり調整します。時間の確保についても前もって伝えていただけますか?

“毎日5時まで”とか“週に1日は半日”など、自由に組んでくださって結構です」

花井「はい、時間をいただけるなら取り組みますよ」

「ありがとうございます。それから、看護部長。患者さんにも10月から名称変更になることを伝えてほしいんです」

山科「承知しました。看板も作って対応します」

「では、皆さん。どうぞよろしくお願いします。――解散してください」

部長たちは戻って行ったが、夏は相変わらず後ろで小さくなっていた。

「夏、それで隠れてるつもりか?」

「えへへ……バレてた?」

後方で桐生さんが吹き出した。

「まったく、自覚がないな。一言くらい、理事として挨拶しろよ」

「はい、反省してます……。でもさあ、俺だって名前変更なんて聞いてなかったんだよ。びっくりだよねえ!」

――はあぁ……。

「行くぞ、とりあえず履歴書チェックだ」

「えっ?なんで?」

「バカか! 誰が指導医の資格を持っているか調べて、花井先生に伝えるんだよ。わかったか!」

「わかりましたよ……」

「桐生さん、これは理事にやらせてくださいね。俺にもリストをください」

桐生「承知しました」

桐生さんは笑いをこらえていた。

……いや、俺だって同じ気持ちだよ。


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