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第4章 菜の花、未来を味わう
63話 夏輝サイド・リベンジに燃える
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なんだよ、全く……。菜の花フーズって、俺が作ったようなもんなんだよ。
「覚えてんの?」って言いたかったよ。
そもそもは掃除スタッフだった三輪さんと友井さんが、「いつもお世話になってるから」って手料理をお重に詰めて、お兄さんにプレゼントしてくれたんだ。
それを食べて、莉子も桃香もみんな驚愕! あまりに美味しくてさ。
「これを毎日食べたい!」ってなって、掃除はもういいから料理をやってもらおうって、皆で決めたんだ。
ところが、実は余分に作っていて、他のスタッフにも食べさせちゃったんだよ。
そこがまさかのガンだった!
当然スタッフたちも「もっと食べたーい!」ってなったんだけど、三輪さんたちが「もう院長宅で料理をすることになった」と言ったもんだから――。
「おいしいものを独り占めなんて、ずる~い!」の大合唱になっちゃったんだ。
お兄さんは“ずるい”って言われるのが大嫌いだからさ、もう頼めなくなって、皆でガッカリ……。
そこで、俺は閃いた!
「みんなの分をまとめて作ってもらえばいい!」って。
だから三輪さんたちにもう一度お願いして、それを父に食べさせたんだよ。
そしたら!
「これだーーーっ!!」って父が興奮。
「これで食品部門に進出できる!」って言ったんだ。
だから立役者は俺なんだぜ。
俺があの時、父に持っていかなかったら、菜の花フーズは生まれてなかったんだから!
俺の貢献を忘れるなよ。
あの時のサラダのドレッシングが死ぬほどうまくてさ。
最初の商品が〈菜の花ドレッシング〉だったんだ。
最初はクリニックの片隅で売って、それが評判になった。
駅前にショップを出すわ、工場を作るわの大発展だろ?
「最初を忘れるな!」って、俺は言いたいんだよ。
ところで、三輪さんと友井さんに来てもらった。
「もっと話を聞かないと駄目だと思ってさ」
三輪「あのう、私たちのことで何か問題がありましたか?」
「違うんですよ。社長は2号館に行ってもらうって言ってましたよ」
友井「ええ?? 本当ですか?」
「本当。本格的にカフェもできますよ。
ただね、病院食もやってほしいって言ってました。
これはすぐに始まると思う。
2号館が完成するまでは、病院食の開発に取り組むことになると思うんですよ。
でもまだフーズの人たちは聞いてないと思うけどね。
その代わりカフェは自由に好きにやっていい。遊び感覚でいいって言ってましたよ」
三輪「ええ~! うれしい!!」
良かったねえ、と二人が手を取り合って喜んでいた。
「それでね、ちょっと伺いたいんですが、……フーズでは何かやりにくいことがあったんですか? 困っていたこととか」
しばし困惑の表情。
友井「やりにくいというより、若い人たちの方が気の毒だと思うんです。
私たち二人が最初に社長さんに気に入っていただけて会社が始まったので、どうしても皆さん遠慮してしまうんです。
私たちは好き放題やらせてもらって感謝してます。
でも後から入った人たちは、きっとやりにくかったと思います。
目の上のたんこぶみたいに、私たちがそびえているような感じで……。
実力がある子たちだって、私たちが“できる”と言っても、上の人は聞いてくれない。
“何が何でも私たちの言うことでないとダメ”みたいで、若い人が気の毒で……。
でも、もうみんな十分にできるんです。ただ上が信じていないだけなんです。
だから、私たちがいない方がフーズのためになる。ちょうど良い潮時だったんです」
「ああ~そうなんだ。話が深いですね。確かに潮時だとわかりますよ。
でも上の人の気持ちも分かります。社長の肝いりだから壊せなかったんでしょうねえ。
だって食品業界に出て成功したんだから、味は分かるはずだと思うんですよ。
ただ“父にノーと言うのが命懸け”だったんだと思います(笑)
その気持ちは俺にだって分かりますよ」
三輪「お話を聞いていただいてすっきりした気がします」
その後はお礼を伝えて二人は帰って行った。
でもこれは父に伝えておかないと駄目だよね。
父のためにも、フーズの人のためにも。絶対言おう。
それにしても、三輪さんと友井さんって、やっぱり素晴らしい人たちだ。
俺はそれがうれしいし、本当にありがたいよ。
「覚えてんの?」って言いたかったよ。
そもそもは掃除スタッフだった三輪さんと友井さんが、「いつもお世話になってるから」って手料理をお重に詰めて、お兄さんにプレゼントしてくれたんだ。
それを食べて、莉子も桃香もみんな驚愕! あまりに美味しくてさ。
「これを毎日食べたい!」ってなって、掃除はもういいから料理をやってもらおうって、皆で決めたんだ。
ところが、実は余分に作っていて、他のスタッフにも食べさせちゃったんだよ。
そこがまさかのガンだった!
当然スタッフたちも「もっと食べたーい!」ってなったんだけど、三輪さんたちが「もう院長宅で料理をすることになった」と言ったもんだから――。
「おいしいものを独り占めなんて、ずる~い!」の大合唱になっちゃったんだ。
お兄さんは“ずるい”って言われるのが大嫌いだからさ、もう頼めなくなって、皆でガッカリ……。
そこで、俺は閃いた!
「みんなの分をまとめて作ってもらえばいい!」って。
だから三輪さんたちにもう一度お願いして、それを父に食べさせたんだよ。
そしたら!
「これだーーーっ!!」って父が興奮。
「これで食品部門に進出できる!」って言ったんだ。
だから立役者は俺なんだぜ。
俺があの時、父に持っていかなかったら、菜の花フーズは生まれてなかったんだから!
俺の貢献を忘れるなよ。
あの時のサラダのドレッシングが死ぬほどうまくてさ。
最初の商品が〈菜の花ドレッシング〉だったんだ。
最初はクリニックの片隅で売って、それが評判になった。
駅前にショップを出すわ、工場を作るわの大発展だろ?
「最初を忘れるな!」って、俺は言いたいんだよ。
ところで、三輪さんと友井さんに来てもらった。
「もっと話を聞かないと駄目だと思ってさ」
三輪「あのう、私たちのことで何か問題がありましたか?」
「違うんですよ。社長は2号館に行ってもらうって言ってましたよ」
友井「ええ?? 本当ですか?」
「本当。本格的にカフェもできますよ。
ただね、病院食もやってほしいって言ってました。
これはすぐに始まると思う。
2号館が完成するまでは、病院食の開発に取り組むことになると思うんですよ。
でもまだフーズの人たちは聞いてないと思うけどね。
その代わりカフェは自由に好きにやっていい。遊び感覚でいいって言ってましたよ」
三輪「ええ~! うれしい!!」
良かったねえ、と二人が手を取り合って喜んでいた。
「それでね、ちょっと伺いたいんですが、……フーズでは何かやりにくいことがあったんですか? 困っていたこととか」
しばし困惑の表情。
友井「やりにくいというより、若い人たちの方が気の毒だと思うんです。
私たち二人が最初に社長さんに気に入っていただけて会社が始まったので、どうしても皆さん遠慮してしまうんです。
私たちは好き放題やらせてもらって感謝してます。
でも後から入った人たちは、きっとやりにくかったと思います。
目の上のたんこぶみたいに、私たちがそびえているような感じで……。
実力がある子たちだって、私たちが“できる”と言っても、上の人は聞いてくれない。
“何が何でも私たちの言うことでないとダメ”みたいで、若い人が気の毒で……。
でも、もうみんな十分にできるんです。ただ上が信じていないだけなんです。
だから、私たちがいない方がフーズのためになる。ちょうど良い潮時だったんです」
「ああ~そうなんだ。話が深いですね。確かに潮時だとわかりますよ。
でも上の人の気持ちも分かります。社長の肝いりだから壊せなかったんでしょうねえ。
だって食品業界に出て成功したんだから、味は分かるはずだと思うんですよ。
ただ“父にノーと言うのが命懸け”だったんだと思います(笑)
その気持ちは俺にだって分かりますよ」
三輪「お話を聞いていただいてすっきりした気がします」
その後はお礼を伝えて二人は帰って行った。
でもこれは父に伝えておかないと駄目だよね。
父のためにも、フーズの人のためにも。絶対言おう。
それにしても、三輪さんと友井さんって、やっぱり素晴らしい人たちだ。
俺はそれがうれしいし、本当にありがたいよ。
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