診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第4章 菜の花、未来を味わう

65話 水曜日は任せて・川瀬医師

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 川瀬が水曜日は来れるようになったと言って来た。

「え? だって大学病院の診療があるだろう?」

川瀬「それがさ、院長に相談があるって頼みに行ったんだよ。

寮に住み始めたから、お礼に一番忙しい水曜日だけでも手伝いたいって言ったんだ。

そしたら、ちょっと考えてさ。

“君は泥棒に追い銭って聞いたことがあるかね?”って聞かれたんだよ。(院長の口真似)

ええ? と思って、ダメだと思ったんだ。

“大学病院の大事なスタッフを二人もやった上に、水曜日までおまけを付けないといけないの?”って言われてさ。

やっぱり無理だなあ~と思って、がっくりしたんだよ。

そしたらさ、

“オープンの水曜日はパニックになったらしいね。岩城君から聞いたよ。だから地域の為にノーとは言わないよ。

だから良いよ、こうなったらやけくその追い銭だよ。

水曜は他の誰かを代診に入れるように部長に言っておくよ”って言われてさ。

「ありがとうございます!」って言ったらさ、

引き出しからなんか出して目の前に置いたんだ。

「なに?」

「これだよ」

目の前にゴロンとした背の低い黄色のポット? 水筒?

「じゃあ、君は寮の味噌汁はもう飲んだのかね?」

「はい、死ぬほどうまかったです」

「そしたらさ、明日これにそれを1杯もらってきてくれないかな? 最近かみさんがインスタントしか出してくれなくてさ、僕も一度は飲んでみたいんだよね。頼むね」

って言われたんだよ。これが味噌汁を入れるスープポットなんだってさ。

ぷはっ、あははは、二人で笑った。

 
「あの大学の病院長が?? 相当、菜の花シンドロームにやられちゃってるじゃん。

へえ~、味噌汁ってそんなに力があるんだねえ。

そしたらさ、なんかおにぎりにおかずでも一緒に持って行ってあげれば?

主任にお願いしておくよ」

「そうか? 悪いね。頼むね」

すげえなあ。うまい食べ物の威力は本当にすごいよ。



 その日の夕方だった。

またすごい話が飛び込んで来た。

社長が本館の屋上にプレハブ造りの厨房を作るそうだ。

そこは三輪さんと友井さんが、これから病院食のレシピ作りをする場所。

資材は平日の夜や土曜日の午後から屋上に搬入。

作業は平日の日中にやるそうだ。


そして三輪さんと友井さんには正式に辞令が下りた。

「菜の花病院フーズ開発室 共同責任者」だ。

身分は菜の花フーズの人なんだけど、いいよね?

プレハブは2号館が出来るまでだけどさ。

きっと喜んでくれるよ。

もちろん、早速掲示板で流したよ。

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