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第4章 菜の花、未来を味わう
68話 西村サイド・川瀬医師と寮生・初めまして
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お風呂から上がって共用リビングに行くと、川瀬先生がぽつんと座っていた。
あら、帰ってきてたのね。
「お帰りなさい、川瀬先生。ご飯でしょう? もうすぐ早出の人と、夜勤者が交代で食事に戻って来るから、これから広げますね」
「うん、何か手伝おうか? あ、佐久間先生がね。お弁当はあるけど、何かあれば欲しいって言ってたよ」
「はーい、了解です。今日は三輪さんと友井さんがいっぱい作ってくれたから、たくさんありますよ」
「へえ~。じゃあ、先に佐久間先生に持って行こうかな。ポットも持ってきた。汁物が欲しいらしい」
「そうなの? じゃあ待ってて、今詰めますから」
先生は子どもみたいに、ちょこんと私の横に寄って来る。
「見たいの?」と聞くと、にやにやしながら「うん、見たい」なんて返す。
「じゃあ、お皿を並べてください。14枚と、ガラスの容器をひとつ。佐久間先生の分だから」
素直にお皿を並べる川瀬先生を横目に、私は大鍋のスープを温め始めた。
そこへ、青山先生と長谷川君が入って来る。
「おや? 初めてでしたっけ?」青山先生が笑顔で近づいてきた。
「僕も初めてです!」長谷川君も嬉しそうだ。
「初めまして。産婦人科の川瀬です。本館5階の外科フロアを寮にしてもらいました。よろしくお願いします」
と、川瀬先生はちょっと照れ気味に頬をゆるめて頭を下げた。
「こちらこそ。精神科の青山です。サテの3階で診療をしています」
「医大5年の長谷川です。奨学生で、広報部で4コマ漫画も描いてます。同じ医大ですよね? もう噂になってますよ。岩城先生が菜の花に移るって!」
「ええ? もう広まってるの? やばいなあ‥‥‥」
「いやいや、僕だって同じ医大出身ですし。岩城先生とも親しいんですよ。噂くらい聞きますって」
「そうなんだ? ほんと、この業界は狭いなあ」
――まったく。
「はいはい、男子たち。話は後。今日はおかずが多いんだから、早く手伝って」
「はーい!」と声がそろう。
白いお皿に、私はトングでどんどん盛り付けていく。みんなも自然と手を伸ばし、一緒に取り分ける。
「めちゃめちゃ美味そうだな。でも俺、お弁当あるんだよな。どうしよう?」青山先生が困った顔。
「明日の朝は味噌汁しか作らないから、残して名前を書いといて。朝に回してちょうだい」
「了解!」
盛り付けが終わったら、私はガラスの器とポットにスープを入れて川瀬先生に渡した。
「これが佐久間先生ご夫婦の分です。
『明日は味噌汁しかないから、おかずは朝に回してください』って伝えてくださいね。
あとデザートはアイスクリームのクッキー添え。冷凍庫に入れるようにお願いします」
「了解。じゃ、ちょっと届けてくる」
「いってらっしゃい!」みんなが声をそろえる。
ちょうどその時、早出と夜勤組が帰って来た。
「ただいま~。わあ、なにこのご馳走!」目を輝かせている。
「お帰りなさい。手は洗った? スープがあるから並んでね」
「いぇ~い!」と元気に返事。毎晩の光景だ。
みんなカップを持ってスープの列に並び、よそってから席に着く。
私は最後に川瀬先生と自分の分をよそってテーブルへ。
そこへ川瀬先生が戻って来た。
みんなの視線が一斉に集まる。
西村「彼は本館5階の個室を寮にしている川瀬先生です。産婦人科です。みなさん、よろしくね」
「よろしくお願いしまーす!」大歓迎の笑顔が広がった。
「はい、それじゃあ揃ったから……いただきましょう!」
全員で手を合わせ、「いただきます!」
「わあ、すごいなあ。このご馳走は……」川瀬先生の感嘆の声。
「今日は三輪さんと友井さんが作ってくれました。スープもね。それとサプライズもありますよ」
「え、えっ、なんですか?」田村君が食いつく。
「食べてからのお楽しみ~、ふふふ」
「わあ、私知ってる!」亜衣ちゃん。
「私も知ってる!」上間先生。
「え、俺だけ知らねえの?」森下君が焦る。
川瀬先生は夢中でマリネを頬張り、目を丸くして叫んだ。
「これ、すごい美味い! 感激した! あれもこれも、全部うまい!」
あははは――。
その感激ぶりに、みんなが笑い声をあげた。
あら、帰ってきてたのね。
「お帰りなさい、川瀬先生。ご飯でしょう? もうすぐ早出の人と、夜勤者が交代で食事に戻って来るから、これから広げますね」
「うん、何か手伝おうか? あ、佐久間先生がね。お弁当はあるけど、何かあれば欲しいって言ってたよ」
「はーい、了解です。今日は三輪さんと友井さんがいっぱい作ってくれたから、たくさんありますよ」
「へえ~。じゃあ、先に佐久間先生に持って行こうかな。ポットも持ってきた。汁物が欲しいらしい」
「そうなの? じゃあ待ってて、今詰めますから」
先生は子どもみたいに、ちょこんと私の横に寄って来る。
「見たいの?」と聞くと、にやにやしながら「うん、見たい」なんて返す。
「じゃあ、お皿を並べてください。14枚と、ガラスの容器をひとつ。佐久間先生の分だから」
素直にお皿を並べる川瀬先生を横目に、私は大鍋のスープを温め始めた。
そこへ、青山先生と長谷川君が入って来る。
「おや? 初めてでしたっけ?」青山先生が笑顔で近づいてきた。
「僕も初めてです!」長谷川君も嬉しそうだ。
「初めまして。産婦人科の川瀬です。本館5階の外科フロアを寮にしてもらいました。よろしくお願いします」
と、川瀬先生はちょっと照れ気味に頬をゆるめて頭を下げた。
「こちらこそ。精神科の青山です。サテの3階で診療をしています」
「医大5年の長谷川です。奨学生で、広報部で4コマ漫画も描いてます。同じ医大ですよね? もう噂になってますよ。岩城先生が菜の花に移るって!」
「ええ? もう広まってるの? やばいなあ‥‥‥」
「いやいや、僕だって同じ医大出身ですし。岩城先生とも親しいんですよ。噂くらい聞きますって」
「そうなんだ? ほんと、この業界は狭いなあ」
――まったく。
「はいはい、男子たち。話は後。今日はおかずが多いんだから、早く手伝って」
「はーい!」と声がそろう。
白いお皿に、私はトングでどんどん盛り付けていく。みんなも自然と手を伸ばし、一緒に取り分ける。
「めちゃめちゃ美味そうだな。でも俺、お弁当あるんだよな。どうしよう?」青山先生が困った顔。
「明日の朝は味噌汁しか作らないから、残して名前を書いといて。朝に回してちょうだい」
「了解!」
盛り付けが終わったら、私はガラスの器とポットにスープを入れて川瀬先生に渡した。
「これが佐久間先生ご夫婦の分です。
『明日は味噌汁しかないから、おかずは朝に回してください』って伝えてくださいね。
あとデザートはアイスクリームのクッキー添え。冷凍庫に入れるようにお願いします」
「了解。じゃ、ちょっと届けてくる」
「いってらっしゃい!」みんなが声をそろえる。
ちょうどその時、早出と夜勤組が帰って来た。
「ただいま~。わあ、なにこのご馳走!」目を輝かせている。
「お帰りなさい。手は洗った? スープがあるから並んでね」
「いぇ~い!」と元気に返事。毎晩の光景だ。
みんなカップを持ってスープの列に並び、よそってから席に着く。
私は最後に川瀬先生と自分の分をよそってテーブルへ。
そこへ川瀬先生が戻って来た。
みんなの視線が一斉に集まる。
西村「彼は本館5階の個室を寮にしている川瀬先生です。産婦人科です。みなさん、よろしくね」
「よろしくお願いしまーす!」大歓迎の笑顔が広がった。
「はい、それじゃあ揃ったから……いただきましょう!」
全員で手を合わせ、「いただきます!」
「わあ、すごいなあ。このご馳走は……」川瀬先生の感嘆の声。
「今日は三輪さんと友井さんが作ってくれました。スープもね。それとサプライズもありますよ」
「え、えっ、なんですか?」田村君が食いつく。
「食べてからのお楽しみ~、ふふふ」
「わあ、私知ってる!」亜衣ちゃん。
「私も知ってる!」上間先生。
「え、俺だけ知らねえの?」森下君が焦る。
川瀬先生は夢中でマリネを頬張り、目を丸くして叫んだ。
「これ、すごい美味い! 感激した! あれもこれも、全部うまい!」
あははは――。
その感激ぶりに、みんなが笑い声をあげた。
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