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第6章 菜の花寮の大騒動
101話 川瀬サイド・最初の一歩
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北原に冷たくされてから訳が分からない。
俺の何がいけなかったのか?
主任と結婚すると言ったのが気に入らないのか?
なんでだよ。俺をけしかけたじゃないか。
今日はあまり仕事が手につかなかった。……まずい。
医者なのに、これは早く解決しないと。人の命を預かっているんだからな。
仕事が終わって院長室に行った。
北原と話し合わないことには進まない。
院長室には理事と桐生さんもいたが、俺が来たことで二人は遠慮して席を外してくれた。
「なに?」
「なんで冷たくするんだよ。意味が分からない。何が問題なんだ? 俺が結婚をやめればいいのか?」
しばらく北原は考えていた。
「お前さ、寮母の意味が分かってるの?」
「どういうことだよ」
「西村さんはただのナースじゃない。寮生たちの“母”なんだよ。
それがさ、来てまだ10日も経ってないのに、いきなり母を“盗って”いくんだ。
寮生の気持ちを考えたことがあるか?
母と子どもだけの家庭に、いきなり“新しい父です”って言われたら、子どもは戸惑うだろう?
皆大人に見えても、心は子どもなんだ。
母親と思って慕ってきて、尽くしてもらってきたのに……どう接すればいいんだよ?
普通なら、ただ“母を奪った人”だ。
今のまま強引に結婚したら、皆の反発を招いて総スカンを食らうぞ。
せっかく菜の花に来て楽しくやろうと思っているのに、もう少し西村さんの役割を尊重したらどうだ?
これはただのナースと医者の結婚じゃない。
“寮母と結婚する”ってことは、皆に祝福されなきゃ全部うまくいかない。
今までの西村さんが寮母として築いてきたものを、捨てさせることになるんだよ。
このまま知られたら、受け入れ態勢のない子どもたちは“親に裏切られた”気分になる。
それが西村さんのためになるか? きっと寮生との間に溝ができる。
普通はそういう時、新しく父親になりたい人間はどうするんだ?
――自分で考えろよ」
「……わかったよ」
そのまま院長室を出た。
はあ~、メッタ切りだ。
自室にこもりたい気分だったけど、佐久間先生の分を取りに行かないといけない。
しょうがない、寮に向かった。
寮に行くと、もう北原が来ていてエプロン姿で汁物やおかずを出していた。
――1週間、寮母の代わりをやるんだって言ってたな。休養させるためだって。
それを俺が代わればいいのか……?
とりあえず佐久間先生の分をもらおうと器やポットを出した。
「そこにあるのを詰めて」
言われるまま器におかずを詰め、ポットには汁物を入れた。
お茶も一緒に載せて持って行った。
5階に行くと、佐久間先生が待合室で待っていた。
佐久間「ああ~、いつも悪いね。ありがとう。お茶まで淹れてくれたのか。悪いな」
嬉しそうに言ってくれた。
「あのう……」
佐久間「うん? どうしたの?」
「ちょっと伺いたいんですが。母と子どもだけの家庭に、新しく父親になりたい男がいたら……どうすればいいですか?」
佐久間先生はじっと俺の顔を見て、ほほ笑んだ。
佐久間「そんな人がいるんだね。……ほう。そりゃあ普通は、まず子どものご機嫌取りだよ。
母親より先に子どもになついてもらわないと、母親だって決心がつかないさ」
「ああ~、そうなんですね。はい、わかりました。ありがとうございました」
子どものご機嫌取りか……やったことないなあ。
そういえば、家でも子どものご機嫌取りってあまりやったことがない。
それが悪かったのかな……?
なんだか後悔で、涙が出そうになった。
俺の何がいけなかったのか?
主任と結婚すると言ったのが気に入らないのか?
なんでだよ。俺をけしかけたじゃないか。
今日はあまり仕事が手につかなかった。……まずい。
医者なのに、これは早く解決しないと。人の命を預かっているんだからな。
仕事が終わって院長室に行った。
北原と話し合わないことには進まない。
院長室には理事と桐生さんもいたが、俺が来たことで二人は遠慮して席を外してくれた。
「なに?」
「なんで冷たくするんだよ。意味が分からない。何が問題なんだ? 俺が結婚をやめればいいのか?」
しばらく北原は考えていた。
「お前さ、寮母の意味が分かってるの?」
「どういうことだよ」
「西村さんはただのナースじゃない。寮生たちの“母”なんだよ。
それがさ、来てまだ10日も経ってないのに、いきなり母を“盗って”いくんだ。
寮生の気持ちを考えたことがあるか?
母と子どもだけの家庭に、いきなり“新しい父です”って言われたら、子どもは戸惑うだろう?
皆大人に見えても、心は子どもなんだ。
母親と思って慕ってきて、尽くしてもらってきたのに……どう接すればいいんだよ?
普通なら、ただ“母を奪った人”だ。
今のまま強引に結婚したら、皆の反発を招いて総スカンを食らうぞ。
せっかく菜の花に来て楽しくやろうと思っているのに、もう少し西村さんの役割を尊重したらどうだ?
これはただのナースと医者の結婚じゃない。
“寮母と結婚する”ってことは、皆に祝福されなきゃ全部うまくいかない。
今までの西村さんが寮母として築いてきたものを、捨てさせることになるんだよ。
このまま知られたら、受け入れ態勢のない子どもたちは“親に裏切られた”気分になる。
それが西村さんのためになるか? きっと寮生との間に溝ができる。
普通はそういう時、新しく父親になりたい人間はどうするんだ?
――自分で考えろよ」
「……わかったよ」
そのまま院長室を出た。
はあ~、メッタ切りだ。
自室にこもりたい気分だったけど、佐久間先生の分を取りに行かないといけない。
しょうがない、寮に向かった。
寮に行くと、もう北原が来ていてエプロン姿で汁物やおかずを出していた。
――1週間、寮母の代わりをやるんだって言ってたな。休養させるためだって。
それを俺が代わればいいのか……?
とりあえず佐久間先生の分をもらおうと器やポットを出した。
「そこにあるのを詰めて」
言われるまま器におかずを詰め、ポットには汁物を入れた。
お茶も一緒に載せて持って行った。
5階に行くと、佐久間先生が待合室で待っていた。
佐久間「ああ~、いつも悪いね。ありがとう。お茶まで淹れてくれたのか。悪いな」
嬉しそうに言ってくれた。
「あのう……」
佐久間「うん? どうしたの?」
「ちょっと伺いたいんですが。母と子どもだけの家庭に、新しく父親になりたい男がいたら……どうすればいいですか?」
佐久間先生はじっと俺の顔を見て、ほほ笑んだ。
佐久間「そんな人がいるんだね。……ほう。そりゃあ普通は、まず子どものご機嫌取りだよ。
母親より先に子どもになついてもらわないと、母親だって決心がつかないさ」
「ああ~、そうなんですね。はい、わかりました。ありがとうございました」
子どものご機嫌取りか……やったことないなあ。
そういえば、家でも子どものご機嫌取りってあまりやったことがない。
それが悪かったのかな……?
なんだか後悔で、涙が出そうになった。
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