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第7章 スタッフ強化作戦
124話 循環器の星
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そう言えば、宿題があった。
採用した循環器の黒田先生から「外来の渡辺先生について聞いてほしい」と頼まれていたのだ。
危うく忘れるところだった。
渡辺智一先生は、週に二回だけ外来に来る循環器の名医。
よその医大で心臓研究をしていると聞いて、一度論文を読んでみたことがあるが……難しすぎて途中でギブアップした。(内緒だが)
ちょうど今日は外来の日。昼休みに院長室に来てもらった。
「失礼します、渡辺です」
「ああ~すみませんね。お忙しいのに」
「どうぞお掛けください。すぐ終わります」
冷茶を出して、切り出した。
「実は、2号館のために循環器医師を募集しました。こちらの二人です。履歴書をご覧ください」
渡辺先生は目を通しながら、ふっと笑った。
「仲間ができるなんて、想像もしませんでしたよ。2号館ができれば循環器も必要だろうとは思っていましたけどね」
「実は、この黒田先生が渡辺先生を尊敬していると面接でおっしゃったんです。一緒に働ければ、とても光栄だと」
「ええ? 私にですか? 存じ上げない方ですが……どこかで私を見てくださっていたのですね。うれしいことです」
「私も驚きましたよ。だから『週に二回だけの外来』と説明したら、すごく残念そうでね。
今度の2号館には岩城外科医をはじめ、優秀な医師が集まっています。
循環器の患者さんもこれから増えるでしょう。
できれば渡辺先生に、もう少し時間を増やしていただきたいと思っているんです。
……研究は、菜の花で続けることは難しいでしょうか?」
渡辺先生はしばらく黙り込み、考え込んだ。俺は待った。
やがて口を開く。
「実は、研究が行き詰まっていてね。人間関係も先が見えず、悩んでいました。
こうしてお話をいただいたのもご縁。……思い切って飛び込んでみようかと思いますが、よろしいですか?」
「もちろんです! 二人の新人の指導もお願いしたいんです。憧れて入ってきた先生たちですから、きっと喜びますよ。
それに岩城外科医もいます。難しい手術にも挑めるはずです」
「ええ、羨ましかったんですよ。あの人ほどの天才はいません。そしてAI手術機……あれも大変興味深い。私も見せていただけますか?」
「もちろんです。どうぞよろしくお願いします。これからは入院患者の方もお願いしたいのです。
勤務はシフト制もありますが……ご家庭の事情に合わせます。可能なら報酬も増額しますし、無理なら従来どおり外来中心でも構いません」
「ありがとうございます。実は妻と車で通勤しているので、シフトは難しいのです」
「承知しました。では可能な範囲で結構です。その分、新人の先生たちをよろしくお願いします」
こうして渡辺先生は、2号館の重要な一員となった。
そして――もう一つ仕事が増えた。
彼には〈循環器研究部長〉として、研究と教育の両輪を担ってほしい。
まずは花井部長に相談し、了承を得る。
そのうえで夏から社長に話を通し、報酬の増額も容認してもらう。
本人に伝えるのは、それからだ。
まさか医大を辞めてまで来てくださるとは……夢のようだ。
これからは全面的に研究者として、そして指導者として支えていこう。
研究の居場所も整えなければならない。
さて、どこに置くべきか。
……花井医局長も同じ課題を抱えているんだよな。どうするべきか。
採用した循環器の黒田先生から「外来の渡辺先生について聞いてほしい」と頼まれていたのだ。
危うく忘れるところだった。
渡辺智一先生は、週に二回だけ外来に来る循環器の名医。
よその医大で心臓研究をしていると聞いて、一度論文を読んでみたことがあるが……難しすぎて途中でギブアップした。(内緒だが)
ちょうど今日は外来の日。昼休みに院長室に来てもらった。
「失礼します、渡辺です」
「ああ~すみませんね。お忙しいのに」
「どうぞお掛けください。すぐ終わります」
冷茶を出して、切り出した。
「実は、2号館のために循環器医師を募集しました。こちらの二人です。履歴書をご覧ください」
渡辺先生は目を通しながら、ふっと笑った。
「仲間ができるなんて、想像もしませんでしたよ。2号館ができれば循環器も必要だろうとは思っていましたけどね」
「実は、この黒田先生が渡辺先生を尊敬していると面接でおっしゃったんです。一緒に働ければ、とても光栄だと」
「ええ? 私にですか? 存じ上げない方ですが……どこかで私を見てくださっていたのですね。うれしいことです」
「私も驚きましたよ。だから『週に二回だけの外来』と説明したら、すごく残念そうでね。
今度の2号館には岩城外科医をはじめ、優秀な医師が集まっています。
循環器の患者さんもこれから増えるでしょう。
できれば渡辺先生に、もう少し時間を増やしていただきたいと思っているんです。
……研究は、菜の花で続けることは難しいでしょうか?」
渡辺先生はしばらく黙り込み、考え込んだ。俺は待った。
やがて口を開く。
「実は、研究が行き詰まっていてね。人間関係も先が見えず、悩んでいました。
こうしてお話をいただいたのもご縁。……思い切って飛び込んでみようかと思いますが、よろしいですか?」
「もちろんです! 二人の新人の指導もお願いしたいんです。憧れて入ってきた先生たちですから、きっと喜びますよ。
それに岩城外科医もいます。難しい手術にも挑めるはずです」
「ええ、羨ましかったんですよ。あの人ほどの天才はいません。そしてAI手術機……あれも大変興味深い。私も見せていただけますか?」
「もちろんです。どうぞよろしくお願いします。これからは入院患者の方もお願いしたいのです。
勤務はシフト制もありますが……ご家庭の事情に合わせます。可能なら報酬も増額しますし、無理なら従来どおり外来中心でも構いません」
「ありがとうございます。実は妻と車で通勤しているので、シフトは難しいのです」
「承知しました。では可能な範囲で結構です。その分、新人の先生たちをよろしくお願いします」
こうして渡辺先生は、2号館の重要な一員となった。
そして――もう一つ仕事が増えた。
彼には〈循環器研究部長〉として、研究と教育の両輪を担ってほしい。
まずは花井部長に相談し、了承を得る。
そのうえで夏から社長に話を通し、報酬の増額も容認してもらう。
本人に伝えるのは、それからだ。
まさか医大を辞めてまで来てくださるとは……夢のようだ。
これからは全面的に研究者として、そして指導者として支えていこう。
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