診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第8章 もっと寮が欲しい

143話 ワンルームマンション寮

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 翌日、桐生さんから夏の様子を聞いた。

どうやらPOPを書きまくったらしい。確かに夏はそういうのが得意だ。

パソコン操作も早いし、自由に描けるのだろう。

少し安心した。やっぱり夏に実務は向いてないな。

でも後継者だから仕方ない。

自分でできないなら、やってくれる人を採用するのもTOPの仕事だ。

そういうやり方もある。ただ、今はまだそれを言える段階じゃない。

桐生さんに頼んでいた件について、すべて社長から返事が来た。

――すべて了承。さすがに社長だ。太っ腹すぎる。

しかも駅から徒歩5分の場所に、空き室のあるワンルームマンションをいくつか抑えてくれたらしい。

「とりあえず空きは全部借り切った」とのこと。いつでも使えるそうだ。

午後から夏と一緒に見に行けるよう、桐生さんに伝言をお願いした。



桐生さんも交えて、夏と一緒にマンションを見に行った。

物件を見に行くって、なんだか楽しい。なぜだろう?

夏もどこか楽しそうにしている。不動産屋さんが案内してくれた。

ビルは清潔感があり、思った以上にきれいだった。

ワンルームの空きは全部で8部屋。

ただ、家賃が高めらしく、そのせいで空いているらしい。

部屋はどれも同じ造り。小さなキッチンに、トイレと浴室が一緒の3点ユニット。

南向きのバルコニーがついていて、明るさは十分だ。

部屋は6畳くらいだろうか、床のフローリングが白に近い薄いベージュのような色だった。

玄関脇のスペースはクローゼットかと思ったら洗濯機置き場で、その上に棚がいくつもある。

靴箱は細身だが天井まで高さがあり、収納力はまずまず。

さらに最上階を見に行くと――驚いた。

そこだけは2LDK仕様。しかもリビングが広めで、60㎡もあるという。

このフロアは全部で4戸。今は2戸が空いているそうだ。

「へえ~、ここ良いじゃない?佐藤先生ご夫婦にはちょうどいいよね?」

夏が頷きながら言った。

夏「寮にするなら家電やベッドを置かないとダメだね。研修に来る人は手ぶらで来るから」

「うん。夏、すぐ必要な家電や家具をリストアップしてくれないか?」

夏「あー、それね。父的には業者に一括で頼んじゃうんだよね。その方が早いんだって」

「はぁ……なるほど。セレブ流はついていけないな……」

夏は楽しそうに提案する。

「じゃあ、ここをみんなのリビングにして寮母さんに来てもらえばいいよね?」

「そうだな。寮母さんは下のワンルームで寝泊まりしてもらおう。ここじゃ人がいて寝られないだろうし」

「はーい!了解」

とにかく、思った以上に良かった。

ただし最上階の2戸を除けば、残りはワンルームが5戸。

俺としては、小児科の三浦先生に入ってほしい。

せっかく産婦人科もいるのだから、小児科医もいれば救急に強くなる。

なにより研修生プログラムを手伝ってもらえる。

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