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第8章 もっと寮が欲しい
147話 院内チャット大炎上
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三枝くんの実習動画は、その日のうちに院内チャットにアップされた。
広報部が公式に流したわけではない。どうやら理事が編集した“特別ダイジェスト版”らしい。
――まったく、面白がっちゃって。
タイトルは、
『【爆笑】菜の花の顔・三枝、清掃実習で大崩壊!?』
桐生さんが気づいた時には、すでに既読100件を超えていたそうだ。
理事がにやにやしながら、みんなのチャットを見せてくれる。
ナースA《見た!? 三枝さんが吐物でうずくまってる!》
技師B《いや血で膝から崩れ落ちたとこ最高ww》
ナースC《イケメンなのに!ギャップ萌えすぎ!》
ドライバーD《理事の爆笑声が一番おもろい》
スタンプが飛び交い、画面は賑やかだ。
中にはこんな声も。
ナース補助E《私、逆に好感度上がったわ。人間らしくていい》
事務員F《広報動画にしたら絶対バズるでしょ》
そして極めつけは――
桐生「院長、これ公式チャンネルに上げましょうよ。絶対再生数稼げますよ」
俺は思わず額を押さえた。
「……いや、さすがにこれは内部だけにしておこうよ」
だが、その横で理事がにやにやしている。
「院長、もう拡散止まらないって。だって“菜の花イケメン三枝、血でノックアウト”だよ? 世間がほっとくわけないじゃん」
ため息をつきながらも、笑いが止まらなかった。
――結局のところ、三枝くんは本当に菜の花の宝なのだ。
……と思った矢先、理事はその場で公式チャンネルにUPしてしまった。
「おいっ、早いんだよ!」
もう三枝君は大丈夫か――明日はちゃんと声をかけてやらないといけない。
今日はちょっと顔を合わせにくいな。
*
翌日。
総合受付に行くと、いつもと様子が違った。
――黒い、大きなマスク。
顔の半分以上を覆い隠す、不自然なくらい立派なマスク姿の男が立っていた。
吹き出しそうになったが、ぐっと我慢した。
もちろん誰が見ても分かる。
長身、すらりと伸びた脚、整った立ち姿。
菜の花の顔・広報の三枝君だ。
背後からひそひそ声が聞こえる。
「ねえ……あれ、絶対昨日のチャットのせいだよね」
「だよねー。だって三枝さん、今まで白マスクしかしたことなかったじゃん」
患者さんに呼び止められても、マスクの奥からは低い声で丁寧に応対している。
仕草は完璧なのに――そのマスクの存在感が強烈すぎて、余計に笑いを誘う。
横を通った理事が肩を震わせている。
「……ぷっ……黒マスクでカモフラージュしても、イケメンは隠せないね」
俺も思わず吹き出しそうになったが、ぐっとこらえた。
患者さんの前で笑ってはいけない。
だが後ろで桐生さんがスマホを構えているのが見えた。
「院長、これは“黒マスク編”として追加撮影すべきですね」
「おい、やめろって……!」
必死で制止したが、結局チャットにはすぐこんな書き込みが流れてきた。
ナースA《黒マスク三枝、現場確認!》
技師B《逆に目元が強調されてカッコよすぎるんだが》
事務員C《あれ完全に“芸能人隠し撮り”w》
――またも既読100超えに時間はかからなかった。
「まったく……みんな仕事中に何やってるんだよ」
そうぼやきつつも、俺も笑いをこらえきれなかった。
――確実に菜の花を席巻した。
広報部が公式に流したわけではない。どうやら理事が編集した“特別ダイジェスト版”らしい。
――まったく、面白がっちゃって。
タイトルは、
『【爆笑】菜の花の顔・三枝、清掃実習で大崩壊!?』
桐生さんが気づいた時には、すでに既読100件を超えていたそうだ。
理事がにやにやしながら、みんなのチャットを見せてくれる。
ナースA《見た!? 三枝さんが吐物でうずくまってる!》
技師B《いや血で膝から崩れ落ちたとこ最高ww》
ナースC《イケメンなのに!ギャップ萌えすぎ!》
ドライバーD《理事の爆笑声が一番おもろい》
スタンプが飛び交い、画面は賑やかだ。
中にはこんな声も。
ナース補助E《私、逆に好感度上がったわ。人間らしくていい》
事務員F《広報動画にしたら絶対バズるでしょ》
そして極めつけは――
桐生「院長、これ公式チャンネルに上げましょうよ。絶対再生数稼げますよ」
俺は思わず額を押さえた。
「……いや、さすがにこれは内部だけにしておこうよ」
だが、その横で理事がにやにやしている。
「院長、もう拡散止まらないって。だって“菜の花イケメン三枝、血でノックアウト”だよ? 世間がほっとくわけないじゃん」
ため息をつきながらも、笑いが止まらなかった。
――結局のところ、三枝くんは本当に菜の花の宝なのだ。
……と思った矢先、理事はその場で公式チャンネルにUPしてしまった。
「おいっ、早いんだよ!」
もう三枝君は大丈夫か――明日はちゃんと声をかけてやらないといけない。
今日はちょっと顔を合わせにくいな。
*
翌日。
総合受付に行くと、いつもと様子が違った。
――黒い、大きなマスク。
顔の半分以上を覆い隠す、不自然なくらい立派なマスク姿の男が立っていた。
吹き出しそうになったが、ぐっと我慢した。
もちろん誰が見ても分かる。
長身、すらりと伸びた脚、整った立ち姿。
菜の花の顔・広報の三枝君だ。
背後からひそひそ声が聞こえる。
「ねえ……あれ、絶対昨日のチャットのせいだよね」
「だよねー。だって三枝さん、今まで白マスクしかしたことなかったじゃん」
患者さんに呼び止められても、マスクの奥からは低い声で丁寧に応対している。
仕草は完璧なのに――そのマスクの存在感が強烈すぎて、余計に笑いを誘う。
横を通った理事が肩を震わせている。
「……ぷっ……黒マスクでカモフラージュしても、イケメンは隠せないね」
俺も思わず吹き出しそうになったが、ぐっとこらえた。
患者さんの前で笑ってはいけない。
だが後ろで桐生さんがスマホを構えているのが見えた。
「院長、これは“黒マスク編”として追加撮影すべきですね」
「おい、やめろって……!」
必死で制止したが、結局チャットにはすぐこんな書き込みが流れてきた。
ナースA《黒マスク三枝、現場確認!》
技師B《逆に目元が強調されてカッコよすぎるんだが》
事務員C《あれ完全に“芸能人隠し撮り”w》
――またも既読100超えに時間はかからなかった。
「まったく……みんな仕事中に何やってるんだよ」
そうぼやきつつも、俺も笑いをこらえきれなかった。
――確実に菜の花を席巻した。
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