診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第8章 もっと寮が欲しい

159話 ズーム・逃げ切る作戦

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 高原さんに他の希望者を教えてもらった。 

高原「そしたら、救命医があと2名、救急ナース2名、ICUナースが2名ですね」

「でも……そんなに一度に辞められたら、その病院は大丈夫なんですか?引き止められるんじゃ?」

高原「そこなんですよ。だから計画的に順番で抜けよう、という話になってるんです」

真理「それと……寮に入れますか?HPには“もう満室”と書いてあったので。私たち、菜の花に来るなら近くに引っ越さないといけなくて」

「あとから来る方々も全員、寮希望ですか?」

高原「そうです」

「ええと……今残っているのは、ワンルームマンションが3室と、元学生寮の1室ですね。

もしご夫婦で同居希望なら、いずれ夫婦寮が用意できるまでの間は、ワンルームで別々にお住まいになりますが、それで大丈夫ですか?」

真理「はい。しばらく別々でも構いません。将来的に夫婦寮ができるなら安心です」

「あとから来る方々は1名用でいいのですね?」

高原「はい。皆独身なので、それで大丈夫です」

「わかりました。では後発組の方々には、ぜひ一度Zoomで面接をお願いしたいです。

寮については何とか調整しますから、とりあえず今回はワンルームを2室押さえておきますね。

お二人はすぐに来られるんですね?」

高原「ええ。何とか二人で“逃げ切ります”」

「ふふふ、まるで夜逃げですね。他の方々も大丈夫ですか?」

真理「そこは分かりませんけど……きっと頑張ると思います」

「では皆さんのお名前を伺ってもいいですか?

それと、Zoom面接希望日と履歴書を私に送っていただくようお伝えください。皆さんご一緒でも構いませんよ」

高原「はい、分かりました。伝えておきます。入職日も合わせてご連絡します」

こうして残り6名の名前を聞き、Zoomの予約は後日連絡をもらうことになった。

次は救急ナースの面接だった。地方出身で「東京で暮らしたい」という安藤結衣さん、希望。

「寮があれば最高です!」と笑顔で話してくれた。

――そりゃそうだよね。安心して働けて、楽しめる。即採用だ!



面接が終わったあと、俺はしばしぼーっとしていた。

まるで“カモがネギを背負ってやって来た”ような幸運。

飛び上がって喜びたいような……

でもじっくり噛みしめたいような……くすぐったい気持ちだった。

夏を呼んだ。

「救命医が3名、救急ナースが3名、ICUナースが2名、決まったぞ」

夏「またぁ~。お兄さん、冗談きついなあ……もうやめてよ」


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