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第9章 内定した方の為に
166話 緊急避難の8人
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昨日、岩城から聞いた話は本当に悲惨だった。
なんであの8人は、そんなにひどい目に遭わなければならなかったのか。
――専攻医研修で身体を壊し、倒れた夏を思い出す。
回復に半年もかかった。絶対に忘れない。
あの8人もまだ倒れる前で良かった。
けれど、迎えるには寮が問題だ。どうやってやりくりするか。準備が整わないと声をかけられない。
夏に事情を話し、急ぎで一軒家でもいいから探してほしいと頼んだ。
そのうえで三次救命センターの8名にメールを送った。
「いつでも迎えます。来られる日を教えてください」と。
幸い、事前に他の応募者の希望引っ越し日を聞いていたので、空いているところから順に入ってもらうことにした。
翌日、返事が来た。――皆ショックで家に籠り、ぼんやり過ごしているらしい。かわいそうに。
「家を何とかするから、荷物をまとめて待っていて」と伝えた。
夏はその日のうちに一軒家を見つけてきてくれた。ありがたい。
築20年ほどだが大きめで、駅から徒歩8分。
中は1階に和室6畳・リビングダイニング・浴室・台所。2階には6畳の部屋が3つ。
普通の住宅だが、今はそれでも十分だ。
翌日、8名を病院に呼んだ。1階待合室で待つ姿は、皆どこか元気がなかった。
「よく来てくれました」一人ずつと握手を交わす。
理事も一緒に紹介した。
まずはワンルームマンションを案内。――ここは5人まで。
次に一軒家。――1人1部屋なら4人が入れる。
さらに本館5階の川瀬の隣の個室と、宿直室の2段ベッドも候補に出した。
「どこに住むか、自由に選んでください」と伝えた。
その後、サテライトの6階共用リビングへ案内した。
西村主任が笑顔で出迎えてくれる。
「ようこそ来てくれましたね。よろしくお願いします」
テーブルにはお弁当、汁物、小鉢や果物まで並んでいた。
「ここがサテのリビングなんですね? 素敵……」
高原君の妻・真理さんが羨ましそうに言った。
「もし5階の個室や宿直室を選ぶなら、浴室はサテを使えるし、このリビングも自由にどうぞ。洗濯室もさっきの5階にあります。シャワー室も二か所。朝食はここで取れますよ。……椅子が足りるかな?」
西村「平気平気! 私に任せて。何とかするからね」
主任の温かさに頬が緩む。
「大丈夫そうです。夜は20時になると一斉に皆食べに来ますよ」
「うわ~いいなぁ」とみんなの顔がほころんだ。
西村「3階で土曜日の午後はクラブ活動をやってるの。楽しいから、ぜひ見に来てね」
「ええ?!」と、さらに笑顔が広がった。
「それと、一軒家に住む場合は掃除スタッフが入ります。自室以外はやらなくて大丈夫です。
お弁当配達も可能です。予約制で、翌日の分をまとめて頼めば一個400円で済みます」
高原「ありがとうございます。こんなに良くしていただいて……。部屋割りは僕たちで話し合います。返事は後日でもいいですか?」
「もちろん。ゆっくりでいい。仕事はいつから始めてもいいけど、給料は払うから1か月くらい休んで遊ぶといい。……ただ入職しないとIDカードが作れないから、お弁当の割引は効かないんだよね」
皆でお弁当を食べ、説明書と契約書を渡してその日は解散した。
彼らの顔は、まだ暗いままだった。
――こんな理不尽があっていいのか。さぞ悔しいだろう。
今まで身を粉にして働いてきた人たちなのに。
なんであの8人は、そんなにひどい目に遭わなければならなかったのか。
――専攻医研修で身体を壊し、倒れた夏を思い出す。
回復に半年もかかった。絶対に忘れない。
あの8人もまだ倒れる前で良かった。
けれど、迎えるには寮が問題だ。どうやってやりくりするか。準備が整わないと声をかけられない。
夏に事情を話し、急ぎで一軒家でもいいから探してほしいと頼んだ。
そのうえで三次救命センターの8名にメールを送った。
「いつでも迎えます。来られる日を教えてください」と。
幸い、事前に他の応募者の希望引っ越し日を聞いていたので、空いているところから順に入ってもらうことにした。
翌日、返事が来た。――皆ショックで家に籠り、ぼんやり過ごしているらしい。かわいそうに。
「家を何とかするから、荷物をまとめて待っていて」と伝えた。
夏はその日のうちに一軒家を見つけてきてくれた。ありがたい。
築20年ほどだが大きめで、駅から徒歩8分。
中は1階に和室6畳・リビングダイニング・浴室・台所。2階には6畳の部屋が3つ。
普通の住宅だが、今はそれでも十分だ。
翌日、8名を病院に呼んだ。1階待合室で待つ姿は、皆どこか元気がなかった。
「よく来てくれました」一人ずつと握手を交わす。
理事も一緒に紹介した。
まずはワンルームマンションを案内。――ここは5人まで。
次に一軒家。――1人1部屋なら4人が入れる。
さらに本館5階の川瀬の隣の個室と、宿直室の2段ベッドも候補に出した。
「どこに住むか、自由に選んでください」と伝えた。
その後、サテライトの6階共用リビングへ案内した。
西村主任が笑顔で出迎えてくれる。
「ようこそ来てくれましたね。よろしくお願いします」
テーブルにはお弁当、汁物、小鉢や果物まで並んでいた。
「ここがサテのリビングなんですね? 素敵……」
高原君の妻・真理さんが羨ましそうに言った。
「もし5階の個室や宿直室を選ぶなら、浴室はサテを使えるし、このリビングも自由にどうぞ。洗濯室もさっきの5階にあります。シャワー室も二か所。朝食はここで取れますよ。……椅子が足りるかな?」
西村「平気平気! 私に任せて。何とかするからね」
主任の温かさに頬が緩む。
「大丈夫そうです。夜は20時になると一斉に皆食べに来ますよ」
「うわ~いいなぁ」とみんなの顔がほころんだ。
西村「3階で土曜日の午後はクラブ活動をやってるの。楽しいから、ぜひ見に来てね」
「ええ?!」と、さらに笑顔が広がった。
「それと、一軒家に住む場合は掃除スタッフが入ります。自室以外はやらなくて大丈夫です。
お弁当配達も可能です。予約制で、翌日の分をまとめて頼めば一個400円で済みます」
高原「ありがとうございます。こんなに良くしていただいて……。部屋割りは僕たちで話し合います。返事は後日でもいいですか?」
「もちろん。ゆっくりでいい。仕事はいつから始めてもいいけど、給料は払うから1か月くらい休んで遊ぶといい。……ただ入職しないとIDカードが作れないから、お弁当の割引は効かないんだよね」
皆でお弁当を食べ、説明書と契約書を渡してその日は解散した。
彼らの顔は、まだ暗いままだった。
――こんな理不尽があっていいのか。さぞ悔しいだろう。
今まで身を粉にして働いてきた人たちなのに。
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