診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第9章 内定した方の為に

177話 理事の仕事が増えた?

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 ひと通り準備も整ったところで、挨拶をすることにした。

「センターの皆さん。初めまして。私は菜の花病院の院長の北原です。

今まで本当に大変だったと思います。

こういう結果になりましたが、私たち菜の花はポリシーに則って、

皆さんをこれから大切に守っていきたいと思っています。

では今後のフォローのために、二名の医師をご紹介します」

岩城に自己紹介をお願いした。

「おはようございます。私は大学病院から菜の花に派遣されました、
 特任調査医の外科医・岩城です。
 そしてこちらは臨床派遣医で産婦人科医の川瀬です。
 皆さんのお力になれるよう尽力します。
 困っていることがあれば、何でも遠慮なく言ってください」

 次は理事の出番だ。目で合図すると、にこやかに前へ出た。

「おはようございます。菜の花病院の理事、浅田です。

今日から皆さんは菜の花病院の正式なスタッフになりました。

IDカードと名札、制服、それにタブレットをお渡しします。

そして、今日から“菜の花弁当”を召し上がってください。

明日の分は、今日中に各自で予約すれば届きます。

今日は説明書とお弁当を記念にお持ちしました。ぜひご賞味ください。

これも福利厚生のひとつで、1食400円で利用できます。
それから、ドリンクバーも毎日2時間ほど、
菜の花フーズのスタッフがフォローに来てくれます。
ご自由にお使いください。」

「わあ~!」

みんなの顔がぱっと明るくなった。

「では、順番に交代で制服に着替えてください」

そう言うと、みんなわくわくした様子で自分の名前が書かれた袋を確認し、
ロッカーへ向かっていった。

 医師たちは、少し照れくさそうにしていた。

「いいですよ。着替えてきてください。ここは我々で見ていますから」

その言葉にニヤリと笑い、袋を抱えて小走りでロッカーへ向かう。

岩城たちと顔を見合わせ、思わず笑ってしまった。

川瀬「岩城、“現在の状況”を一度把握しておこう」と声をかけていた。

 ――うん、あとは二人に任せよう。

「岩城、帰りの時間にシャトルバスで迎えに行くからね。
 一応、菜の花の山野課長に連絡を入れておいてくれる?」

「ああ、分かった。」

「8名はどうする? 一緒に乗って帰る? それとも残って手伝う?」

高原が答えた。

「では、お昼を食べてから帰ります。帰りは電車で戻りますから大丈夫です」

「わかりました。じゃあ、俺たちは菜の花に戻るね。
困っていることがあれば何でも話して。
それと、タブレットや掲示板の使い方をみんなに教えてあげてくれる?」

「はい、わかりました。ありがとうございました!」

高原がすごく良い笑顔を見せてくれた。

理事と二人でセンターを後にした。

「夏、これで一件落着だね。」

理事がほっと息をついた。

「うん。……菜の花って、本当にいいところだよね?」

「あはは、夏が自分で言うか?」

「だって本当だもん。みんなの顔を見た?
 なんだかすっきりした、いい顔をしてたよね」

「うん、そうだね。今までの悩みが消えたんだと思うよ。
 給料は上がるし、シフトも楽になるし。言うことなしだろ?」

「でも……俺の仕事が増えたってことだよね?
 やっぱり週に一回はセンターに行った方がいいのかなぁ?」

「だって“再生プロジェクト”の代表は誰だっけ? 俺じゃないよ」

「あー冷たい」

ふっと笑い合いながら、過ぎ去っていく窓の景色を眺めていた。


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