診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第11章 新しいステージへ

200話 カフェの奨学生・友谷君

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 次の週の日曜日、夏は両親をランチに誘ってカフェに行ったそうだ。

お母さんがテラスを見て、えらく気に入ってくれたらしい。

「素敵!」の連発だったそうだ。

料理もまた美味しくて、やはりあの野菜のテリーヌを食べたところ、すっかり気に入って、
「これを2号館で出せないか?」と夏に言ったそうだ。

「そこ?」

夏「だからさ、“庭の花もいつもきれいだから、屋上の花壇をやってもらったらいいんじゃない?”とは言ったよ」

「ふ~ん、それで?」

夏「あとは知らな~い」

この後の社長の動きは、まるで隠密のようだった。

俺だって知らなかったさ。

なんせ社長がスタッフを連れて、中村君と交渉したらしい。

ええ?そっちの方が驚くだろう。

岩城から聞いたんだよ。

「なんせ料理人がまだ大学生だから、向こうの要求には応えられないんだよな。そしたら“できる範囲を考えてみる”ってことになったんだよ。その後はまだ知らないけどさ、でもあの分じゃ絶対引き下がらないぜ」

「プププ、決まってるだろう?引き下がるもんか、あの社長だぜ?でも中村君はなんて言ってるの?」

「なんか悩んでたよ。奨学生の友谷涼君にも将来があるから店にいてほしいけど、縛りつけることはしたくないって言ってた」

「うちも長谷川君っていう医大生の奨学生がいるんだよ。
うちは、学費と毎月の小遣い3万円、それに交通費と食事用のお弁当を渡してたんだけど、今月から大学病院で初期研修生になったから給料が出るようになって、それでうちはストップしたんだよ。
お金は全部貸付にしてるんだ。卒業してやっとこれからだからね。
自由に選択できるようにしてやりたくてさ。うちに残るって言うなら返済は要らないけど、他に行きたいって言うかもしれないからさ」

「へえ~太っ腹だな」

「いや、それは社長も承認してくれたからね。だから社長の提案に奨学生が“良い”って言うなら、信じてもいいかもよ。きっと悪いようにはしないと思うよ」

「そうなんだ、義兄さんに言っとくよ」



その後の詳細は知らないけど、毎週土曜日に料理の提案とレシピを出してもらい、スタッフが同じものを作れるように指導してもらうことで、年間契約料を払うそうだ。

さらに、大学の夏休みなどは週3日フルタイムで菜の花フーズに行ってもらう。他の日は自由設計。

そして……ここが驚きなんだけど、年間契約料は大学の授業料の約2倍、250万円だそうだ。

将来、もし菜の花フーズで正社員になるなら、その時はまた相談しましょうということになったらしい。

年間で払うというところが社長らしい思いやりなんだよね。

大学の授業料をまとめて払えるようにしたんだと思う。

これには中村君父子も、さすがにびっくりしたそうだ。

でも、本人に選ばせたらしい。

結果は……? まあ、分かるよね。
やはりやってみないとね。将来の足がかりになるんだから。

学生のうちにスカウトしてもらえるなんて、すごいことだよ。

その後、岩城から聞いた話では、やはり承諾したそうだ。へえ~良かったねえ。

学費を負担してもらえるのは助かっただろうけど、自分で払えるようになるのは、もっと最高だと思う。

そして、行ける日はカフェでも料理をして、そこを試作の場にすることにしたんだって。

すると日曜日がねらい目だな。毎回違う料理が食べれるぞ。

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